書評: 「奇跡の《地球共鳴波動 7.8Hz 》のすべて」 志賀一雅 著
「7.83Hz」もしくは「7.8Hz」が本のタイトルに含まれている本はそんなに多くはありません。シューマン周波数 7.83Hz に興味がある方、研究している方は、とにかく手にして読む必要があるでしょう。
この著者の経歴が非常に異色です。
電気通信大学を卒業。
松下技研に勤務、東京大学工学部計数工学科研究員を兼務。
脳波研究に没頭。
科学者、技術者(エンジニア)としての経歴は、非の打ち所がありません。
著者は、医学、生物学、心理学、大脳生理学といったソフトな分野ではなく、コチコチの工学系の分野の出身でありながら、脳と脳波の研究に45年以上もたずさわってきています。畑違いの研究者が先入観にとらわれないという好条件の為に画期的な業績を成し遂げることはよくあります。
最初の数ページはこんなふうに、いかにもエッセー風に書き出しです。
以下を読むと、著者は脳波研究にかなりの年月を費やしたのちに、或る日シューマン周波数のことを知って、驚愕したに違いありません。
従来アルファ波として知られていた脳波は、さらに3つの異なる脳波にに分類できるというのが、著者の主張です。
あるオペラ歌手の歌声と脳波が 7.83Hz でシンクロして共鳴していることを、独自開発の脳波計で証明しています。
このオペラ歌手以外にも、さまざまなひとたちの脳波を貪欲に収集する著者の研究スタイルは実に痛快です。
このオペラ歌手の歌声をスピーカーで海中に流すと、クジラの親子が寄ってくるそうです。
その様子が動画にもなっているそうです。
著者の研究は脳波から、シューマン周波数を介して、壮大な宇宙論にまで発展しています。
著者の本領は、脳波研究であり、長年の調査・研究によってさまざまなひとたちの脳波をデータとして蓄積しており、その一部をこの本の中でも紹介してくれています。しかし、その脳波研究を人間の問題で終わらせずに、一挙に生命全般、宇宙にまで発展させるきっかけとなったのが、シューマン周波数、シューマン共鳴波(7.83Hz)との出会いであったようです。
著者は元々は人間の能力開発への関心から脳波研究にのめり込んでいったようですが、その成果を能力開発、メンタルウェルネストレーニング、瞑想法、思考法、スピリチュアル系人生訓等々に積極的に応用しています。
シューマン周波数、シューマン共鳴波に関心のあるひとには一読の価値のある本です。特に人間の脳との関わりについては、豊富な事例を提供してくれています。
この本のタイトルは、「奇跡の《地球共鳴波動7.8Hz》のすべて」となっていますが、「~のすべて」とまで言ってしまっては、ちょっと言い過ぎかなという感じがします。そもそも、タイトルの頭に「奇跡の~」が冠してあるのですから、「奇跡の ~ のすべて」ということになってしまいますね。スゴすぎ?
内容をそのまま反映した愚直なタイトルとしては、「地球共鳴波 7.8Hz と私たちの脳」といったところでしょうか。
「奇跡の~」を冠したタイトルにすると、その分オカルト系に見られてしまうリスクがあるように思えます。もはや、そっち系のひとだけが興味を持つテーマではなくなっているはずなのに、こうした書名はちょっと残念です。
わたしたちが暮らしている地球の、惑星周波数として客観的に実在しているシューマン周波数 7.83Hzが、昨今の地球表面上のスマホ、携帯基地局、5Gアンテナ の爆発的増殖によってかき消されつつある今、わたしたちはこの地球固有の周波数であるシューマン周波数7.83Hz にあらためて目を向けるべきかもしれません。
シューマン周波数 7.83Hz は今日さまざまな分野で研究されていて、脳波との関係だけではありません。特に医学、生理学、病理学、分子生物学、微生物学、動物行動学といった生物学的分野での研究も広がっています。こうした分野での研究の紹介だけでも1冊の本になってしまうでしょう。
とはいえ、この本は、シューマン共鳴波と人間の脳との関係について面白く読める本です。ぜひお薦めします。