荷車の夜

知人の夭折を知って感情が高ぶり、ほぼ完成した拙作に大幅に手を入れる必要があると思ったが、それはもう不可能。クリエーターの多くは〆切ギリギリまで知恵を絞る。ゾラ「制作 - L'œuvre」の一節に、提出前夜の追い込み状態を建築家の間で「荷車の夜」と呼ぶ、とある。 . . . 本文を読む

モノクロ・倍音マジック…フルート・オーケストラ

フルートだけのオーケストラは、サイン・ウェーブとホワイト・ノイズで作った電子音楽のようなもの。同じ音型を繰り返す際、低い方の倍音から少しずつ除去してみた…徐々に蜃気楼のように霞んでいった。一方、墨絵の龍神のような表現は出来ないものか。モノクロならではの陰影の深さ、どすの利いた表現… . . . 本文を読む

ウィンド・オケのグラデーション

パート譜はジグソーパズルの断片、と始めは思っていたが、むしろ「47色刷りの版画」の一刷り一刷り。パート譜をパソコンに演奏させてみると…フルート属だけ、翌日オーボエが加わり、さらにファゴット、クラリネット…多色刷りそのもの。 . . . 本文を読む

吹奏楽は熱帯雨林だ

吹奏楽の名作―それらを聴くほどに、一方でなぜ？と思うほど単調に感じてしまう。その最大の理由の一つは転調が無いことではないだろうか。せいぜい近親調以外に転調しない。 . . . 本文を読む

スコア・ダイヴィング

音楽的なクライマックスと音響のクライマックス…音楽的な要素（メロディーや音型・響き・リズムなど）がどんどん緊迫するのが前者。音や音群、音響そのものの音量や音の数がどんどん膨らんでいくのが後者。 . . . 本文を読む