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スズキの宇宙語練習帖

いわゆるひとつの雑記帳です。

りんごのうた

2009-03-04 09:36:24 | 随想
引越しの準備で部屋を掻き回していたら、軽くSASUKEのような様相を呈してきた。踏んではいけないものが地雷のごとく隠れているので、注意してベッドまでたどり着くこと。

4月から週に2日の割合で隣のチヴァ県に派遣されることになったらしい。その間、作業的なことが一切できないのは致命的なロスなので、思い切ってノートPCを買うことにした。
検討の結果、MacBookの一番廉価な白モデルが結構いいのではないかと思っている。なぜか上位機種にはついていないFirewireポートがついているからだ。オーディオIF(Firewireが主流)を使っての宅外録音なども考えているため、これはありがたい。
食生活を食パンと魚肉ソーセージ、ときどき冷凍食品というスタイルにスイッチしてMacBookProを狙うという手もあるが。


昔の荷物をひっくり返していたら、私が初めて買った音楽機材であるZOOMのST-224が出てきた。ライブ的なことをやっていたときは、まだかろうじて使うこともあったのだが、いまや完全にご隠居状態だ。
目をつぶっても使えるほど手になじんでいたはずなのに、電源を入れてみたところ、なにをどうすればいいのか、いまとなってはさっぱり思い出せなかったのが切ない。

SOLID STATE SURVIVOR

2009-02-12 01:18:17 | 随想
・RAM

2/9~2/11にかけてサンフランシスコにてISSCC(International Solid-State Circuits Conference)が開催されているのだとか。プログラムによると、現地時間の2/11(つまり本日)、メモリ関連のセッションが行われているらしい。
先月23日に独Quimanda社が破産申告を行い、また電気屋に行くと明らかにヤバさが伝わる値段でメモリが投売りされている現状だが、そんな疲弊したメモリ界を救うべく、各社が血を滴らせながら開発した新技術が、満を持して明らかにされる模様。
極東からは、磁性体(NEC)と強誘電体(東芝)による不揮発性記憶素子が、いよいよ実用レベルでの参戦とのことで、なにやら期待が持てる。

人類特有の能力である記号をハンドルする力が、今日を境にして、その密度・速度ともに次の段階へと踏み出すことになるのだろうか。

dentaku

2008-12-04 01:56:23 | 随想
・VOCALOID

青土社が初音ミクについてユリイカ増刊で一冊出すとのこと。どんな記事なのか、楽しみだ。読んで認識が改まる前に、今の自分の考えを簡単に記録してみる(初音ミクじゃなくてボーカロイドについてだけど)。

ボーカロイドについては、最近まで自発的に曲を聴いたことすらほとんどなく、ムーブメントについても、ちらほらネットで目にする程度以上には把握していないという状況だったのだけど、今年の9月にがくっぽいどを衝動買いし、そして自分で使いつつ人の曲も聴いてみたりしているうちに、これがなかなか面白く愉快なものだということが分かってきた。
感じたことを、いくつかの観点から言葉にしてみると・・・

1.端的に音源として面白い

音色がひとつのシーンを作る、という現象はTB303=アシッドアーメンブレイク=ジャングルみたいな例がこれまでにもあるが、ボーカロイドはずばり「歌」をターゲットとしているがために、楽曲フォーマット(ジャンル)を縛ることなく、ボーカロイド曲として音楽を作り、ボーカロイド曲として音楽を聴く人々を、一定規模で求心することに成功しているように思える。
「ボーカロイド曲として」という枕言葉については、少なくとも自分の場合だと、どうやら作るときも聴くときも、無意識にそのような態度で作品に接しているようであるし、明確にそうした意識で曲に接したほうが色々と発見があった気もするので、使ったもの。
ちなみに自分が初めて聴いた初音ミク音源はこちら

2.便利

歌モノの曲先型製作フローとしては、だいたいのところ

メロディ作り⇒歌詞作り⇒録音⇒音作り

というような経路をたどることが多いと思うのだけど、人間が生録する場合、これらのプロセスは基本的に非可逆なものと考える必要がある(ただしauto-tuneとか使えば、ピッチだけは録音後にもある程度操作できる?)。
しかしボーカロイドを使えば、上にあげた4つのプロセスを自由自在に行き来しながら音楽を作ることが出来る。つまり、各段階をクローズせずに並列作業できるわけで、(そのことが純粋に喜ぶべきことなのかは留保するにしても)製作の途上にあらわれるいくつかの時間的な制約を取り払うことが出来る。このことはデモ製作用ラピッドプロトタイピングツールとしてもボーカロイドが活きる、素晴らしい特徴だと思う。
とはいえ、しっかり歌わせることを目指した場合、いまのところ時間効率は途端に逆転してしまうのだけれど。。とりあえずエディタの編集機能があまりにもプアなので、ユーザー的には、そこをまずなんとかして欲しい。
ちなみに自分の場合は、エディットするほど不自然な歌唱になってしまうという業を抱えているようなので、一曲通してすべてのパラメータをほぼ一定にする、いわゆる無調教で通している。
こうもエディットが上達しないのは、ひょっとして自分自身、絶望的に音痴だからなのだろうか。


3.キャラクターの一人称を使える

歌詞の言葉に劇場的な物語性を持ち込んだ場合でも、全体としていい感じに成り立ってしまうのが強い。人間が人間として歌った場合だと、表現にリミッターがかかってしまうような、キャラクター性やサイボーグ感、あるいはファンタズムに溢れたモチーフであっても、きっちりと登場人物の視点に巻き込まれて歌いこなしてくれる。
常時「みんなのうた」的な不思議な訴求力が付与されているような印象だ。
これはボーカロイドならではという感じがするので、いつか自分もやってみたいことではあるのだけど、物語に対する感度や作詞、作編曲技術の不足により「やりたいけどできない」という状況なのが歯がゆい。

まぁそんな感じがいままで使ってみて、聴いてみて受けた印象のだいたいのところ。ちなみに自分が今まで作ってみたボーカロイド曲はこちら。タイトルや歌詞は割りと元ネタありき。


・Tracktion3メモ

ソフトを最新版にアップデートするとQ6600でばっちり動いた。が、オーディオの書き出しデータが毎回微妙に異なるなど、ソフトの基本的な機能に関する信頼性には、相変わらず不安がある。
また、デフォルトで付属しているMDAプラグインの"degrade"と"multiband comp"を、ひとつのプロジェクトで複数使用すると、コンテクストエラーを吐いてDAWが落ちる。
いまさらSP-1200よろしいビットクラッシュもないかとは思うが、コーラスのキャラクターを変えるのにdegradeをうっすらとインサートしたりもするので、このバグは痛い。

Visions of China

2008-10-18 23:04:41 | 随想
・ご挨拶

去る10月13日、M3にてHeliodor Recordingsのブースへお越しいただいた皆様、どうもありがとうございました。
また、このたびはブースまで足を運んでいただいたにもかかわらず、お客さまのお求めになられた作品をこちらでご用意できていないという場面がありました。
この件について、大変申し訳ありませんでした。
必要な数を把握し、準備できなかった事態は、ひとえに私の努力不足によるものです。今後はこのようなことのなきよう、しっかりと準備してイベントに臨みます。

近日中に、新作および旧作について、委託による通信販売の準備を整えてまいりますので、今後ともHeliodor Recordingsをよろしくお願いいたします。





・中国行

私のイベント不参加についてですが、ちょうどそのタイミングで用事が入り、連休から今週の水曜にかけて中国まで出向いておりましたため、製作したものを皆様に直接お渡しすることが出来ませんでした。あと、ビッグサイトにおける地域総合防災力展への不参加も同様の理由です。ここに書いてもアレですが。
以下は中国の覚書になります。


・人について

今回、出会った人たちは、とにかく呑みまくっていた印象。たとえ仕事中であってもランチにはビールを飲むし、さらに夜は宴会ともなれば、ぶっ倒れるまでアルコールを摂取するというフルコンタクトぶりを発揮してくださる。
中国式の乾杯(かんぺー)は基本的に一気飲みで、白酒とよばれる焼酎を小さなグラスでぐいっとやる。そしてグラスが空になったことを席の一同に示すため、グラスを逆さにして振ってみせる。この乾杯コールは、誰かが自己紹介をするなど、頻繁なタイミングで行われるため、一通り挨拶が終わった時点でかなり酩酊しているという状態になる。そのあとも無限に酒が注がれ続けるので、ごく自然ななりゆきとしてゲスト、ホスト双方に負傷者がでる。
しかし、現地人いわく「それはわりと普通。」らしい。
そのへんのハードコアっぷりを除けば、今回あった人たちは皆、親切で面白い人が多かった。向こうでは英語が通じないことも多いので、ディープに色々な話をしたければ、中国語は必須かもしれない。今回は指差し会話で乗り切った。
それはそうと、名探偵コナンは中国でかなりメジャーらしい。


・街について

今回は北京と青島をまわってきたのだけれど、基本的に日中はdoor to doorだったため、ほとんど中国らしいところは見れなかった。が、夜の北京は面白かった。
昼に車から町並みを眺めたときは、別にそれほどグっとくるものはなかったのだけど、夜になると町並みの全てがブレードランナーやAKIRAのようなサイバーパンク風味になって、とても楽しい。
日本ではありえないような幅をもった高層建築がズラっと立ち並び、煌々とネオンを輝かせている。その光がスモッグで汚染された夜気に色をつけて、実に妖しい雰囲気をかもしだす。ビルの隙間の裏通りには飲み屋や屋台が立ち並び、なんともいい匂いを放っているのだが、よくみると売られているのはサソリだったりして。
朝は、かなりはやくから店が開いているので、ゲームとCDが売っている店に寄って、適当に購入してみた。旅先で音楽を買うのはいつも楽しい。
ただし、おそらく今回買ったのは、いわゆる海賊盤というやつで、中身はユーロビートみたいのがたくさん入ったのとか、向こうのポップスをたくさん集めたのとか、そんな感じのものだった。

God Knows

2008-10-05 19:32:39 | 随想
ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの小説『虚数』のなかの、"ビット文学の歴史"という一章において、いわゆる神の存在証明について言及したようなくだりがある。次のようなものだ。
(ただいま本が手元にないため、以下、誤りや勘違いが混入しているかもしれない点については、あらかじめご了承を。)

情報学的な手法によって人間の文学を分析する能力を持った人工知能が、その分析対象として、天啓を通じて神とのコミュニケーションを行ったと主張する宗教者を選んだ。その人工知能は、彼が啓示体験の前後にあらわした文章それぞれを、お得意の情報学的な分析にかけてみた。ところが、その宗教者が文章をものした時点における啓示体験の有無にかかわらず、彼の文章に含まれる情報量にはさしたる差異が見られなかった。全知全能の神とは、無限の演算能力を持つ存在であり、無尽蔵の情報源であると考えられている。そのような情報源の存在を確信するためのプロセスにおいて、なんらかの本質的な情報量の増加が受け手に伴って然るべきであるが、分析によると、天啓によって彼が本質的に新しい知識や知恵を得たということは、どうやらなさそうなのである。したがって、受け手における情報量の増加が確認されない啓示体験を、全知全能である神の存在を論ずる材料とすることは、少々疑わしいことなのではないか、と人工知能は結論する。
(ちなみにこの人工知能は、ドストエフスキーの全著作を分析し、得られた情報をもとにドストエフスキーが本来の遺作の次に書いたであろう小説を構成してみせ、世界中の文学評論家から「ドストエフスキーすぐるw」という評を引き出すほどの実力の持ち主、という設定だ。)

上の論理でポイントとなっているのは、無限の演算能力や人間には知りえない情報を持つものの存在を、なんら知識の増加を伴わない方法で確信することは不可能ではないのか、と考えた点にある。
実はこの点については、対話証明(Interactive Proof)と呼ばれる数学的方法によって、なんら知識の増加を伴うことなく、自身が知りえず、かつ導きえない情報を対話相手が知っているという事実、あるいは対話相手が無限の演算能力をもつという事実を確信することが、状況によっては可能であるという結果が得られている。正確には、そのような状況を作り出す数学的問題、および対話プロトコルを構成することが可能であるという結果が知られている、というべきか。
(虚数の発表は1981年、対話証明の論文誌発表は1985年)

問題がスケールダウンするので、もはや神の存在証明とはあまり関係ない話になってくるが、以下、対話証明について少し。


・対話証明

この対話証明の論法自体はわりと単純な構図で、おおまかな証明スキームは、検証者(上の場合では宗教者)と証明者(上の場合では神)が交互にメッセージのやりとりをし、その結果から検証者は証明者の能力に対する確信の確率的度合いを徐々に高めていく、という手続きによって成り立つ。
具体的には、相手の持つ能力Aについて確信を得たい場合、その能力A抜きでは、ある値以上の確率で、その両方に正しく答えることはできないという性質を持つ複数の問題を構成する。最初のターンで検証者は証明者に対して、それらの問題のいずれかをランダムに提示する。続くターンで、その問題を受けて証明者はその解答を検証者に提示し、検証者はその解答を自身の計算能力の範囲内で検証する。そして、その検証結果により確信の度合いを見積もる。以上のプロセスを結論(能力Aに対する確信の度合いが100%あるいは0%近くに収束すること)が得られるまで反復的に繰り返す。

対話証明のバリエーションには、暗号やユーザー認証などのセキュリティ用途に用いられる、すべてのNP完全問題について構成可能な「ゼロ知識証明」と呼ばれるプロトコル(証拠=NP完全問題の解そのものを検証者に知られることなくして、証明者は「証拠をこちらが知っている」ということを検証者に納得させることができる)や、NP完全問題よりさらに難易度の高い問題(結論に対する簡潔な証拠を提出できない問題。例えば、あるNP問題の解の非存在を示す問題)を、演算能力において証明者より大きく劣った検証者に納得させることの出来る「アーサーvsマーリン・ゲーム」などが興味深いものとして知られている。

ゼロ知識証明(wikipedia): グラフにおけるハミルトン経路を証拠として、ゼロ知識証明を行う例が示されている。
グラフの同型性の判定とハミルトン経路の探索は、ともにNPに属する問題であり、証明者は答えを知っているか、あるいはNPクラスの計算能力を持っていなければ、提示された2種の問題に実際的時間で解答することはできないということがポイントになっている。

アーサーvsマーリン・ゲームの漫画: アーサーの求める条件を満たす解が存在しないことを、無限の計算能力を持つマーリンが、限定的な計算能力しかもたないアーサーに納得させる。
このプロトコルを使うと、2つのグラフの非同型性(同型性の場合における対応表のように、簡潔な証拠を提示できない)なども、検証者に納得させることが出来る。

Firestarter

2008-09-30 02:06:51 | 随想
・とある理由により、近所の消防団に予備団員として加入することになった。救命講習を受けたり誘導訓練などを行うらしい。世界の半分は燃えている。炎を前にして人は率直であらずにはいられない。

・今月、絶対に外せないノルマとして設定されていた仕事をようやく終えることが出来た。クリティカルなバグの看過を免れたどうかは、人知の及ばぬ神のみぞ知るところだが、それでも人事を尽くすことで、その蓋然性をかなりのところまで高めることが出来たのではないかと感じる。それにしても、シミュレーション環境を構築した先輩の強まり具合が半端ない。あやかりたいものだ。
あと残された24時間で自分個人のタスクを完了すれば10月は少し身軽に過ごせそうだ。(とはいっても、かなり無理目な量なので、すでに敗色は濃厚か。人に迷惑はかからないので甘んじて受けいれよう。)

・ということで心機一転、秋からは半端にしていた勉強などを再開したいと考えている。具体的にターゲットを絞ったほうがいいだろう、ということでP=NP問題の周辺を探ってみることにした。

P≠NP

かいつまんで言葉にしてみる。まずP問題とは実際的な時間で計算できる問題であるとする。それに対してNP問題は「少なくともしらみつぶし的な方法では解決できて、またひとたび解答の候補が得られれば、それが正しいものであるか否かは実際的計算時間において判定できる」といった問題である。このクラスに属する問題で、NPであってもPではない問題というものが存在するのかどうか。これがP=NP(P≠NP)問題だ。また、現在のところNP問題であると認識されているもののうちで、応用的にも意義深い多種多様な問題がNP完全と呼ばれるクラスに属していることが知られている。すべてのNP問題は、NP完全問題である命題論理の充足可能性問題に帰着させることができるという著しい特徴を持つ。すなわち、あるひとつのNP完全問題がPであるならば、自動的にP=NPという結論が得られるのである。
例えば公開暗号鍵体系において暗号化鍵から復号化鍵を導くという逆演算、あるいはVLSIの設計において有用性の認められるある種のグラフ問題などが、このNP完全に属していることが確認されている。そして、これらのうちでひとつでもPに属する、あるいは属さないことが確認されると、先述した性質によりNP完全に属するすべての問題において同等の結果が得られるということになる。もしこの問題が肯定的にせよ、否定的にせよ解決されたならば、現実的にも大きなインパクトを与えることになるのは間違いない。
難問中の難問として君臨するこの問題に挑みかかりたいなどとは、自分に言えたものではないけれど、数理論理学や有限数学など、関連する分野の勉強をしながら最新の結果を覗いてみることくらいは、望んでみてもバチはあたらないだろう。とはいえ、このおぼつかない脚力では、数々の優れた数学者が特攻していった奈落の淵に辿り着けるかどうかすら、非常に怪しいものなのだが。特に興味あるのはサーキット計算量の話(これはちょっと仕事に関係ある)と、コーエンの強制法との関係について。

Future Shock

2008-06-14 05:55:38 | 随想
2008年6月9日、ロスアラモス国立研究所はIBM製スーパーコンピュータ"Roadrunnner"が、数値計算アプリケーション向けのテストベンチ(LINPACK)で1PFLOPS(1秒間に10^15回の浮動小数点演算)超の世界最高性能を達成したというニュースをリリースした。

IBM,「Cell BE」「Opteron」ベースのスパコン「Roadrunner」で1ペタFLOPS超 (ITPRO)
Fact Sheet & Background: Roadrunner Smashes the Petaflop Barrier (IBM)
Roadrunner supercomputer fastest in world (LANL)

Roadrunnnerは、PlayStation3の心臓部としておなじみの"Cell Broadband Engine" を倍精度演算仕様に強化したものを1万2960個と、AMDの64bitCPU"Opteron" 6948個をコアとして構成され、理論的なピーク性能は1.6PFLOPSにも及ぶ。
主な用途としては核兵器の保守運用や自然科学研究などの技術計算を想定しているとのこと。

現在から約10年前、1TFLOPSはASCI Redによって達成されており、さらにその10年前、Cray2によって10GFLOPSが達成されている。
したがって今回の1PFLOPS達成によって"10年で1000倍"という指数関数的な性能向上傾向がふたたび維持されたことになる。
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未来学者のRay Kurzweil氏によると、このコンピュータの演算性能の向上といったような指数関数的な成長傾向は、生命体の進化プロセスに始まり、人口の増加、経済活動規模の成長などあらゆる領域において見られるものなのだという。
彼はこのことを"収穫加速の法則:The Law of Accelerating Returns"と名付け、以下の論考においていくつかの具体例を示している。

The Law of Accelerating Returns (Ray Kurzweil)
稀代の発明家Ray Kurzweil氏による基調講演
とてつもない未来を語る、「The Next 20 Years of Gaming」(Watch Impress)

(彼の思想の概略が紹介されている)

そのなかでコンピュータの性能向上に絡めて、人類の脳の演算性能にも言及した箇所があり興味深い。
人類の脳は、その構成要素である単体ニューロン束の計算能力と脳全体での集積度から下式のように大雑把に見積って、およそ2×10^16CPS程度の演算性能を持つと計算されている。

Human Brain
= 100 Billion (10^11) neurons * 1000 (10^3) Connections/Neuron
* 200 (2 * 10^2) Calculations Per Second Per Connection
= 2 * 10^16 Calculations Per Second

この数値と比較して、10^15PFLOPSを実現した先の"Roadrunnner"の演算性能は、単純なスケールだけでみれば人類の脳のレベルに相当肉薄しているとも言えるだろう。

そして、今後100年間で、現在の技術進歩に換算して20000年分の進歩を達成するというこの指数関数的な成長法則に従って見積もるならば、およそ2023年には人間の脳と同等の演算性能を備えたコンピュータが1000$(個人レベルでの所持が可能であるという意味)で手に入ると予測される、と氏は語る。



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単純な瞬間性能のみの評価を離れた、機能や構造面から人間の脳と知能の神秘に迫るアプローチもコンピュータを使って試みられている。

2008年2月に開催された半導体の祭典"ISSCC :International Solid-State Circuits Conference"では、大脳新皮質の計算模倣による学習機能をベースとしたアプリケーションの実用化を研究しているJeff Hawkins氏による基調講演が行われた。

ISSCC 2008 - 脳の働きに近づくHTMシステム - Jeff Hawkins氏が講演(マイコミジャーナル)

彼は米国における著名な脳科学者であり、またPDAベンダーのPalm, Incを起業した実業家としての顔ももつ。現在は脳機能のコンピューティングへの応用を目指したベンチャー"Numenta"を創業し、そこで"HTM(Hierarchical Temporal Memory)"という大脳新皮質の記憶メカニズムに基づくコンセプトのソフトウェアの研究開発を行っている。
講演では、向上したコンピュータ性能にふさわしいアプリケーションとしてHTMを引き合いに出し、また将来的にHTMを半導体ロジックとして集積することの可能性も示唆した。



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我々人類が技術的困難をクリアし、未来において人類に匹敵-凌駕する知的能力を発揮するコンピュータが実現されたとしたならば、それは一体何をもたらすのだろうか。

Kurtweil氏、あるいは著名なSF作家であり数学者でもあるVernor Vinge氏はその瞬間を"技術的特異点 :Technological Singularity"と名付け、その特異点以降は人類に代わり人工知能が発展の先鞭を担う、ポストヒューマンの時代が到来するのだと予想する。
これはコンピュータが自意識を持つようになるといったいわば人間寄りの話ではなく、ある閾値を超えた技術はその時点から自己増殖的過程にはいり、それが人間を置いてけぼりにしてあたかも文化圏のようなものを形成していく、という抽象的なシステム観に基づいた未来像だ。



あらゆる予想予測を的中させてきた希代の未来学者によるこの最大の予言は、果たして成就するのだろうか。

ところで氏は高級シンセサイザーメーカーである、かの"Kurzweil"の創業者でもある。


Kurzweil Music System

完全な理論

2008-05-30 04:18:56 | 随想
数学に関する質問です。なぜ一度正しいと証明された定理が覆されることがないのか? ということが理解できません。

>「あらゆる科学理論は本質的には仮説であって真理ではありえないので、常に反証される可能性がある。そして反証された時にその理論は敗れ去る」
>これは非常に納得できることです。
>しかしどうして数学の場合は科学のように反証可能性のようなものがないのかがわかりません。
>「論理だから」というのは自分にとっては全然自明ではありません。
>そう言われると、なぜ論理だと覆されることがないのか? という新たな疑問が生まれるだけです。
>「論理だから」が本当に正しのか、そしてそれが正しいのならばどうして論理だと覆されないのか、
>それともそれ以外の理由があって数学の定理は覆されないのかを教えてください。

この質問そのものについては、皆さんの答えにあるように、
「物理学とは異なる要請によって、数学は常に反証されうる」
というのが現在における多数派の見解であるかと思います。

第一不完全性定理:数学のある形式的体系が自然数論を展開できる程度の表現力を持つならば、その体系が完全(すべての命題の真偽を証明可能)かつ無矛盾(ある命題が真である、かつ偽であると証明不可能であることが保証されている)であることはありえない。
第二不完全性定理:数学のある形式的体系が自然数論を展開できる程度の表現力を持つならば、その無矛盾性を自身では証明できない。

ゲーデルによるこの二つの定理によって、数学は矛盾しているか不完全かのどちらかであり、かつ無矛盾であるという保証を原理的に得ることが出来ない、という数学の限界が示されることになります。その事実により、ある命題を証明しようとした場合に得られる結果は以下のように分類されることが解ります。

1.その命題が真(偽)であることを証明できる。(決定可能)
2.その命題の真偽を決定できないことが証明できる。(形式的体系からの独立性を証明可能)
3.その命題は真、偽、あるいは独立のいずれかであるにもかかわらず、そのことを証明することができない。
4.形式的体系の矛盾が証明される。

この4.にあたる結果こそが数学における反証であり、ひとはこの状況に直面して初めて新たな数学の建設を迫られることとなります。現在では過去に幾度かの危機に数学が晒された結果、慎重に矛盾の可能性を排除したZFCと呼ばれる形式的体系が作られ、いまではスタンダードに仮定されるようになったとのことです。

ではこの「自然数論を展開できる程度の表現力」というものに制限を加えていけば、完全な、つまりあらゆる命題の真偽が決定可能な形式的体系が得られるのか、といえば、これは実際に得られます。有名なものでは、普通の自然数の演算体系から掛け算を排除した「プレスバーガー算術」とよばれる体系や、体系内で定義される数の個数が有限で、かつそれらを用いて作られるn次方程式がすべてその中に解を持つ(代数的閉体)ような「ACFp」と呼ばれる体系が、完全かつ無矛盾であると示されています。

ところで、いわゆる西洋音楽の体系というのは完全なのでしょうか?
つまりある西洋音楽のシステムを形式化すること、あるいは数学の上に西洋音楽を展開することを考えた時、それは果たして有限状態機械によって十分に取り扱えるクラスに落ちつくのでしょうか?このあたりについては、自動作曲システムやピッチクラス集合論やらの絡みで色々と研究されている気がするのですが、正直あまり興味がない、というか音楽理論自体そもそも知らないです。
コード理論くらいまで抽象化されてると、単なる文字列になるのでうまく扱えそうですが。
すいません、最後ムリヤリ繋げました^^;

素人志向

2008-05-05 00:56:49 | 随想
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
「M3に参加しようとしたら申し込みが終わっていた」
そんなポルナレフを貼る価値もないくらいに初歩的なミスをこの春にかましたため
特に新しい更新材料はなかったりするわけで。
しかしながら、そんな折にもイオン氏からバトンという名の散文詩をいただいたので、
それにかこつけて、ここぞとばかりに真人間ぶりをアピールしたいと思います。



>○何型
AB型

>○自己中
夜のゴミ出しなどはしない主義。

>○長所は?
手の形がイチローっぽいという事実は、私が皆様に
自信を持ってお伝えできそうなことのひとつになります。
その他の詳細についてはポリンキーまでお尋ねください。

>○短所は?
義務教育時代の成績書をひもとくと
「相変わらずフワフワしている」
といった客観的な意見が赤ペンで記載されておりました。
的確っ・・・!

>○泣き虫
マイケルジャクソンのDVDでマジ泣き

>○すぐ怒る
とりあえず困ったことがあるとバブル崩壊のせいにする
怒れるポスト団塊ジュニア世代の典型にございます。
嘘です。世代論とかどうでもいいです。

>○めんどくさがり
ルー大柴もすなると伝え聞き、喜び勇んで開設した
この無策なblogの惨状からお察しください。

>○気分屋
気分で人生を決めるなとよく忠告されます。

>○八つ当たりする
ストレスが溜まると「たべっこどうぶつ」をたべるとき、
まず顔面から食らいつくといった風に獰猛になります。

>○怒鳴る
「ジャポニカ!ジャポニカ!」

オモロくないこと書いてないで
以下すこし普通に書きます。

>○命令する
そういう役回りが求められる立場であるなら。

>○物にあたる
我に返ると手元には粉と化した堅焼きせんべい。
そんな界王拳。

>○優しい
優しくない。

>○毎日笑顔
毎日顔面蒼白。

>○遠慮なく何でも言う
口にすべきでないことはわざわざ言わないように気をつけてます。

>○わがまま
相手によっては。

>○おとなしい
状況によっては。
むしろ最近はだいたい大人しい。

>○無愛想
歩いてるときは憮然とした面してるらしい。
やですねぇ。

>○どちらかと言うと姫?悪魔?
細木「姫を拉致しに来た悪魔に2秒で殺られる雑兵」

>○ズバリ性格良い?悪い?
ズバリ「まずい」

>○自分で思う性格
バナナ

>○人に言われること
「いいから早くしろや」

>○男女関係なく友達の理想
名前がビルで姓がゲイツな人。
うそです、友達になってくれるなら別にどんな変態さんでもかまいません。

>○好きな異性の理想
女丈夫

>○最近言われて嬉しかったこと
「ほらカステラだよ、食いな」

>○バトンの送り主の顔を見たことある?
ただいま念写中。

>○送り主の印象は
ここは真面目に。
自身の作るもののパワーを基本の部分で疑ったりは絶対しないけれど、
表面に出るディテールに関しては謙虚に厳しくチェックしていて、
そのあたりの攻守のバランスどりが巧みであらせる、そんな印象。