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主としてメディア系で新規事業を考えるときのヒント。基本的には竹田茂のメモ帳。

ギフトと文脈

2005年12月24日 | Weblog
すべてのコミュニケーションはギフトに置き換えることができる。慌しい年末の街中を走り回る宅配便のトラックから運び出される数々のダンボール箱を眺めていて、ふとそんな気がした。

そもそもプレゼントやギフトは想いやメッセージを形にしたものだが、目に見えない形のギフトがたくさんあるのはみなさんご存知のとおり。もっとも多く交換されているギフトは「言葉」だろう。朝の「おはよう」という挨拶はみんなが気持ちよく過ごせるように送られるギフトとしてのコミュニケーションだし、尊敬できる先輩からの叱咤激励はそのままエネルギーになるのを実感できる。これに色や形、重さ、ラッピングなどが加わると可視化されたコミュニケーションとしてのプレゼントになる。

クリスマスプレゼントに専用のラッピング用紙が利用される、というのは、内容物よりはコンテナあるいはコンテクストがメッセージの主役になるというわかりやすいサンプルかもしれない。さて、状況や文脈はどのような要素から構成されるだろう。

a)時刻
b)緯度経度(位置情報)
c)季節や気温、湿度
d)空間(床と壁と天井の状況)
e)地域性や風土、視覚的印象
f)体調、気分、体性感覚や五感
g)年齢(経験)や性別
h)記憶や記録
i)状況を構成する人間関係(ひとりか、グループか、不特定多数の1人か......)
j)所得などの経済的状況(可処分所得、あるいは財布にいくら入っているか、など)
k)趣味嗜好あるいはそれを裏付ける(購入などの)実績
l)(主として他人の)評価

これらがパラメータとなって文脈は構成される。我々は、上記の要素を感覚的・総合的に判断してメッセージやギフトをを受け取ったり差し出したり、という相当複雑な作業を行なっていることになる。しかし、効率を重視したビジネスモデル構築という観点から利用可能な要素になり得るのは、個人を特定することなく比較的厳密に観測できるa)とb)だけかもしれない(しかし、a)とb)だけでも相当なことはわかる、とも言える)。その他の要素は本人からの曖昧な申請に頼らざるを得ず、あまり信用できない。