「この広大な地域には、当時、専制的な力をふるっていた王がいた。それは一頭の年とった灰色狼だったのである。」
piaproなどで人狼狂詩曲(狂想曲)の歌詞についてお問い合わせいただいたので、それにお答えするべく、2番サビの歌詞について、シートン動物記に基づいた解釈としてどのようなものを準備していたのか、という視点から、簡単な解説を付け加えたいと思います。
・シスタスを香うときにさえ その眼をしかと離すなよ
シスタスは、別名をキスツスといいます。
花言葉は「私は明日死ぬだろう」
この言葉は、ブランカを失い完全にこれまでの自制を欠いてしまったロボの精神状態を比喩するものとして入れました。
「この夜、ロボは明らかに単身、牧場へ乗り込んできた。(中略)しかもその走りまわり方は、用心深いロボのものとは思えないほど取り乱したものだった」
・獄舎に耳を澄ますように 私の歌に応えろよ
獄舎という言葉は、オス狼同士の群れが暴力をベースにして結成されることを前提として、まるで部下を獄に繋ぐかのように厳格な支配体制を群れに敷いた、ロボのリーダーシップを比喩する意図で使用しました。
最後の場面、危機に瀕したロボの吼え声に呼応したものはいませんでしたが、これはロボがリーダーとしての求心力を失ったという解釈以外に、狂乱状態に陥ったロボによって、部下が処刑された可能性もあったのではないか、と私は考えています。
「そして最後に峡谷を揺るがすような重々しい低音の咆哮をあげた。(中略)しかし、それに対応する応答の叫びは、どこからも聞こえなかった。」
・すべてが壊れるときにさえ 私をしかと抱きしめろ
これは、群れの崩壊した後も、ブランカを捜し求めて単身シートンのもとへと乗り込んできたロボの幻視のイメージです。実はシートン動物記のエンディングでは、ついにロボはブランカの元へとたどり着くことが出来ているのですが。
「哀れな老いた英雄は愛する妻の捜索を諦めなかったのだ。そしてブランカの体が引きづられた跡を見つけると、前後の見境もなくそのあとを追い、仕掛けられた罠に落ち込んでしまったのだ。」
・挽香に狂える夜明け前 谺す我らの葬送歌
「挽香」というのは造語です。
同じ音をもつ「挽歌」という単語は、葬送の時、柩を挽く者が歌った歌が語源となっているそうですが、これを下敷きに、シートンが捕らえて殺したブランカの死体を、その香りによってロボをおびきよせるため、罠を埋めた道で引きづりまわしたエピソードにもとづいて、歌詞の単語を作りました。
この罠に陥り、ロボは計130kg強の足かせに四肢の自由を奪われ、ついにはシートンに捕らえられることとなります。
「罠をすっかり覆い隠してしまうと、私は哀れなブランカの死体を持ってきて、おのおの罠をかけた場所で引きづりまわし、さらに牧場のそばをひとめぐり引きづりまわした。それから最後にブランカの足を一本切りとって、おのおのの罠の上に一列の足跡をつけた。」
以上です。
ちなみに人狼(ルー・ガルー)というのは、ロボにつけられた数多くの呼び名のうちのひとつです。
※1940年代、アメリカの灰色狼は絶滅しています。
piaproなどで人狼狂詩曲(狂想曲)の歌詞についてお問い合わせいただいたので、それにお答えするべく、2番サビの歌詞について、シートン動物記に基づいた解釈としてどのようなものを準備していたのか、という視点から、簡単な解説を付け加えたいと思います。
・シスタスを香うときにさえ その眼をしかと離すなよ
シスタスは、別名をキスツスといいます。
花言葉は「私は明日死ぬだろう」
この言葉は、ブランカを失い完全にこれまでの自制を欠いてしまったロボの精神状態を比喩するものとして入れました。
「この夜、ロボは明らかに単身、牧場へ乗り込んできた。(中略)しかもその走りまわり方は、用心深いロボのものとは思えないほど取り乱したものだった」
・獄舎に耳を澄ますように 私の歌に応えろよ
獄舎という言葉は、オス狼同士の群れが暴力をベースにして結成されることを前提として、まるで部下を獄に繋ぐかのように厳格な支配体制を群れに敷いた、ロボのリーダーシップを比喩する意図で使用しました。
最後の場面、危機に瀕したロボの吼え声に呼応したものはいませんでしたが、これはロボがリーダーとしての求心力を失ったという解釈以外に、狂乱状態に陥ったロボによって、部下が処刑された可能性もあったのではないか、と私は考えています。
「そして最後に峡谷を揺るがすような重々しい低音の咆哮をあげた。(中略)しかし、それに対応する応答の叫びは、どこからも聞こえなかった。」
・すべてが壊れるときにさえ 私をしかと抱きしめろ
これは、群れの崩壊した後も、ブランカを捜し求めて単身シートンのもとへと乗り込んできたロボの幻視のイメージです。実はシートン動物記のエンディングでは、ついにロボはブランカの元へとたどり着くことが出来ているのですが。
「哀れな老いた英雄は愛する妻の捜索を諦めなかったのだ。そしてブランカの体が引きづられた跡を見つけると、前後の見境もなくそのあとを追い、仕掛けられた罠に落ち込んでしまったのだ。」
・挽香に狂える夜明け前 谺す我らの葬送歌
「挽香」というのは造語です。
同じ音をもつ「挽歌」という単語は、葬送の時、柩を挽く者が歌った歌が語源となっているそうですが、これを下敷きに、シートンが捕らえて殺したブランカの死体を、その香りによってロボをおびきよせるため、罠を埋めた道で引きづりまわしたエピソードにもとづいて、歌詞の単語を作りました。
この罠に陥り、ロボは計130kg強の足かせに四肢の自由を奪われ、ついにはシートンに捕らえられることとなります。
「罠をすっかり覆い隠してしまうと、私は哀れなブランカの死体を持ってきて、おのおの罠をかけた場所で引きづりまわし、さらに牧場のそばをひとめぐり引きづりまわした。それから最後にブランカの足を一本切りとって、おのおのの罠の上に一列の足跡をつけた。」
以上です。
ちなみに人狼(ルー・ガルー)というのは、ロボにつけられた数多くの呼び名のうちのひとつです。
※1940年代、アメリカの灰色狼は絶滅しています。