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主としてメディア系で新規事業を考えるときのヒント。基本的には竹田茂のメモ帳。

スケジュールとは何か

2005年02月06日 | Weblog
スケジュール帳に記入されたアポイントは、一見すると、あたかもそれが確定情報であるかのように見えるが、突発的かつ重要度の高いイベントの割り込み等の影響を受けて変動することが多い。このように移ろいやすいものを我々は「スケジュール」と呼んでいる。つまり、スケジュールの特徴は、曖昧な先の予定と、こんなつもりではなかった過去の軌跡(日記とも言う)により構成されるところにある。

ところで、スケジュールはグループで共有することが多い。「グループ」という言葉からは、少なくとも3~5人、多い場合は数十人の人間が、ある目的のために集まっているものをイメージしがちだが、2人でも立派な「グループ」だ。デジタルコンテンツが客体化された場合はたった1人でさえグループのように機能する。つまり我々は個々に膨大なグループ数を保持していることになる。勤務先で同じグループウエアを利用するメンバーも、膨大なグループのひとつに過ぎない。

自分がどういう人間なのかを説明するときに内省的に悩むよりは、誰と会っているかを記述したほうがよほどわかりやすい(少なくとも他人に説明しやすい)。空間と時間を共有する相手(つまりグループ)の複数セットがどのように時系列で配置されているかは個性(パーソナリティ)そのものである。これはスケジュールに他ならない。つまりスケジュールは最もその人の個性を分かりやすく説明する資料になり得る。しかも、我々は、他人の時間は奪いたいが自分の時間は奪われたくないと考える。スケジュール=パーソナリティと考えると、スケジュールが個人中心に組み立てられるのは当たり前の話だし、グループ内の他のメンバーであっても公開などしたくないのが普通だ。

このギリギリの攻防、お互いのエゴのぶつかりが「スケジュールの共有」である。スケジュールの共有のキモは「出すのも知るのも必要最低限で済むか否か」ということにあるのだが、前述のメンタリティがよく分かっていないと、誰もが使いたくなるソフトウエアにはならない。