[教室訪問のまとめ]
月に一度、各担任一人一人が、いわゆる特設の研究授業を行っていたのである。毎月、6回研究授業があった。さらに、おもしろいのは、児童が先輩の授業を参観するということ。もはや、南学には教室の壁はなかったに等しかったのである。
導入年の昭和41年の成果を次のようにまとめている。
○教室訪問に対する既成概念の束縛から解放され、新しい意味付けをする意欲が出始め、授業を公開し合う風潮ができ上がり、意見交換や批判活動も活発に行われ、人間関係も望ましい方向に進んだ。
○授業に対して、自分の考えをはっきりもって臨み、失敗してもこれを真摯に認め、言い訳をせず、原因の探究に当たり、批判に対しても反発すべき時には堂々と反発するといった活動が行われる。要すれば、授業に対する自信と、研究に対する謙虚さが態度に表れてきた。
○「授業を大切にする」考え方が、日常実践を積み上げる中で、より確実により厳しく吟味され、この成果を発表させ、行事等の実施においても、子どもを大切にする中で、全校一致して、取り組む体制ができる。
この記録から全体で教室訪問の成果を実感し、より組織的な研修体制の確立に向けて前進した様子がうかがわれる。
さらに、昭和44年記録を見るとこの教室訪問が定着し、研修の基盤となったことがわかる。
「こうした訪問活動が、研究の素材を提供し、先生方全員の授業に対する味方、考え方を共通の広場にまとめ、同一方向に同一歩調で研修が進められ、本校独特の研修体制をつくり、よい授業づくりの基礎となっている。」