熱演の嵐…今回の本選会も心をかき乱され、圧倒された。
ところで日本人は日本語のネイティブ。外国語は沢山の単語を覚え、文法を勉強しても、多くの人は片言が話せる程度にしかならない。
でもネイティブなら自然に母国語で感じ、その言葉で考え、その言葉で人を感動させることが出来る。音楽も外国語と同じ。ネイティブを目指そう。
そのためには、
1) 小節線にとらわれ過ぎない事。それは時間ばかり気にして集中できないのと同じ。
2) 記号を守ることにとらわれ過ぎない事。それで良い演奏になると思ったら大間違い。守らない方が良いと強く思ったら、守らなくても良い。それがネイティブ。
3) 調性を感じる。属調、下属調、平行調など皆が勉強するが、それは「地球で歌う」、「月で歌う」、「火星で歌う」くらいの力を持つ。例えば今回演奏された曲:
・サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲Op.61-3」終楽章は、後半C durに転調する。これは主調h mollから見てナポリの調。
・ブラームス「ソナタ第3番」終楽章の最大の盛り上がりはCes dur。これは主調f mollから見て下属調のナポリの調。
どちらもブラックホールに入ったか、と思うほどショッキングな調。音楽のネイティブならそう感じる。
今回も最高の本選会だった。おめでとう!
(第32回島村楽器音楽コンクール本選会で私が述べた講評/紀尾井ホール)
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