
これは昭和22年2月25日付け神奈川新聞の劇場案内に載った旧杉田劇場の広告。今日ここで話題にしたいのは、東京歌舞伎の役者や演目ではなく、彼らの横に小さく掲載されている浪曲師、天中軒月子のことである。
東京歌舞伎は2月24日から月末まで興行されているが、この年の2月は28日までだったので、公演期間は24日から28日までということになる。その最終日の夜、「浪曲の夕べ」が開催された。
演者は森三陽という人が大きく書かれている。どんな人物だったのか、インターネットで検索しても、何ら情報が出てこない。一方、彼の左側に小さく書かれている「天中軒月子」という浪曲師に関しては、当のご本人はヒットしないものの、三代目がいることが分かった。
三代目・天中軒月子。令和元年(2019年)10月17日、浅草公会堂豪華浪曲大会にて三代目を襲名しているのだ。しかも、fasebookもやっておられる。
ここで気になるのが、旧杉田劇場の正面写真。
幟(のぼり)が2本出ている。そこに出演者の名前が書いてあるのだが、まず左側の方を拡大してみよう。
幟が折れ曲がっているため、かなり読みづらい。最後の文字は「子」だ。その前の文字は……
「月」には見えないが、折れ曲がって何かが重なっているのかもしれない。
右側の幟。はっきりと読めるのは「月」だけだ。
これだけでは何とも言えないが、「天中軒」の浪曲師には「月」がつく人が多いように思うので、もしかしたらこの写真は2月28日のものかもしれない。
いや、それはないか。森三陽の幟が出ていないからね。この幟の解明にはまだまだ時間がかかるようだ。
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