風船花の次回のライブは、11月8日。地域の北光小学校で。
生ピアノと、アコギ2本での演奏。歌、さらにコーラスの練習しなくちゃね。
では、20話。ヒロトは救われるか!
そして、バンドの練習日、練習が終わり、遥希たちが帰った音楽室で、南先生にこれまでの顛末のすべてを話し、僕の気持ちを聞いてもらった。
「ハルキやカホには…内緒だよ…」
と前置きして僕は話し始めた。
南先生は、僕の横に椅子をおいて、途中で話しを遮ることもなく、「うん」、「そうか」、「わかるなあ」と頷きながら聞いてくれた。
話しを聞き終えた先生は、
「それは、辛いなあ。少し考えさせてくれ」
僕のすっかりへこんだ心をしっかり受け止めてくれた。そして、僕が音楽室を出ようと先生に背を向けた時、僕の肩をパン、パン、パンと三回、叩いて、最後には、ぐーっと深く力を入れて、僕の肩を揉んだ。
「よく話してくれたな。うれしいぞ。がんばれよ、ヒロト!」
と言った。
肩に乗せられた先生のその手から、温かい先生の温度が伝わってきた時、涙がこぼれた。初めて泣いた。こらえていた涙が一つ流れたら、その後の涙をもう我慢することができなかった。
それから、間もなく寿小で研究会が開かれた。僕たちの教室は、この算数の授業を見に来た、ほかの学校の先生で一杯になった。いつもと違う雰囲気の中で、何気なく、振り向くと、スーツ姿の南先生が僕に小さく手を振った。
いつもグレーにピンクのラインの入ったジャージ姿の遠山先生も今日は正装している。
そして、明るい声でにこやかに授業を進めていく。
「問題はこれね、いいいですか?」
と言いながら、この問題を書いた模造紙を黒板に貼った。それから、
「いいですか?大山君はどんなやり方を考えたのかな?」
僕らに発表を促したり、
「とっても、よい考えよ、みなさん、いいですか」
などと、褒めたりした。
変わらないのは、「いいですか」だけだった。そんないつもと違う雰囲気に乗せられて、僕らは次々に発言した。そして,僕も一生懸命に考え、とても楽しい勉強だった。
終わりのチャイムが鳴る。
「今日は、みなさん、とっても頑張りましたね。先生はうれしいです。それでは、終わりましょう、いいですか」
最後まで、僕たちを褒めて、授業は終了した。
「本日はどうもありがとうございました。授業の反省は、
十四時二十分から図書室で行いますので、ご移動願います」
遠山先生は丁寧にお辞儀をし、次の予定を案内した。
「毎日、ほかの学校の先生に来てもらいたい」
僕は、そんな気持ちで机の中の教科書やノートをランドセルにしまっていた。
南先生、登場!南先生は、ヒロトを救うことができるか!
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