・VOCALOID
青土社が初音ミクについて
ユリイカ増刊で一冊出すとのこと。どんな記事なのか、楽しみだ。読んで認識が改まる前に、今の自分の考えを簡単に記録してみる(初音ミクじゃなくてボーカロイドについてだけど)。
ボーカロイドについては、最近まで自発的に曲を聴いたことすらほとんどなく、ムーブメントについても、ちらほらネットで目にする程度以上には把握していないという状況だったのだけど、今年の9月にがくっぽいどを衝動買いし、そして自分で使いつつ人の曲も聴いてみたりしているうちに、これがなかなか面白く愉快なものだということが分かってきた。
感じたことを、いくつかの観点から言葉にしてみると・・・
1.端的に音源として面白い
音色がひとつのシーンを作る、という現象は
TB303=アシッドや
アーメンブレイク=ジャングルみたいな例がこれまでにもあるが、ボーカロイドはずばり「歌」をターゲットとしているがために、楽曲フォーマット(ジャンル)を縛ることなく、ボーカロイド曲として音楽を作り、ボーカロイド曲として音楽を聴く人々を、一定規模で求心することに成功しているように思える。
「ボーカロイド曲として」という枕言葉については、少なくとも自分の場合だと、どうやら作るときも聴くときも、無意識にそのような態度で作品に接しているようであるし、明確にそうした意識で曲に接したほうが色々と発見があった気もするので、使ったもの。
ちなみに自分が初めて聴いた初音ミク音源は
こちら。
2.便利
歌モノの曲先型製作フローとしては、だいたいのところ
メロディ作り⇒歌詞作り⇒録音⇒音作り
というような経路をたどることが多いと思うのだけど、人間が生録する場合、これらのプロセスは基本的に非可逆なものと考える必要がある(ただしauto-tuneとか使えば、ピッチだけは録音後にもある程度操作できる?)。
しかしボーカロイドを使えば、上にあげた4つのプロセスを自由自在に行き来しながら音楽を作ることが出来る。つまり、各段階をクローズせずに並列作業できるわけで、(そのことが純粋に喜ぶべきことなのかは留保するにしても)製作の途上にあらわれるいくつかの時間的な制約を取り払うことが出来る。このことはデモ製作用ラピッドプロトタイピングツールとしてもボーカロイドが活きる、素晴らしい特徴だと思う。
とはいえ、しっかり歌わせることを目指した場合、いまのところ時間効率は途端に逆転してしまうのだけれど。。とりあえずエディタの編集機能があまりにもプアなので、ユーザー的には、そこをまずなんとかして欲しい。
ちなみに自分の場合は、エディットするほど不自然な歌唱になってしまうという業を抱えているようなので、一曲通してすべてのパラメータをほぼ一定にする、いわゆる無調教で通している。
こうもエディットが上達しないのは、ひょっとして自分自身、絶望的に音痴だからなのだろうか。
3.キャラクターの一人称を使える
歌詞の言葉に劇場的な物語性を持ち込んだ場合でも、全体としていい感じに成り立ってしまうのが強い。人間が人間として歌った場合だと、表現にリミッターがかかってしまうような、キャラクター性やサイボーグ感、あるいはファンタズムに溢れたモチーフであっても、きっちりと登場人物の視点に巻き込まれて歌いこなしてくれる。
常時「みんなのうた」的な不思議な訴求力が付与されているような印象だ。
これはボーカロイドならではという感じがするので、いつか自分もやってみたいことではあるのだけど、物語に対する感度や作詞、作編曲技術の不足により「やりたいけどできない」という状況なのが歯がゆい。
まぁそんな感じがいままで使ってみて、聴いてみて受けた印象のだいたいのところ。ちなみに自分が今まで作ってみたボーカロイド曲は
こちら。タイトルや歌詞は割りと元ネタありき。
・Tracktion3メモ
ソフトを最新版にアップデートするとQ6600でばっちり動いた。が、オーディオの書き出しデータが毎回微妙に異なるなど、ソフトの基本的な機能に関する信頼性には、相変わらず不安がある。
また、デフォルトで付属しているMDAプラグインの"degrade"と"multiband comp"を、ひとつのプロジェクトで複数使用すると、コンテクストエラーを吐いてDAWが落ちる。
いまさらSP-1200よろしいビットクラッシュもないかとは思うが、コーラスのキャラクターを変えるのにdegradeをうっすらとインサートしたりもするので、このバグは痛い。