セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

おそうじごほうび

2015年07月23日 04時49分25秒 | クエスト163以降
天使の泉でのある日のひとこまなお話。天使の泉に落ちてるのって、水に放り込むの不適切なのもあるよね~と思ってたところからできたお話です。文中で落ちてるアイテムは実際ゲーム内でうちの女主が拾えるやつです。一人旅でクリアまで長かったのんびり系だからこんなラインナップなのかも。ちなみに「他の世界のお友達」で拾える物はうちの男主の方で、こちらはなんだかいいアイテムなような?クリア時称号の差ですねきっと。

 リッカの宿屋の名物のひとつである、地下に設けられた癒しの場「天使の泉」。どこぞの名所と混同されているのか、ここを訪れた人々は「また来られますように」と願いを込めて、物を泉に投げ込んで帰るというのがいつの間にやら慣例化していた。
 錬金の役に立つアイテムも多数投げ込まれるので、ここの掃除は専ら、自他共に認める錬金マニアであるミミとイザヤールが担当していた。
 今日も二人はTシャツに短パンにバンダナという気合いの入った姿で、武器の代わりにデッキブラシやスポンジを装備して掃除にかかった。
「今日はアタシも手伝ったげる~」
 と、珍しくサンディも参加宣言したが、水着にサングラスに片手にトロピカルジュースという出で立ちなので、おそらく手伝う気持ちはゼロに近い。
 掃除の前にまず投げ込まれたアイテムの回収だが、今回もなかなか回収に困る物が水没していた。
「『ネコずな』そのまま投げ込むのはやめてほしいなあ・・・」
 底に沈んでいるのをちりとりですくいながらミミは呟いた。
「『みがきずな』もな」
 これまた底に水没しているのを器用にすくいながら、イザヤールも眉をひそめる。
「ああっ、『まりょくのつち』に『せいじゃのはい』も・・・。不思議だけれど水に溶けないから、助かるけれど」
 殊にせいじゃのはいは美しく細工された密閉容器に入っているので回収しやすいが、これに入っていなければ絶対回収無理だろうなあとミミは思う。
「いやいや、実はちょっとずつ溶け込んでて、だから癒し効果あったりすんじゃね?」
 大きな浮き輪に座ってジュースを飲みながらサンディがまぜっかえした。
「『緑のコケ』や『あやかしそう』の薬効もあったりしてな」
 それらを拾い上げながらイザヤールは苦笑する。
「薬効と言えば、他の世界のお友達の天使の泉には、『いやしそう』『きつけそう』『さとりそう』『せかいじゅのは』が落ちているそうなの。すごい効き目そうだよね♪」
 自分のことのように楽しげに言うミミを、サンディはちょっと不憫そうに見つめてぼそっと呟いた。
「土や砂系ばかり落ちてるアンタはビミョーに呪われてんじゃ・・・?」
 しかし幸か不幸かミミにその呟きは届いておらず、彼女はまた何かを見つけて嬉しそうに瞳を輝かせた。
「あ、『ちいさなメダル』♪」
「それは王道っぽいな」と笑うイザヤール。
「でもどーせコインっぽいものなら『グビアナきんか』を投げ込んでくれればいいのにね~」とサンディ。
 それからしばらくして、イザヤールが困惑顔で「うらみのほうじゅ」を引き上げた。
「これを投げ込んでいく神経が一番わからんな・・・。本当にまた来たい気があるのか?」
「リア充への呪いとかだったら超コワイんですケド!」身震いするサンディ。「てゆーか、まさかアンタらがそのターゲットじゃないよね・・・マジ呪われ?!ヤバくねっ?!」
「まさか。・・・それに呪われたってイザヤール様は私が絶対守るもの」
「私だってたとえどんな呪いであろうとミミを必ず守ってみせる」
「イザヤール様・・・嬉しい・・・」
「こちらこそありがとう、ミミ」
 花とハートが背景に飛び散りそうな雰囲気に包まれだしたミミとイザヤールを眺め、サンディはシラケ顔で呟いたのだった。
「あ~、こりゃ呪いもハダシで逃げ出すよね~。絶対大丈夫だわ~」
 やがて、天使の泉はすっかりきれいになった。掃除が済んだばかりの天使の泉を一番乗りで楽しめるのも、アイテムとはまた別の嬉しいごほうびだ。
「しょーがないわね~、がんばったアンタらに、サンディちゃんが特別に超おいしいフラッペ持ってきてあげる~」
 ピカピカの泉を見渡して頷きながら、サンディが言った。
「ありがとう、サンディ♪」
「どうせ自分も食べたくなったのだろう?」
「バレた?・・・てゆーかイザヤールさん、アンタもミミくらい素直になりなさいよね!」
 二人を残し階段を上がってから、サンディは「清掃中」の看板を更に目立つ場所にしっかり置き直し、箱舟に飛んでいった。ちょっとゆっくり戻ってあげよっかな~。それとも、いいトコでラヴィエルさんと邪魔しちゃおっかな~。いたずらっぽいがあたたかい表情で、サンディはクスクス笑った。〈了〉
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