初恋のあの子の名前はなんだったか?
そんなコト考えなくても鮮明に覚えている。
千鶴子だ。
由来は、夕鶴という映画だと記憶している。
今となっては古風な名前だが、
当時(戦後まもなく)は、、、どうだったんだろう?
今は、同窓会の案内が来ても、
みんなジジババになっちまって、
会う気がしないので参加しなくなって久しい。
学校を卒業してすぐ、
千鶴子は、俺のコトを気に入っていたということを
伝え聞いた。
どうして、俺はなにもしなかったんだろうか?
あの時ああすれば、、、。
今更どうしようもないことだが、
考えずにはいられない。
千鶴子のことを意識し始めたのは、
いつだっただろう?
俺は、優等生というわけではなかったが、
他の生徒よりも早くに登校して授業の準備とか、
なんだかんだするのが習慣だった。
登校時間は、クラスでも1、2を争うほどだった。
ある日、教室のドアを開けた俺が見たのは、
千鶴子の姿だった。
なぜだか知らないが、
いつもより早く登校したようだ。
太陽の光を浴びた千鶴子がこちらを見ている。
まるで後光が射しているかのようだった。
その瞬間、惹かれていた。
太陽の力が後押ししているのは間違いないが・・・。
レモンのような初恋ってやつだ。
意味がよく分からないが、よくそういう表現をされるだろ。
言ってみたかっただけだ。
気にしないでくれ。
それから、
千鶴子の一挙手一投足が気になって仕方なかった。
そんなに好きだったのに、
どうして、俺はなにもしなかったんだろうか?
勇気がなかった。
ただ、それだけだ。
20代の同窓会の時、
千鶴子はすでに結婚していた。
でも、夫とはあまり上手く行っていないようだった。
夫から暴力を受けていたということを、
友人から聞いていた。
俺だったら・・・。
彼女を幸せにしてやれたはずなのに。。。
そう思わずにいられなかった。
俺にはどうすることもできない。
俺もその頃には、妻がいた。
あの時ああすれば、
と思わずにはいられなかった。
それから、
かなりの年月が経って参加した同窓会で千鶴子に会った。
学生の頃の面影はすでになかったので、
がっかりした記憶がある。
相当苦労したのだろう。
いま、千鶴子はどうしているだろうか?
元気にしているだろうか?
俺が、同窓会に参加しなくなって久しいが、
すでに他界しているのかもしれない。
なぜかそんな気がする。
昨日、尾道の馴染みの居酒屋で
熱燗を飲んでいたら、
なぜか千鶴子のことを思い出した。
同僚(30年くらい後輩)と2人で飲んでいたのだが、
酔っていたのかついベラベラと喋ってしまった。
会計は、14,200円だった。
居酒屋の会計にしては高い。。。
飲みすぎだ。
後輩は、店の女の子に、
「俳優さんに似てるって言われません?」
「あぁ、小栗旬ですか?」
と答えていた。
馬鹿じゃなかろうか。。。
「違います。阿部サダヲって知ってます?」
と言われて、複雑なカオをしていた。
あとで聞くと、
「阿部サダヲ」の代わりに「阿部寛」の顔が頭に浮かんだらしく、
えらい男前に似てるって言われたなあ。。。ムフフ。
とおめでたいことを考えていたらしい。
俺は、阿部サダヲなんて、
知らないが二枚目じゃないってことは分かる。
芸名がフザケてるからな。
ざまあみろ!
あぁ、飲みすぎた~。
向島行き、最終の船は、1時間以上前にいっちまってる。
今日は、タクシーだ。
初恋タクシーだ。