弾き込んだピアノはハンマーのフェルトが堅くなり、音がうるさく、余韻は反対に乏しくなる。
ハンマーを削って新品のようにするのがファイリングという技術で、約2時間の作業、2万円程の費用がかかる。
1台目のグランドピアノはファイリングを2回した。
そして買い替えた中古のピアノも数年使い、音が堅くなった。
乾燥が続いた先月末、堅い音に我慢できず、ある衝動に駆られた。「ピアノに水気は厳禁」というタブーに挑んだのだ。
果して、ファイリングに匹敵するか、それ以上の劇的な効果が得られた。
柔かく丸みのある音になり、限りないピアニッシモが蘇り、余韻も長くなった。内声も自在に出るようになった。
ハンマーの反発力が増し、弾けなかった細かい音型が弾けるようになり、ミスタッチも減った。
これこそ失われた愛器の音。
…こうするのに高度な技術など要らない。たった数秒しかかからない。しかし誰も思いつかないのか、検索しても出て来ない。
「ピアノのハンマーに霧吹き」などとは!(真似をしてはいけません!)
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