すじにくシチューの意見

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「賃金デフレが不況の原因」という主張は同義反復で無意味

2016-10-09 11:05:55 | 日記
「不況」とは、そもそも、金儲けのできる仕事が少なくて、賃金を稼ぐのに困ってる状態である。そして不況下では、仕事がない人が多いので、賃金が少なくても「貰えないよりかはマシ」と考えて皆が低賃金で働くので、賃金の相場が下がる。

つまり、
 不況 → 賃金の下落
という順序である。

さて、賃金相場が下落したことを、ある種の評論家が「賃金デフレ」などと呼び、そして、不況の原因と考える場合が多い。

だが「不況 → 賃金の下落」と上述したように、「賃金デフレ」とは単に不況の「結果」などとして起きた賃金下落という現象を言い換えた用語にすぎないので、まったく不況そのものの「原因」の説明にはなっていない(「結果」の説明ではなく)。
「賃金デフレが不況の原因」という論説は、実質的には単に「失業が多くて賃金も下落した理由は、失業が多くて賃金も下落したからだ」と言ってるようなものであり、同義反復であり、無意味である。

なので、そんな事すら気付かないリフレ派は、ほぼ皆、馬鹿である。

WW2前のドイツなどのインフレ不況もあわせて考えれば、「不況によって、実質賃金が下がる。」という命題が経済学的な実態だろう。インフレ不況なら実質賃金が下がるだろうから。

もし不況時に、名目賃金と実質賃金を一致させようとすると、賃金は名目デフレになり、実質賃金は名目賃金と一致してるので、名目賃金もデフレである。

いっぽう、もし不況時に、名目賃金を維持しようとすると、実質賃金だけが下がり、賃金は名目インフレになる。

どちらにせよ、「不況時には実質賃金が下がってしまう」という結果は変わらない。

不況時の経済対策として、名目賃金を維持したほうが良いのか、それとも名目賃金と実質賃金を一致させたほうが良いのかは、状況しだいだろう。

実質物価と名目物価の不一致の程度が大きすぎると(たとえば数百パーセントも名目と実質の額面が違ってれば)、通貨価値への不信が起きるだろうから、将来的に、いつかは名目物価と実質物価の差をせいぜい数パーセントの範囲内に一致させていかなければならない。同様に、名目賃金と実質賃金も、将来的に、いつかは名目物価と実質物価をせいぜい数パーセントの範囲内に一致させていかなければならない。