末吉洋文の平和研究室

帝塚山大学法学部で「国際法」や「平和学」を担当しています。

ゼミの飲み会

2007年06月30日 | 教育
昨日は遅まきながら今年度のゼミの飲み会を実施しました。

あいにく雨がザーザー振りかと思いきや、行き帰りの時間帯にはピタッと止んでくれたのでした。

それにしてもゼミ生とたくさん話ができたのでよかったです。いつものゼミの時間は、小生ばかりペラペラと話をし過ぎてしまうこともあって、演習室でじーっと貝のように黙り込んでいるゼミ生もいるのですが、昨日は普段見せてくれないような笑顔で応えてくれました。特にラグビー部のS君とK君の、吉本の若手芸人を凌駕する掛け合いが最高でした。

腹筋が筋肉痛になるのは勿論のこと、あごが外れそうなほど笑ったのはいつ以来でしょうか・・・やはり食事は大人数でするに限りますね。これで次回からのゼミ中に「何か質問や意見はありますか?」と小生が訊くときには多くのゼミ生が手を挙げて積極的に発言してくれることでしょう。

試験明けにはカラオケに行くことを約束してお開きに。もう少し早めに飲み会を実施すべきであったようにも思いますが、結果オーライ。写真の現像が楽しみです。

難民事業本部のワークショップに参加

2007年06月29日 | 平和
昨日の午前中は健康診断・・・採血だけはどうしても好きになれませんが、自分の血を改めて見ると「生きているんだな」という実感が妙に湧くものです。担当のおばさんがうまく注射針を差し込んでくれたので、全然痛くありませんでした。

夜は神戸で難民事業本部のワークショップに参加。どのような内容のものかは大体予想していたつもりでしたが、やはり実際に参加してみると想像以上の面白さがありました。

初対面の人と一緒になってロールプレイングゲームを行い、難民として在留している外国人と日本人との間にできてしまった軋轢や受け入れている日本人側が持っている(であろう)偏見などを、話し合いによって解決するというもの。小生はアパートの大家さんであるおばちゃんの役を務めましたが、何とかうまく住民間の紛争を解決することができたように思います。

7月30日には、ユニセフ兵庫県支部で小生が講師となりワークショップを実施する予定なのですが、大きなヒントをもらえたような気がします。健康診断が終わったこともあり、昨晩のビールは各別の味でした。

国民投票法の成立

2007年06月28日 | 平和
昨日で兵庫県立国際高等学校での授業は夏休み前が最後でした。夏休みにはJICAのエッセイコンテストに応募してもらうので、前期のまとめ的なお話をしました。

本来予定していたテーマは、日本の安全保障と国際協力についてでしたが、とりわけ最近成立した国民投票法についてもお話しました。集団的自衛権の行使を実現すべく、有識者懇談会が安倍首相の下に組織されましたが、いよいよ憲法改正に向けて動き出しているのだよ、と。

ちなみに国民投票法の成立を知っている生徒さんは少なかったのですが、これは大学生でも、同じような結果だと思います。なんせ、この国はいかんせん選挙の投票率からして低すぎますから、本当に民主主義の国なのかとも思うときが時々あるほどです。ま、選挙に行かないという権利も保障されているという意味では民主主義が健全に機能しているといえるのかも知れませんけど。

よく指摘されているように、問題なのは大体40%くらいの投票率の日本で、その過半数の人々の賛成で憲法改正が決定されてしまうということ。これは、40人の学校のクラスに例えますと、全体の20%である8人の賛成で憲法が改正されてしまうということなのです。

また、問題であるのは、投票最低年齢が18歳以上となっていますが、果たして憲法改正を判断しうるだけの能力が備わっているのかどうか、怪しい部分があることは否定できないでしょう。ま、大人の中にもこうした問題に疎い人もいるのでしょうけどね。特に日本人は周りの意見に流されやすいですから、学校教育の場でこうした憲法改正問題や年金問題などをちゃんと教える必要があるように思います。

早ければ、2011年の秋には国民投票が実施される公算が高いとか。もっとも、国会が発議するためには、現在の与党だけでは不可能な「3分の2」が必要となりますから、社会保険庁の問題で揺れている政局を安倍政権がどう乗り切るかにもかかっています。

終わりなき紛争

2007年06月24日 | 平和
昨日はユニセフ兵庫県支部でスーダン共和国・視察報告「この命が消えていく」に参加することができました。毎日新聞の記者である福田隆さんに現地取材のビデオと写真を流しながらお話して頂いたのですが、まさに「百聞は一見に如かず」。現地の緊張感がスクリーンを通じて小生の心に伝わってきたのでした。

それにしてもスーダンの紛争は一向に収束する気配がありません。史上最悪の人道危機とも呼ばれていますが、その所以はルワンダ紛争がおよそ100万人が80日ほどの間にジェノサイドで殺されたことに比べれば、スーダンの場合には4年以上にわたり、そして今もなお継続し、多数の死者や難民を生み出している紛争だからです。

介入に関する米国の政治的意思がいまひとつ弱いことや、石油利権がらみの中国の動向、そしてそもそも実力を伴わないアフリカ連合の部隊など、複雑な要因を孕んでいます。日本も何かできることがあるのではないでしょうか・・・厳しい現実を知るとなんとも居たたまれない気持ちになるものです。

最近では『世界』にジェラール・プリュニエ、訳=橋本一径「ル・モンド・ディプロマティック」の翻訳として「ダルフール『見えないジェノサイド』」が掲載されており、問題の本質が簡潔にまとめられています。

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夜は大学バスケ部の後輩と神戸・元町で痛飲。来週の健康診断のことをすっかり忘れてしまっているのでした。

豚肉混入事件が与える影響

2007年06月21日 | 平和
学内で省エネにご協力を、という紙がまわってきたので、研究室の電気は半分だけつけることにしました。居留守ではありませんので、ご注意ください。

さて・・・

社会に危険が潜んでいる以上、もはや平和は享受できていないと言うべきなのかもしれません。昨日の牛ミンチに豚肉が混入していた問題は、決して他人事ではありません。殺人事件なんかは確率的に言っても稀有な現象であるといえるのですが、日常生活の営みの一部である食の問題だけに、強烈な嫌悪感と違和感を感じます。もはや社会構造が性善説を大原則とするのではなく、性悪説に基礎を置く方向性に変わっているのではないかと考えた次第です。すなわち、まずは疑ってかかれ、ということが無意識のうちに日常化してしまっている、ということ。思えば、消費者(保護)主体の社会の有り様も、「信じる者は救われる」保証がどこにもないことを裏付けるものではないでしょうか。

今回のケースは意図的に行われていたといいますから、なおさら怒りがおさまりません。別に豚肉が嫌いだとか、そういう理由ではなくて、信頼を基盤とする社会に対する挑戦状をたたきつけたからです。ましてや、食物はそれを食した人間の血となり肉となるもの。嗚呼、これから何を食べればよいのでしょうか。不特定多数の人間に恐怖と不安を与えるという意味では、残念ながら「テロ」と呼ぶべき行為であると言わなければなりません。

6月20日は世界難民の日

2007年06月20日 | 平和
今日は実家からの出勤。ユニセフの兵庫県支部で今後の打ち合わせをした後、阪急百貨店でモロヘイヤと朝顔の種を購入しました。昼からは会議の3連荘。

今日6月20日は「世界難民の日(World Refugee Day)」です。2000年の国連総会で決議が成立してのことですが、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が中心となって「世界で苦しんでいる人々に想いを馳せよう」というものです。

2005年1月1日現在、UNHCRが発表した「援助対象者(People of Concern)」は世界で約1920万人、そのうちの920万人が難民とされています。難民(国籍国の外に逃げている人々)の数自体は減少したのだけれども、国内避難民(国籍国の内に逃げている人々)が増加したというニュースもあり、まだまだUNHCRには頑張ってもらわなければなりません。ちなみに現在、国内避難民が最も多いと見られるのは、紛争が続くスーダンで約540万人なのだそうです。

岩波書店の『世界』4月号に掲載されていた「EU難民政策の理念と現実――ローマ条約50年におけるEUモデル?――」(庄司克宏)という論文に記されているように、かつては難民の受け入れに比較的寛容であったEU諸国でも最近では難民認定を渋っている現状があります。やはりテロ戦争のグローバル化なんかが大きく影響して入国管理が手をつけられなくなっているようですね。

さて、日本の難民政策ですが、2004年夏、東京都渋谷区の国連大学前で、難民認定などを求めて72日間の座り込みをしたトルコ国籍のクルド人2家族(元川口市在住)のうち、日本に残っていたエルダル・ドーガンさん(33)の家族4人が、支援者らの助けでカナダに難民として認定され、7月10日に出国することが決まったそうです。

嗚呼、敷居の高い日本の難民政策ってどうにかならないものでしょうか・・・。行政が未だ難民を拒み続けているという事実と、人間の安全保障を外交の柱に据えている国。ダブル・スタンダードと言われても仕方がないですぞ。

関心のある方は、UNHCR駐日代表である滝澤三郎さんの「難民との共生を目指して」を是非読んでみてください。

ハイリゲンダム・サミットで決定されたこと

2007年06月18日 | 平和
ドイツのハイリゲンダムにて開催されていたサミットが終了して1週間ほど経ちますが、このサミットが国際関係に及ぼす影響や如何に。192カ国の加盟国の利害を調整する国連とは違い、サミットは主要国の政治的意志を基礎としているだけに大きな梃子となる可能性は否定できません。

今回のサミットの目玉としてそれなりに報道がされた気候変動については、「本日我々が合意したすべての主要排出国を巻き込むプロセスにおいて、排出削減の地球規模での目標を定めるにあたり、我々は2050年までに地球規模での排出を少なくとも半減させることを含む、EU、カナダ及び日本による決定を真剣に検討する。」となりました。

しかし、どうも問題の先送りをしている印象が拭えません。京都議定書の目標が達成困難となっている以上、仕方のない措置なのかもしれませんが、将来の世代に対する説明責任を果たせそうもない情けない現状にある、ということを一人一人が認識すべきでしょう。われわれ日本人にしても、サミットが終わった後にいったいどれくらいの数の人間が地球規模の課題を自分の問題として考えているのでしょうか。

また、地球温暖化の問題に関しては、安倍総理の地球温暖化問題に係る新提案「美しい星50」が注目されるべきところです。「美しい星へのいざない『Invitation to Cool Earth 50』」と題されたこの提案は、問題提起として京都議定書を超えて、世界全体が参加する排出削減のための新たな枠組み作りが必要であるとした上で、3つの原則が謳われています。

【提案(1):世界全体の排出量削減のための長期戦略の提唱】
・「世界全体の排出量を現状から2050年までに半減」という長期目標を世界共通目標として提案。
・その達成のため、「革新的技術の開発」と「低炭素社会づくり」という長期ビジョンを提示。

【提案(2):2013年以降の国際枠組み構築に向けた「3原則」の提唱】
・2013年以降の温暖化対策の具体的枠組みを設計するための「3原則」を世界に提案。
 (第1)主要排出国が全て参加し、京都議定書を超え、世界全体での排出削減につながること。
 (第2)各国の事情に配慮した柔軟かつ多様性のある枠組みとすること。
 (第3)省エネなどの技術を活かし、環境保全と経済発展とを両立すること。
・我が国として志の高い途上国の支援のために新たな「資金メカニズム」を国際協調で構築。
・エネルギー効率の向上の取組を世界に拡大。原子力利用拡大の国際取り組みや基盤整備の支援。
・公害対策と温暖化対策の一体的取組、排出量取引、経済的インセンティブなどの手法を検討。

【提案(3):京都議定書の目標達成に向けた国民運動の展開】
・京都議定書の6%削減目標達成に向けて、京都議定書目標達成計画を見直す。
・政府の率先的取組みを進め、自治体や主要な業務部門の行動の加速化を促す。
・「国民運動」を展開し「1人1日1キログラム」削減のモットーの下で様々な努力や工夫を呼びかけ。また、国民運動の展開について、新しい提案を公募し、採用する。

そして、結論として


「美しい国」という私の考えは、地球環境との調和を図りつつ人類が発展を続けるため、文明のあり方を転換すべきではないかとの問題提起でもある。「美しい星」の実現に向け、手を携えて、共に取り組もうではありませんか。


と結んであります。

・・・「文明のあり方」を転換するって困難なように思いますけどね。やはり、結局問題を先送りするための先進国側の談合に終わったような印象が拭えません。来年は日本の洞爺湖が会場となりますが、その時までには何か前進があれば良いのですが。

ワルトハイム事務総長が逝く

2007年06月16日 | 平和
1970年代に国連事務総長を務めたオーストリア元大統領、クルト・ワルトハイム氏が今月の14日、88歳でで死去しました。死因は心不全でした。ご冥福をお祈りいたします。

第二次世界大戦中にナチス・ドイツの将校で、戦争犯罪への関与が疑われたこともあり、後に米国から入国禁止(ペルソナ・ノン・グラータ)の措置をとられた人物でもありました。

確かに、歴代の事務総長の中では一番影が薄いような部分もあると思いますが、在任期間中はしっかりと事務総長としての任務を果たしたと思います。代表的な例としては、テヘラン米国大使館人質事件の解決のために東奔西走したことでしょうか。

研究室を掃除していたら、ワルトハイム事務総長に関する本が2冊出てきました。ワルトハイム著、畔上司訳『世界で最も厄介な仕事』(サイマル出版会、1980年)
ワルトハイム著、小阪善太郎監訳『激動の中の国連外交』(講談社、1986年)

・・・ゆっくりと読み返す時間はありませんが、事務総長としてその時、何を考え、どう行動したのがが残されています。事務総長研究の中でもワルトハイム事務総長に関する研究は少ないのが現状ですが、上の2冊をもう一度読みなおす作業も夏休みの間くらいにできれば、と思います。

ところで昨日はNHK衛星放送「きょうの世界」で「NY発・国連パン事務総長の半年」を放映していました。リアルタイムで観たのですが、途中で夢の中・・・

録画しておいたので、今晩見たいと思います。

近鉄難波駅での出来事

2007年06月15日 | 日々の生活
豊岡高校からの帰り、小生行きつけの焼き鳥屋に寄ったのですが、近鉄難波駅まで来たところでどうしても水分が欲しくなりました。自動販売機で水を買おうと思ったところ、小生の前の若い兄ちゃんが自販のボタンを押して缶が落ちてきたものの、なかなか取りづらそうにしていたのです。最近の自販の取り出し口には中にプラスチックの板が取り付けられてあり、落ちてきた缶を横にしないとなかなかうまく取り出すことができないようになっていますよね。

苦戦していた様子なので、小生が取り出し口のカバーを持って支えてあげたところ、やっとその兄ちゃんは缶を取り出すことに成功。やれやれと思っていたところ、その兄ちゃんは感謝の意味だったのでしょう、50円玉を硬貨投入口に入れるやいなや、颯爽とどこかへ消えていってしまったのでした。

小生は「え!?」と驚きつつも、その行動の意味が徐々に理解することができました。すると、小生の後ろに並んでいた何処かのおじさんが「あんな人いるもんやね~」と。小生は「人には親切にするものですね」と応えましたが、それにしてもその若い兄ちゃんの行動が印象的でカッコ良かったです。もし自分がそのような親切をされた場合に、似たような行動ができるだろうか、と考えた次第です。


再来週はゼミで飲み会をすることになりました。

兵庫県立豊岡高等学校へ

2007年06月14日 | 平和
昨日は、兵庫県立豊岡高等学校へ出張講義をしてきました。高校のカリキュラムにある総合学習の時間を利用して、進路選択の際の動機付けにしようというもの。少子化の時代を反映して、他大学からも多くの同業者が来ていました。先日、交通手段で悩んでいたのですが、結局は神戸の実家から自動車で行ってきました。地球に優しくなくてすみません・・・

豊岡がコウノトリの里であることは良く知られていると思いますが、まさに緑に囲まれた自然いっぱいのロケーションで、生徒さんたちはのびのびと勉強している印象を持ちました。(教室からの眺めは、小生の研究室からの奈良方面の眺望と似ていました。)

実際にコウノトリを見ることはできませんでしたが、コウノトリ関係のお土産(焼酎、日本酒、「コウノトリのたまご」饅頭)を購入して岐路に着きました。

ところで昨晩はコウノトリの背中に乗って大空を羽ばたく夢を見ましたが、これって何の予兆なのでしょうか・・・大好きな「ニルスの不思議な旅」を思い出しました。