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歯科に関する四方山メモ

歯科医学に関わること、主に歯内療法・歯周治療関係を中心にメモ的に集めていきます。

科研製薬、来年初から歯周組織再生剤P3開始

2007-11-17 09:24:16 | 歯周治療
お久しぶりです。
かなーり忙しいので放置してましたが…
久々に歯科的に良いニュースがあったので記録がてら。
#このニュースはコレの続きの話になるんですよね。

***** 以下ココから引用 *****

2007年11月13日(火)
科研製薬、来年初から歯周組織再生剤P3開始
 科研製薬は、bFGF塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を使用した歯周組織再生治療剤「KCB-1D」について、今後の開発計画を明らかにした。フェーズ3は08年1月から09年10月に実施する予定。同剤の中でもっとも強い歯槽骨の再生作用を示す「KCB-1D0・3」製剤群をプラセボ群と比較。患者数は、プラセボ40例対同剤120例の計160例。10年3月の承認申請を目指す。KCB-1Dのピーク時売り上げ予測は100億円。
 [医療/ライフサイエンス] 

***** 引用終わり *****

健保適用なるのか、なるとしたらいつなのか(ならないと使用すると混合診療になっちゃうので)その保険での適用条件はどうなるのかとか色々湧き上がる疑問はありますが…

歯周病の再生治療について (Stop “永遠の五年後”)

2005-07-17 23:59:59 | 歯周治療
大阪府保険医協会主催の「歯周病の再生治療」(講師:村上伸也大阪大学教授)を聞いてきました。
村上先生の講義を聴講するのは初めてで、(大学の先生のお話は図表が多いので)「ついていけるだろうか(汗」と思っていたのですが、予想以上に聴講者が理解しやすいように工夫されたのだろうなぁという印象を受ける講義でした。(横文字が多いのがご愛嬌(?)でしょうか(^^;;)お蔭様で日曜日の午前中という厳しい(?)時間帯にも拘らず、惰眠をむさぼることなく聴講できました。

内容としては再生治療の総論(再生治療の社会的背景・歴史・分子生物学的根拠)と治療法に関する各論(補填材・GTR・エムドゲイン・将来的にあり得るサイトカイン療法や幹細胞治療等)という構成でした。

現段階での歯科の再生治療法と言えばGTRやGBR・エムドゲインがメインですし、大阪大学の歯周病室もそのような治療法を手がけているらしいのでそのあたりの話が聞けるかもという期待もある反面、村上先生の教室はこういう記事の元になっている教室で、そのあたりの話をどのくらい出してもらえるのかにも興味がありました。

具体的な内容としては、ほぼサイトカインによる再生治療の話題が中心でした。自分としては非常に興味のある話題でしたので、改めておさらいも含めて知識の整理になり大変有難かったです。
(そうそう「サイトカイン」というモノは体の中の細胞が他の細胞に出すタンパク質のシグナルです。これはこれで非常に多種多様で到底理解できるものではないのですが、それ故に面白さがあると思います)

で、そのポイントとして…
・組織の再生には再生の元になる幹細胞・再生の場となるscaffold(足場)・幹細胞の動きの引き金になるサイトカインが必要である。
・歯周病の再生治療において上記を満たす環境は未だ提供できない。
・歯周病の再生治療においての幹細胞としては歯根膜内の未分化間葉系細胞がその役割を果たす。
・再生の場となるscaffoldは現在は決め手に欠ける(臨床応用する際に操作性が困難な材料だと予後が不安定になるので)
・今後臨床応用されるサイトカインの候補としてはPDGF+IGF-1、PDGF、BMP-2、TGFβ、BMP-7(=OP-1)、bFGF(=FGF-2)などがある。

また、村上先生の教室で研究されているFGF-2はこれで、これに関してのポイントは…
・FGF-2は生体由来材料ではなく、リコンビナント(合成)材料である。
・研究開始から十五年経ち、効果・安全性に関して実験室内での細胞レベルから、イヌ・サルで確認されている。
・昨年、(上記引用サイトでも言及されるように)「前期第II相試験」が終了し良好な結果を出している。
・「前期第II相試験」とは…ヒトでの有効性・安全性を確認するための多施設での二重盲検である。
・安全性に関しては「投与後に薬剤の末梢血への移行が無いこと」「投与後に薬剤に対する抗体ができないこと」などが確認されているらしい。
・今後、「後期第II相試験」が行われる、らしい。
・薬物としての効果・安全性は試験・実験により確認されてきたが、臨床応用に際しての操作性に関しての方法論は完全に固定されている訳ではなさそう。
・何の問題も無く最短で認可作業が進めば3年後に商品化されるかも知れないが、実際上そのようなことは無理で、希望的な観測では5年後の商品化が期待される、とのこと。

#ココの「五年後」というのが自分としては微妙な話で。自分は14年前に縁あって、この研究チームを製薬会社まで運ぶドライバー役を数回したことがあるんです(^^;; そういう事情からもこの話は時々耳にしていました。一昨年頃から商品化が具体的な視野に含まれて来たようで、そのような話もチラッと聞いたのですが、その時も「五年後」、去年聞いたときも「五年後」でした。今年も「五年後」・・・そろそろカウントダウンに入るのか、来年も「五年後」なのか・・・? 先生方の頑張りに期待するしかありません。頑張ってほしいなぁ。・・・という期待を込めて今回のサブタイトルの「Stop“永遠の五年後”」であります(^^;;

そうそう、肝心の効果ですが、数字の上ではGTRやエムドゲインとは有意差は出ない程度、というような話です。が、これはscaffoldの問題が解決されるとさらに数字としてよくなるような予感・・・と、これは完全な私見ですが。

Ribbond

2005-06-20 22:31:58 | 歯周治療
ちょいと質問(って誰になんだろ?)

歯周病の動揺歯の暫間固定に時々Ribbondという材料を使っていました。
一度に使う量が知れてるので中々減らなかったのですが、そろそろ買いなおさないといけない感じになってきました。

ちなみにリボンドとはこんなのとかこんなのを参考に…

一度買ったら中々減らないこの商品、他に最近良い後発商品とか出てたりしませんか?
いえ、Ribbondには何の不満もないのですが。(ってか便利なんですが)

AAPより 「成人性歯周炎の治療時のSRPにPeriostatの併用ついて」

2005-05-25 19:57:15 | 歯周治療
http://www.perio.org/resources-products/periostat.htmより

***** 以下 試訳 *****

ペリオスタットは経口投与としての塩酸ドキシサイクリン20mgを含むカプセル状の全身投与用のコラゲナーゼ阻害剤である。これは、歯周治療時のスケーリング・ルートプレーニングに併用投与を目的として最初にFDA(アメリカ食品医薬品局)に承認された全身投与のhost modulation(宿主側の調整)薬である。ペリオスタットは一日二度の服用で、成人製歯周病で上昇している歯肉溝滲出液のコラゲナーゼ活性を減じた。

スケーリング・ルートプレーニングに偽薬とペリオスタットをそれぞれ一日二度服用にて併用した場合の効用を比較する、ランダム化した多施設での二重盲検試験での実験が行われた。その研究により、ペリオスタットを併用した場合に、初期治療終了後3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月時点でポケット深さの減少(治療開始時7mm以上のポケットで、1.20mmに対して1.68mm、4~6mmのポケットで0.69mmに対して0.95mm)と、臨床的アタッチメントゲイン(治療開始時7mm以上のポケットで1.17mmに対して1.35mm、4~6mmのポケットで0.86mmに対して1.03mm)が統計学的有意に認められることがわかった。多数の被験者や被験部位を全てのポケット深さやアタッチメントレベルにおける変化量の平均値は小さく、個々の被験者や被験部位で生じたであろう変化の大きさは反映されていないようだ。例えば、SRP+ペリオスタットをSRP+偽薬と比較した時、治療開始時にプロービング深さが5~8mmの多くの部位で2mm以上のポケットの減少が見られた(ペリオスタット併用が41%に対して偽薬が30%、886部位に対して640部位であった)。

3ヶ月ごとのフォローアップ時(その時には被験患者は追加治療を全く受けなかった)に、ペリオスタット併用後引き続き9ヶ月はポケット深さの減少と臨床的アタッチメントゲインが認められ、維持されていた。12ヶ月以上の期間での処置結果に関するデータは本学会では検知できなかった。

現在のところ本学会ではペリオスタットを使用した後に同部位で外科処置あるいは非外科処置が必要となる場合に関してのデータも入手可能な範囲では検知できなかった。さらに、成人性歯周炎以外の特定のタイプの歯周組織の異常や疾患での治療へのペリオスタットの応用例に関しての研究も本学会の検知する範囲にはない。

ペリオスタットやその他の補助薬をSRPに併用する際は、治療に当たる歯科医師は処置すべき異常部位の重篤性から期待できる予後を考慮しなければならない。さらに、従来の治療法を補強する補助的な処置を行っても、細かなホームケアや、細菌による影響を最小限にして適切なホームケアを容易にできるようにするための専門家によるルートプレーニングや適当なな治療の代替となるものではない、ということは強調しなければならない。この点においても、各臨床医は入手できるデータや個々の患者での必要性を考慮してペリオスタットが必要であるかどうかを決定しなければならない。

***** 試訳 終わり *****

このペリオスタットってのは日本では発売されていない薬剤なので、今一読むモチベーションが上がらないなーと思ったのですが、ネットで検索すると代行輸入されてるんですね。
で、要旨としては「4ミリ以上のポケットでの成人性歯周炎でペリオスタットを併用した場合、治療効果が上がる場合が多い」ということでしょうか。そして、あくまでも治療の補助剤ということなので、それ単独だけでは効果が上がらないのでしょう。それを強調せよ、と。
それから、おそらく実験されてないということは無いと思うので、成人性歯周炎以外の場合でもさほど効果が出ないのでしょうね。
治癒機転時にコラゲナーゼを抑制すると治療効果が上がる場合が多い、ということなのでしょうが、治癒機転時のコラゲナーゼの消長ってどんなんなんでしょうね。こんなのをサラッとサクッと調べられたら偉くなれるんでしょうが・・・

とりあえずこれでAAPのAcademy Statementは一通り飛ばし読みました。次はPosition Paperなんですが、こちらは一つ一つが長いめなので、どのように読んでいこうか考え中です。ってか、ひとまずエンドの話に戻ろうかなぁと思ってます。

*****

これはAAP(アメリカ歯周病学会)の発表した文献です。これまでに発表されているものはこのようなものがあります。適当な順に読んでいきたいなぁと思っております。不定期ですが。

AAPより 「歯周病科医の意識下鎮静法の使用について」

2005-05-14 19:38:47 | 歯周治療
http://www.perio.org/resources-products/pdf/39-sedation.pdfより

***** 以下 試訳 *****

バックグラウンド

歯周治療の間に、鎮痛剤、局所麻酔剤、あるいは非薬理学的薬物を用いた無痛覚または局所麻酔として、疼痛抑制を行う。しかしながら、疼痛抑制それ自体が、歯周治療を快適に行うにあたり、かならずしも全ての患者にとって十分ではないかもしれない。薬物を用いた不安抑制が適応となる患者も存在する。1、2 不安を持ちやすい患者への歯周治療を効果的かつ快適に提供するには、歯周病科医は意識下鎮静法による不安抑制を習得し提供できるようになっていなければならない。

the Accreditation Standards for Advanced Specialty Education Programs in Periodontics(歯周療法学上級専門教育プログラム公認基準(?))3 でも歯周病科医には意識下鎮静法に関するあらゆる分野の深い知識を身につけ、複数の意識下鎮静法を習熟するように要求している。さらに、歯周治療の上級教育課程はアメリカ歯科医師科医(ADA)の「歯科における包括的な不安・疼痛抑制の指導ガイドライン」に沿って行われるように求められている。4 さらに、アメリカ歯周病学会のガイドラインである「歯周病治療時における意識下鎮静法の臨床応用」5 はアメリカ歯科医師科医の「歯科医のための意識下鎮静法、Deep Sedation、全身麻酔のガイドライン」6 に基づいている。

意識下鎮静法は州のdental boardにより規制されている場合もある。この規制によって、確実に意識下鎮静法が安全かつ効果的に使用されるように要件と資格が制定され、改定されている。さらに、意識下鎮静法使用の免許証や認定証が発行される場合もある。歯周病科医はこの規制制度の動向と施行に関心を抱いている。

ポリシー・ステートメント
歯周治療時における意識下鎮静法の使用は歯周病治療の範疇にある。

***** 試訳 終わり *****

アメリカの歯科事情が解ってないのと、自分が意識下鎮静法(静脈麻酔という表現の方がポピュラー?)に疎いのとでで訳も曖昧で恐縮です。
文意は「歯周治療の診療時に意識下鎮静法を応用することがある。歯周病科医はその教育と訓練を受けており教育課程も整備されている。州によれば、意識下鎮静法は免許制/認定制である場合もある」という感じなのでしょう。アメリカのこういう細かな免許/認定制というのはある意味良いなぁと思います。有名なところでは日米とも歯科衛生士さんは法的にはレントゲンのスイッチを押せませんが、アメリカではデンタル・レントゲンを撮影する免許というのがあるそうで、その試験を受け免許を取得すれば歯科医院内限定でスイッチを押しても良いのだとか。(←記憶を頼りの話なので間違ってるかもしれませんが、大意はあってると思います)
日本の場合、「~師」「~士」という免許一つでできることも多いけれど、取得に費用と時間がかかって、細かくステップアップを図ろうという種類の免許は少ないですね。「○○資格」というのがどちらかといえばそういう種類なのでしょうか。歯科関連では殆ど無いですねー。

*****

これはAAP(アメリカ歯周病学会)の発表した文献です。これまでに発表されているものはこのようなものがあります。適当な順に読んでいきたいなぁと思っております。不定期ですが。

電動シャープナー 続き

2005-05-12 23:02:18 | 歯周治療
午後休診なのに、診療所にいたら材料屋さんが明日持ってきてもらう約束のヒューフレディのサイド・キックのデモ品を持ってきてくれた。ラッキー♪

で、試用してみましたが・・・
感想としては良いような悪いような。

まず、手でのシャープニングができない人は使ってはいけないと思います。せめて、シャープニングをしてどういう形にしたいかというイメージを持っていて、失敗すると刃がどういう形に変化してしまうかということを知らないと、テキメン刃を潰してしまうでしょう。
うちはグレーシータイプのキュレットは、LM-DENTALの「ロングシャンクで刃が短いもの」とアメリカン・イーグルの「標準タイプのもの」+「ロングシャンクのもの」とヒュー・フレディの「リジッドタイプのもの」を状況に応じて使い分けているのですが、前二者は刃が軟らかいので気をつけてシャープニングしないとすぐに変形してしまいます。これは付属の砥石がアーカンソー・ストーンではなくセラミック・ストーンだったからかもしれません。指で触った感じ、手元にあるアーカンソー・ストーンよりも目が粗いです。これを器械で動かすのだから刃の減りも早いわな、という感じ。
で、取り扱いCD-ROMでの映像を思い出しつつやってみたんですが、(グレーシーのキュレットは刃部が湾曲しているのをウッカリ忘れて)器械に当てていると、下手糞がシャープニングした直線的な刃にしてしまいました。
刃の先端は本当に減りやすい。
もう一つ気づいたのは刃部の根元の方がシャープニングしにくい。色々と当て方を工夫してみたけれど、刃部の根元の根元までシャープニングしようとしてもシャンクをガイドする金属に当たってうまく砥石に当てられない、ような気がする。
特にLM-DENTALのものとは相性が悪いような気がする。
それから砥石が往復運動するというのがやはりクセモノで、コツをつかむのに少し間がかかると思います。こんなのに比べると、誰でもがスグに使えるものじゃないように感じました。

グレーシータイプのキュレットが難しかったのに比べると、ユニバーサルキュレットや鎌形スケーラーは比較的簡単に形態が整えられたように感じます。

ですが、いずれにしても往復運動するということで、慣れるまではエッジの形態が不安定なような気がしてしまうので、最後に手で仕上げてしまいます。

むしろ、ガイドを取り払ってただの往復運動する砥石として使った方が割り切って使いやすいかも・・・と思うけど、そこまでして器械使うかなぁ・・・?
でも、このガイドを取り払った状態だと、普段使っているLM-DENTALのラウンドのエキスカベータのシャープニングが非常に楽でした。これは手ですると本当に難しいんです。
#そういえばLM-DENTALのエキスカベータはキュレットよりは固いステンレスを使っているとか言ってたような>LM-DENTALの人

最後に気になったのが、取り扱い説明書では簡単に砥石を取り外せるというように書いてあるのですが、全然外れません。壊しちゃまずいのであまり触らないでキチンと洗えないまま返却ということになりそうです。。。

電動シャープナーのこと

2005-05-11 22:44:29 | 歯周治療
以前にここで書いたシャープニング器のデモ品が金曜日にやってくる。らしい。
それに先立って取り説と「取り説CD-ROM」を見せてもらった。

ふっと気づいたのが他者商品が円盤状の砥石が回転してシャープニングするのに対して、これは板状の砥石が往復運動している。刃物は一方向に砥ぐこと、というシャープニングの基本には反することになるのだけれど。まぁ天下のヒューフレディ様の考えたことだから一度試してみるか。

そういえば、以前こんな品物もチェックしていたことを思い出した。他には卓上の電動砥石とかも。でもこの辺だと手用器具のシャープニングにはやたらにでかいという欠点があったんですよねぇぇ。

ここに続く

AAPより 「デンタルレーザーを用いた新付着獲得術(ENAP)について」

2005-05-08 22:49:04 | 歯周治療
http://www.perio.org/resources-products/enap_laser.htmから

***** 以下 試訳 *****

近頃の商業広告では「特許取得したレーザーENAP処置」といった応用法について「革命的な・・・新付着を生じる歯周外科処置の革命的ブレイクスルー」と謳っている。1 歯肉溝のデブリードマンとしてはFDA(食品医薬品局)の承認はあるというものの、広告や最近いくつかの雑誌記事2-8で提示されるようなレーザーでのENAPや歯肉掻爬術といった応用法は入手可能なエビデンスを鑑みて評価すべきだ。

特異的治療様法というものに対しての最終的な適応法は、科学的なエビデンスやは文献の批判的な批評に基づかなければならない。歯周病学の1996年のワールド・ワークショップで指摘されたように、エビデンスに基づいたアプローチというものには入手可能な情報を系統的に評価するということが関わってくる。そしてその際にはランダム化され、コントロールされた、ダブルブラインドの研究という物がコントロールの無い症例報告に比べてより適切であるとされる。後者の研究では同時にコントロールを示すということがめったになく、したがって、処置の有効性というものが過大評価される傾向がある。9

ENAPが初めて文献に記されたのは1976年で、「メスを用いた歯肉縁下のdefinitive curettage」10 とされている。歯肉縁下の掻爬術と同様にENAPは「長く、薄い上皮性付着と極微量の結合組織性付着」という結果になる。11 出版された唯一のヒトでの歯肉掻爬術とENAPを比較した臨床研究によれば、プロービング深さの減少やアタッチメントゲインで有意な差は認められなかった。12

エビデンスを評価していくと、掻爬術で通常のスケーリングやルートプレーニングでに優る臨床結果が出せたと示せなかった、ということは強調したい。13-16 歯周病学会ではこの目的でのENAPレーザー処置が通法のスケーリング・ルートプレーニングよりも効果的であると示される、出版されたデータは全く認めなかった。17-27

これまでのところ、歯肉縁下のレーザー応用の効果を評価するための、出版されたヒトでの研究は4例しかなく、実験に関わった総患者数は57名である。4,5,17,18 これらの4例の文献全てでレーザー処置後に歯周病原因菌とされる菌の減少が報告されている。そのうちの二つの論文では同時にレーザーにより根面の損傷が誘発されたとも報告している。4,17 残る二つの論文では処置歯の根面の損傷は評価されていない。5 歯肉掻爬術によるポケット上皮の除去やENAP、あるいはその他の内斜切開タイプのデザインは殆ど不可能と思えるだけでなく、長期的な治療目標からは不要と思われる。28-30 さらに、掻爬術やENAPのどちらにおいても歯周組織の再生に関して効果的であることを証明するような出版されたデータはまったくない。それどころか、追試の結果によるとin vitro、in vivoの双方で、レーザーを用いたENAPや歯肉掻爬術では、根面や下層の歯槽骨を損傷する危険性を患者に及ぼす可能性があり、31,32その結果、これらの組織が正常な細胞の付着や治癒が損なわれる可能性があるという。

結論としては、本学会としては、「レーザーENAP」や「レーザー掻爬術」で通常の歯周治療で達成できないより良い臨床結果が得られるということを示すような、いかなるランダム化されたブラインドのコントロールされた長期の臨床試験や、コホート調査、縦断的研究、患者対照研究は認知していない。さらに、発表されている研究によれば、レーザーでのはENAP処置や歯肉掻爬術にレーザーを用いた場合、根面や下層の歯槽骨の正常な細胞の付着や治癒を損なう可能性がある。

***** 試訳 終わり *****

結論としてはレーザーの歯周治療への応用としては「通法を上回る結果が得られない。デメリットもある可能性がある」という話でした。
これは1999年の話なのですが、2002年にはより突っ込んだ文献が発表されています。が、結論が引っくり返るような話でもなさそうです。

*****

これはAAP(アメリカ歯周病学会)の発表した文献です。これまでに発表されているものはこのようなものがあります。適当な順に読んでいきたいなぁと思っております。不定期ですが。

さすがに

2005-05-06 23:59:59 | 歯周治療
さすがに今日は忙しかった。

AAPのとこから
「・デンタルレーザーを用いた新付着獲得術(ENAP)について(1999)」
を訳そうと思ってたけど・・・
まぁ、ちょいと近いうちに。

基本的には歯周病治療に関してはレーザーはあくまでも補助的な手段なんでしょうね。
1999年の時点のこのAcademy Statementでは結構ボロクソ。

*****

所用でいろんな学会のホームページを検索してたら、今年の6月にネビンスとリンデを呼んで二人を壇上に上げてのディスカッション形式での発表ってのがあるようなんですね。
場所も大阪なんで行きたいけれど、その前の週の講習会に申し込んじゃったからなぁ。。

ネビンスとリンデは10年くらい昔、東京であったGTRの講習会で聴講したことがある。
当たり前といえば当たり前なんだけど、ベーシックな部分では両先生に意見のズレは無いんですよね。臨床応用の時点で最終補綴物の設計とそこへのアプローチが、ネビンスの方が少しアグレッシブな気がしました。10年経って、今はどうなのでしょうね。

聞きに行きたいなぁ。。

器具のシャープニング

2005-05-03 09:26:05 | 歯周治療
日常診療で使う器具の話。
歯石を取る器具やう蝕(虫歯)を削り取る手用の器具は随時砥がないといけません。
大抵の器具のシャープニングには砥石を使って手でシャカシャカ砥ぎます。リンクにあるのはセラミックですね。今はこれが主流なのでしょうか。僕の卒後すぐはアーカンソー・ストーンというものが主流でした。いずれにしても、これの値段はそれほどでもないし、一度買ったら多分一生使えるのであまり気にならないのですが、技術的に難しい。シャープニングしているつもりが刃先の形態を変形させてることも。
#といっても、コツを覚えるのも困難じゃないんですけどね。

歯石を取るキュレットやスケーラーというものは刃先の角度に煩くって、シャープニングに独特な器械があります。
手でのシャープニングの角度をあわせるモノそのような角度を合わせるモノに砥石のついたモノとか。
さらにカッコイイ(?)モノでは角度を維持したまま電動でシャープニングする器械まであります。
それぞれが見た目以上の値段がします。大体、(「歯科用」と名の付くものは基本的に高いんですが)想像される値段の3倍(!)はします。最後の器械なんて20万超えてたんじゃないかな。
こんなのが償却資産になっちゃうんですね。
#もちろん、これを使ったら使っただけあって新品同様の切れ味に戻るので、さすがとは思いますが・・・その値段で何本キュレットが買えんねん、とも思う。(←100本前後買える。一年に6本ずつ買い換えても16,7年分ですわ)

さすがにコレは売れなかったのか、ココは
別メーカーの廉価版も扱い始めました。それでも15万前後したと思う。(砥石がクルクル回るのでロンドという名前・・・)でも、こちらだともっと他の手用器具のメンテナンスができるけど・・・

まだ買えない。

と思って十年前後逡巡していたら、こんな商品が出ていた。定価五万円超。売値四万円超。これをついつい激安と思ってしまう錯覚が『歯科用』マジックですね。買うかもしれん。でも、写真の加減で仕組みがよくわからんなー。

以下ココに続く。