A「あんたが いつも一緒に呑みよる人なぁ 友達な?」
B「居酒屋で 会うた人のことじゃろ あたきな トシちゃんって 言いよる」
A「二人な あだ名で 呼び合うほどの仲な」
B「そうたい 古うからの 知り合いやけん 相性(愛称) が 良か⤴」
すがめのにわか考ー01
にわかは落ちが一番大事だと言われます。「落ち」がないのは、博多にわかではないとまで言われます。
今回は、その「落ち」について考えてみることにします。
落ちは落語にもあり、「サゲ」とも言われます。
落語の場合、落ちは、「地口おち」、「考えおち」、「とたんおち」、「間抜けおち」など各種ありますが、
落語の世界では、地口落ちはまずい落ちの部類に位置しています。しかし、博多にわかはこの「地口落ち」が主流です。
地口は、口合(くちあい)またはもじりとも言い、地口落ちとは、同音異義語で構成されたものを言います。
江戸では地口、関西以西では口合と言っていたようで、博多にわかも古くは「口合にわか」とも呼ばれた時代が
あったようです。
その地口落ちについても、前落ち、片落ちは良くないとされます。
前落ちとは、落ちに使う言葉を、題名や落ちを言う前に使うことで、観客から先に「落ち」を気取られてしまう
恐れがあります。
片落ちは、同音異義語のもう一つの言葉と、つながらない文章になってしまうこと。
では、辞書を調べて、同音異義語を探し、それでにわかを作れば良いのかというと、そういうものでもありません。
よいにわかの落ちと言うのは、話し言葉どうし、或いは話し言葉と漢語の組み合わせが、より良いとされます。
例えば、お歳とる(落としとる)、現れん(洗われん)、可笑しくって(お菓子喰って)、今日行く(教育)、
縮こまる(知事困る)など。
さらに、博多にわかは単に、落ちだけの遊びで終わっては意味がありません。
風刺、諧謔、皮肉、笑いを織り込んで、初めて博多にわかと言うことができます。
うまく世相を風刺し、政治を皮肉り、庶民の心を代弁して聞く者の笑いを誘うのが、すぐれた博多にわかだと言えるでしょう。
私が所属しているにわかサークルの長老から、最初にもらったアドバイスが「落ちは落ちとるとやけん、拾わないかん」
と言う言葉でした。
日常の生活の中で紡ぎ出される言葉の中にこそ、真の博多にわかが息づいているのかもしれません。
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