池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

ピアノ買換え

2009-06-21 | 買い物・メンテナンス

昨年で購入後20年となったピアノは音の艶が衰え、地声でジャミジャミ鳴り、高音域の弦がよく切れ、調律師から、ハンマーと弦をすべて取り換えることを勧められていた。
そうなれば1週間以上工場に入院することになる。見積もりは往復の送料も含め60万円を超える。
そのピアノは高音域のフレームの型に弦を切れ易くする欠点があると聞いている。
考えた末、もう1年かけて倍の資金で1ランク上の中古を買う事にし、それまでは常にソフトペダルを踏んだ状態になるよう細工し、騙し騙し使っていた…。

今月ネットで検索すると、丁度欲しかったモデルの使用頻度の低そうな、予算通りの物があり、夜だったのでメールしたが、翌日電話した。
「今日試弾出来ますか」と聞けば、やたら明るく甲高い声のおば様が「スタインウェイですか、フルコンですか?」と景気の良い事を聞く。
「グランド・ピアノですけど」と言うと「ええ分かってます、分かってますよ」。

その店に行くと、2階のホールにあるコンサート用ピアノのレンタルと勘違いされていた。
中古ピアノはそこから100メートルちょっとの倉庫兼展示場だ、と案内された。探し回って「あら!これかしら」とおば様が示したのは、まだ梱包されたままだった。
スタッフが戻り、梱包を解き、組み立て、弾けるようになるまで1~2時間かかると言う。
良ければさっきのホールでピアノを弾いて待ってくれるか、と言われ、YAMAHAのフルコンを弾いていると1時間半ほどして呼ばれ、再び行く。

梱包を解いたばかりの、調律やクリーニング等一切していない状態。
外見は古そう。ピンもくすんでいる。しかし鍵盤のガタは無い。弾くと音程はめちゃめちゃだが、チェックしたいのは基本性能。
フォルテが出ない。フォルティッシモで弾いてもメゾフォルテにしかならない。ソフトペダルを踏んでも殆ど変わらない。まだハンマーの溝が浅いためだ。弾き込まれていない証拠だ。
保証書に書かれた調律記録を見る。平成3年購入、4年まで4回、その後は10年になり以降5回しか調律していない。
「山梨あたりの別荘に置いてあったらしいです。音大生やピアノの先生だったら譜面台にライトを据えた傷があるのに、きれいです」と調律師が説明する。
まだ鳴らされる悦びを知らない、初なピアノだ。鳴かせて見せようホトトギス。
買う事に決めた。「1週間後くらいにまた来ませんか、見違えるほどピカピカに調整しておきます」との事。

そして今日、仕上がったと連絡を受け、見に行く。外見は元より、ダイナミックレンジもソフトペダルの効果も素晴らしく蘇った
その日の晩、自宅に届いた。深淵に溶け込むピアニッシモ!
古いピアノは驚くほど良い値で下取りしてもらった。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりですAmiciziaです、非常に文学になって... (Amicizia)
2009-06-27 21:00:20
お久しぶりですAmiciziaです、非常に文学になってますね。 基本性能をチェックできるなんてプロですね!すごい。”まだ鳴らされる悦びを知らない、初なピアノだ”いやはや文学です。 幸せなピアノはやっとすばらしいご主人と出会えたわけですね、すばらしい曲をたくさん書いてください。
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Amiciziaさん、お久しぶりです。 (I)
2009-06-27 22:18:26
おほめに与り恐縮です。
一応ピアノ販売、教室の会社に勤めていますから…。
作曲の方も頑張ります!
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