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歯科に関する四方山メモ

歯科医学に関わること、主に歯内療法・歯周治療関係を中心にメモ的に集めていきます。

AAPに問い合わせ

2005-04-28 23:59:59 | 歯周治療
今週と来週はレセもあるしゴールデンなウィークなので、あまりやる気が出ないのだけど、ふっと気になってAAPに問い合わせてみました。翻訳してブログ形式で載せて実際問題がないものかどうか。

そしたら返信が来ました。
内容としては

>>私共のサイトをご活用いただいてありがたく思います。
>>形式的な回答をいたしますと、学会に帰属していると
>>みなされるような形式での翻訳は許可できません。
>>ですが、もし先生が翻訳されたいのでしたら、その素材が
>>AAPのPosition Paperに基づいているということを示し
>>原文が掲載されている場所を示すという方法ではいかがでしょうか。

と、読める(いや、たぶん)メールでした。

というわけで「個人的な試訳」ということを明確にしていけば良いのだな、と理解しました。
まぁ、今までの方法で大丈夫かな。ってことで。

AAPより 「歯肉掻爬術について」

2005-04-22 23:17:07 | 歯周治療
ちょいと今日は時間がとれなくてなんか適当。そのうち推敲しなくちゃ。。

http://www.perio.org/resources-products/pdf/38-curettage.pdf
からです。

***** 以下 試訳 *****

歯肉掻爬術とは、キュレットを用いて歯周ポケット内の軟組織を取り除き歯肉の結合組織層のみを残そうとする外科処置である。歯肉掻爬術は、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)と同時に行なったり、SRPの処置後にあらためて行なったりすることのこともある独立した処置だ。SRPは、生物学的に受容できる歯根面にするために細菌や、バイオフィルム、歯石、感染した歯根部分を完全に除去するという目的で行われる。この2つの処置はしばしば同時に行われる。そのためにそれぞれの効果を判定することは根なんだ。

歯肉掻爬術は、考案された元々は、ポケットの下層と接合上皮を除去することによって歯への結合組織性の新付着を促進させるように考案された。1,2  掻爬によって得られる実際の結果は大抵はlong junctional epitheliumである。それはSRP単独でも得られる結果と同じ結果である。3  結合組織性の新付着が達成不可能であると明らかにされた時点で、理屈時の上ではSRP単独よりも掻爬がまさると言われた臨床上の利点は消滅した。3 歯肉掻爬術は、本質的には外科処置ではあるが、フラップを開けない閉鎖された処置である。したがってフラップオペで得られるような根面へのより深いアクセスや視認性は得られない。そのようなアクセスや視認性がプラークや歯石、バイオフィルムを完全に器械的に除去するためには必要なのだ。

短期的または長期的な臨床試験によって、プロービング深さが減少するかどうか、アタッチメントゲインがあるか、炎症が減退するかという観点からはSRP単独の場合と比較したとき、さらなるメリットが得られることが無い、ということが立証された。4-7  SRP単独と掻爬術を併用したSRPとを比較した後に、掻爬術は「付加的な有用性はまったく得られない」と断定された。6  1989年の臨床歯周病学の世界ワークショップこのトピックに関する膨大な再検討が行われ、歯肉掻爬術が「慢性成人性歯周炎の積極的な治療期間で正当と認められる応用例がない」と結論付けられた。8  これらの研究によって、SRP単独で掻爬術を併用したSRPと臨床的に同等な結果が生じると確信するに足るエビデンスが得られた。これらの所見を考慮すると、歯肉掻爬術は、歯周治療の進化という歴史的な関心を呼び起こしこそすれ慢性歯周炎の治療では現在なんら臨床的な妥当性はないと断言しなければならない。

歯肉掻爬術はキュレットにより施術されるものと定義されていたが、論文のレビューを見るとその他の手段を用いた方法が報告されていることが解る。硫化ナトリウム、フェノール・カンファー、アンチホルミン、および次亜塩素酸ナトリウムなどがケミカルキュレタージ(化学的掻爬術(?))のために用いられた。9-15  超音波装置を用いた掻爬術も報告されている。16-18  これらの方法すべては同じ目的であり、それは上皮の完全な除去であった。上皮を除去するためのこれらの代替法がキュレットによる器械的除去よりも臨床的に、あるいは細菌の面で勝ったとする報告は全く無い。19  現在の研究に基づけば、歯肉掻爬術は、どのような手段を用いたとしても、慢性歯周炎の処置においてはSRP単独で行った場合以上のさらなるメリットが全く無いという処置だと考えられるべきである。

最近、歯科用レーザーを用いた掻爬術が提案されてきた。前述の方法と同様に、レーザーキュレタージの目的は上皮の除去であり、さらには細菌を減少させることである。短期的な研究によれば、Nd:YAGレーザーでの処置では細菌が統計的に有意に減少したとは言えないと報告された。20  これは複数の施設でのレーザーキュレタージに関する研究でも追認された。それによると、しばしば細菌は減少しなかったと報告された。21,22  3つの研究施設のうち1つだけでSRP単独の場合を上回る細菌の減少があったと報告された。22  一つの予備実験でだけがダイオードレーザーを用いた場合に細菌の減少があったという報告のみであるが、この場合レーザーによる処置は繰り返し行われているのにSRPは繰り返されていなかった。23,24  これらの所見から、技術の進歩にもかかわらず、臨床上の処置としては、歯肉掻爬術は依然として慢性歯周炎の処置ではSRP単独の場合をしのぐという何らかの利点は示されなかった。

慢性歯周炎の治療において、歯肉掻爬術に対して何らかの治療上の利点があるというエビデンスが全くないので、アメリカ歯科医師会は現代歯科用語(Current Dental Terminology(CDT-4))の第四版からそのコードを削除した。さらに、アメリカ歯周病学会は、その歯周治療のガイドラインで、歯肉掻爬術を治療方法に含めなかった。こうしたことからも歯科界全体としても歯肉掻爬術を何らの臨床価値のない処置であるとみなしていることが解る。

***** 試訳 終わり *****

スカッと否定してますねー。新付着ってのは起きないんでしょうね。

ってな訳でやっぱりPerioscopy+超音波スケーラーによる再付着?
これもスカッと否定されたりするのかなぁ?

*****

これはAAP(アメリカ歯周病学会)の発表した文献です。これまでに発表されているものはこのようなものがあります。適当な順に読んでいきたいなぁと思っております。不定期ですが。

AAPより 「歯周治療の治療過程における抜歯について」

2005-04-21 22:06:18 | 歯周治療
今日もまだ、どちらかと言えば翻訳の練習の続きのような。

http://www.perio.org/resources-products/pdf/40-extraction.pdfから

***** 以下 試訳 *****

歯周治療の治療過程における抜歯について

バックグラウンド

歯周治療のゴールは、残存歯を保存することか欠損歯を置換することである。1 患者の検査結果に基づいて、あるいは治療過程において、見込みの無い歯や抜歯が必要とされる歯が特定されてくることがある。歯周外科治療を行なってはじめて見込みの無い歯であったと判断できるという場合もまれではない。抜歯は、順序だてられた治療計画を円滑に進めるためにも歯周治療の適当な段階で行なわれるべきである。患者や歯科医師、歯周病科医に計画治療の利便性をもたらすことによって、患者のケアは一層向上する。

抜歯は、疼痛や感染、歯周組織の欠損箇所を取り除くために、あるいは補綴や修復治療を円滑に進めるために、診断・非外科処置・外科処置のそれぞれの治療段階で行なわれることがありうる。外科処置の治療段階で、近傍の歯を抜去することにより歯周組織の欠損が除去されるという場合もある。また、デンタルインプラントを装着するために抜歯を行なう場合もある。インプラントを行なう部位の処置やインプラントの埋入は抜歯後の適切な時期に行なわれるべきである。2

補綴物や将来的なインプラントの装着のためにも、骨辺縁の高さを保存する目的でも慎重に抜歯術を応用することは必要である。メインテナンス期間においても、歯周組織の付着や骨を失った歯は抜去が必要となる場合もある。3,4 矯正的に歯を萌出させる場合も、その萌出の障害になる隣在歯の抜歯が必要な場合もある。1 その他、抜歯すべきとなる理由としては―それに限定するわけではないがー急性の歯周組織病変や咬合性外傷の処置などがある。5,6

歯周病科医は抜歯術の訓練を受けており、the Accreditation Standards for Advanced Specialty Education Programs in Periodontics(歯周療法学上級専門教育プログラム公認基準(?))でも抜歯術が一定レベルの習熟度に達するよう指導するように求めている。7 歯周治療の過程における抜歯やデンタルインプラントを装着する準備としての抜歯は、必要かつ歯周治療の一項目であり、患者や歯科医師、歯周病科医に処置上の利便性をもたらす。

POLICY STATEMENT
歯周治療の過程での抜歯は歯周治療の範疇にある。

***** 試訳 終わり *****

これ、そもそもアメリカの歯科診療の流れの背景がわからないので、どういうイキサツでこれが発表されているのかよく解らないのですが・・・
想像するに、あちらは保険診療がない、あっても制限されているので、どうしても治療費が高額になる。で、歯周治療もこのブログの05/04/09分でも見られるように同様に高額なのでしょう。で、(リンデの流れですが)診断・初期治療・再評価・必要であれば歯周外科治療・メインテナンス・・・とある治療段階の中で、後段になればなるほど患者さんとしても抜歯→補綴が受け入れ難い治療項目となっているのではなかろうか。まぁ金銭的な話ばかりでもないんでしょうけれど。

あと、英文和訳の細かい点ですが、the Accreditation Standards for Advanced Specialty Education Programs in Periodonticsにはきっと定訳があるんでしょうね。横着して調べていません。それからPOLICY STATEMENTですが辞書には「施政方針演説」とか「政策綱領」とか書いてありますが、なんとなくそぐわないのでそのまんまにしました。日本風に言えば「学会としての提言」、もう少し強く表現するなら「学会としての宣言」くらいなんでしょうね。
それから、文中の数字は元のPAPERにある参考文献の数字です。これもまた何かの役に・・・立たないだろうけれど、一応残しておきました。

*****

これはAAP(アメリカ歯周病学会)の発表した文献です。これまでに発表されているものはこのようなものがあります。適当な順に読んでいきたいなぁと思っております。不定期ですが。

AAPより 「妊娠中の患者の歯周組織の管理について」

2005-04-20 22:51:38 | 歯周治療
タイトルはまるで歯周病関係の話を云々するみたいですが(してるんだけど)どちらかといえば英文和訳の習作。
昨日インストールした「本格翻訳」を援用しました。ソフトだけだと流石に中学生の訳文みたいにグチャグチャなんだけど、使えなくもない、って感じでしたが・・・今回のpdfファイルはセキュリティのロックがかかっている(同じサイトの別の文献はかかってないものもある)ので英文のテキストファイルを作るのに一苦労。文章が短いだけに、そんな手間をかけなくても良かったかな、とは思うものの、原文を見ながら機械翻訳の文章を修正。実際かかった時間は30分弱。早いのか遅いのか今一つよくわからんけど・・・一応努力したので投稿しておこう。

http://www.418.co.jp/kb-dc/news/oral.htmlに書かれているOffenbacher先生でした。またドイツ系っぽい名前ですねー。

それはそうと、今回のは「Academy Statement」として掲載されているものですが、他に「Position Paper」というものがあります。実はどう違うのかよく知りません。扱いはどう違うのでしょうね。後者の方が総説のようで、前者は広報みたいな感じでしょうか。。

*****

これはAAP(アメリカ歯周病学会)の発表した文献です。これまでに発表されているものはこのようなものがあります。適当な順に読んでいきたいなぁと思っております。不定期ですが。

アメリカ歯周病学会のサイトより

2005-04-18 23:46:22 | 歯周治療
歯周病の治療をリードしてきたのは北欧とアメリカで―はるか彼方の日本は大阪の一診療室からぼんやり眺めていると―それぞれが意識しあいつつ歯周病治療の妥当性や可能性を切り開いてきたように見える。北欧は「歯周病の概念」「治癒の概念」を提示し「治療の流れの整理」してきたように思える。そしてアメリカは「様々な治療の可能性」を積極的に模索しているように見える。
#時代のあだ花(?)的に思えたのが「戦略的抜歯」という概念もあった。
#あれは今でも唱えられる言葉なのだろうか?

北欧の歯周病治療の流れや考え方はおそらく「リンデの歯周病学」に集約されているものと思われるが、アメリカのそれの一番基本的なものは以下にまとめられているのではなかろうか。

アメリカ歯周病学会(AAP)のサイトには、AAPの示すガイドラインや学会としての様々な関連事項に見解を示す論文が掲載されていて閲覧できるところがある。→ココ

あまり突拍子もないことは書かれていないけれど、項目ごとに整理されていて参考になる。でも、英語なので中々とっつきは悪い・・・が、こういう場を作ったので何かしらか読んでいくことにします。

#今日は項目を見るだけですが。

Position Paperとしては・・・
・歯周疾患治療における顕微鏡でのモニタリング、重曹と過酸化水素水の役割についての現在の理解(1998)
・歯周治療におけるデンタルインプラントについて(2000)
・糖尿病と歯周疾患(1999)
・歯周疾患の診断(2003)
・薬物に関連した歯肉増殖(2004)
・歯周疾患の疫学(1996)*
・歯周治療のガイドライン(2001)
・歯周病学におけるレーザーについて(2002)
・歯周治療における宿主側の反応の調節機構について(2002)
・口腔粘膜疾患の特徴(2003)
・歯周疾患の病因(1999)
・HIV陽性患者で歯周病学的に考慮すべきこと(1994)*
・癌患者の管理において歯周病学的に考慮すべきこと(1997)
・子供や思春期の歯周疾患について(2003)
・歯周病のメインテナンスについて(2003)
・心循環器疾患を有する患者の歯周病のメインテナンスについて(2002)
・歯周組織の再生について(1993)*
・歯周組織の再生における成長因子や分化因子の潜在的な役割(1996)
・歯周疾患治療時の歯肉縁上・縁下の洗浄の役割について(1995)
・歯周病治療における音波・超音波スケーラー(2000)
・歯周治療における全身的抗生物質の投与について(2005)
・歯周組織再生に用いられる骨同種移植の組織銀行について(2001)
・タバコと歯周病患者(1999)
・プラークに起因する歯肉炎、慢性歯周炎、その他の臨床症状の処置について(2001)

Academy Statementsとして・・・
・歯肉掻爬術について(2002)
・妊娠中の患者の歯周病の管理について(2004)
・成人性歯周炎の治療時のスケーリング・ルートプレーニングと同時に20mg doxycycline hyclateカプセル(Periostat)の経口投与について(2000)
・歯周治療の治療過程における抜歯について(2003)
・歯周病医によるconscious sedationの応用について(2003)
・デンタルレーザーを用いた新付着獲得術(ENAP)について(1999)

()内は発表年で*は改訂中とのこと

*****

こうして見ると、やたらに多いですね(^^;;
何から読もうかな?

*****

その後AAPさんにメールしてみました。ある意味、なんちゃって免責事項として。

ニッケルチタンファイルについて 4

2005-04-14 20:26:24 | 歯周治療
またhttp://www.wahchang.com/WahChang/pages/outlook/pdf/2000/q3/3Q2k_outlook.pdfから続き

***** 以下三段分訳 *****

ある日友人と釣りをしているうちに、彼の頭がリールを回すように回転し始めました。そして素晴らしいアイデアが釣り上がりました。友人がスピナーペイト(疑似餌)を曲げなおして調整するのを観察しているうちに考えたのです、元の形にスッと戻る、日暮れ時の水中や水辺の草木の間といった厳しい環境に耐えるような釣具があれば、釣り人は余分に費用を出してまで購入しようとするだろうかと。

すぐにジョンソン先生はNiTiNOLで試作品を作り、伝説的なバス釣り名人で釣具店オーナーでもあるドン・バトラー氏に見てもらいました。バトラー氏はすぐに画期的な商品だと判断しました。当時の大抵の疑似餌は4,5回以上は形態修復したら壊れてしまうのです。ジョンソン先生の新しいNiTiNOL製品は400回形態調整しても壊れなかったのです。さらに、ニッケルチタン製なので、耐腐食性がありますし、(合金の弾性係数が低いために)水中でより自然な動きをするという意見もありました。

起業家ジョンソン先生は再び仕事に取り掛かりました。新会社アウトドアー・イノベーション社を設立し、新しいニッケルチタン製疑似餌の設計・製造のためにテキサスのホライズン・ルアー社を買収したのです。

***** 訳終わり *****

後段は歯科から離れますが、現在のアメリカの産業の雰囲気が垣間見えて面白いような。
試しに現在もOutdoor Innovator社はあるのかな、と思って検索してみましたが、こんな感じの会社でした。どうも上に書かれていることと趣きが違う。さては既に売却されたんだなーと思い、(さらに記事の後ろに出てくるのですが)疑似餌の商品名「Terminator」と「spinnerbait(疑似餌)」で検索してみました。
するとこんな会社で釣具専売になってるみたいですね。それだけのヒット商品になったってことなんでしょうね。ちなみに肝心の商品はこれ。どなたか釣りをされるかたで使用したことのある方は使用感などを教えていただければ、さらに僕の雑学が増え・・・あわわ(^^;;・・・ありがたいことだと思います。

そうそう、上のterminatorlures.comのサイトで紹介されてる新商品に利用されてる超弾性プラスチックって最近義歯にも応用されるようになってきたものと同じなんでしょうかしらん。今ざっと見たところなんで、なんとも言えませんが、なんかそんな気配を感じる。。。

歯周治療の歴史 雑感 1

2005-04-11 23:22:16 | 歯周治療
Perioscopyの話をつらつらと続けてきて、ふと思うところ。

自分はずっと大阪にいる状態で、本や文献から浮かび上がってくる「歯周治療の変遷」、極端に言えば「歯科学史」しか知らないので知識に偏りや思い込みがあるかもしれません。
ネットでアチコチを検索していると、イエテボリに留学されたり、カリフォルニア大に留学されたりして研鑽された先生を多く見かけます。そういう先生方からすると噴飯モノのことを書いてしまうかもしれません。
そういう点についても、どういう形でか(どういう形で?)指摘を受けたり教えていただけることがあれば嬉しいなぁと思いつつ。

自分の知識の整理のようなつもりで。

*****

大枠の歴史としては、歯科学史というものはピエール・フォーシャルで始まると言われています。
それまでは確かに「歯科」っぽいものであったが「科学」と言えたかどうか。秘伝の治療法というものがあったとしても、それは「科学」ではない。一般に治療法・治療結果を公表し、それをタタキ台にしてよりよいモノへと止揚していく。そういう手法が取られはじめたのが、18世紀フランスのこと。

では、それまでは歯周病(というか歯槽膿漏)の治療はどうしていたのか。
基本的にはメソポタミアの時代から「歯が揺れたら金線で固定」「膿が溜まれば出す」「保存が無理なら抜歯」…そしてヨーロッパが中世の時代、イスラムが先進社会とされていた頃、「歯石を取るとスッキリする」ということが経験則的に解ってきたようだった。
歯を磨くことは古代インド、ちょうどお釈迦様が活躍していた時代から効能があると解っていた。

21世紀に入ったのだから、ルネッサンス以前の治療をしていてはいけない、とは思う。

何がどう変わったのだろう。

ちょっと気になるモノ Perioscopy 5

2005-04-09 23:16:03 | 歯周治療
昨日の続きでNew tools available against gum disease を・・・
で、その前に。
医療制度に彼我の差があるので単純比較は無意味だとは解ってはいるものの、ついつい比較したくなるもので。
>>→外科処置が必要でない場合は、歯科衛生士がその新装置を用いて感染箇所を特定しスケーリングや歯肉の深い位置の清掃を行います。結果的には患者さんの費用は1/3になる、と衛生士の処置を監督するシルバーグは言います。通法と同じ時間-2~4歯の処置に1~2時間かかりますが、費用は通法だと700~800ドルかかりますが、この場合は350ドル~500ドルです。<<

これは昨日に書いた11番目のパラグラフの部分ですが、(費用が1/3になってないというツッコミはともかく(?))従来法で4本の歯のSRPで2時間かけて800ドル。もし20歯~24歯が治療対象だとするとトータルで4000~4800ドル。日本だと全歯FOp算定してもこの半額にもならないぞ~。

文句はこの辺でやめにして。

*****

>>Wasserman, 73, didn't know he had gingivitis -- the milder form of gum disease -- until the dentist he'd seen for years retired.

"My gums would bleed when I brushed them and they're hard to floss because they're crooked. I had gum disease but didn't know it. Between my regular dentist and Dr. Silberg, I have to see someone every three months."<<
→ワッサーマン(73)は数年ぶりに歯科を受診して、軽度の歯周疾患である歯肉炎であることを知りました。「歯ブラシをするたび血が出てたんです。歯並びも悪くてフロスもしにくかったし。歯肉の病気だったんですが、全然気づきませんでした。かかりつけの歯医者やらシルバーグ先生のところやら、三カ月おきに誰かに診てもらわなきゃならなかったんですよ。」

という、患者さんの話。

>>Louis Wassermann of Green Tree was introduced to perioscopy recently after spending $2,500 for a deep cleaning of his teeth -- a section at a time -- through the conventional, surgical method.

"The stitching left me sore. The only thing that surprised me [about the Perioscope] is that it took as long as it did, but I couldn't feel anything and the recovery time was nothing."<<
→Green TreeのLouis Wassermannさんは最近、従来法の外科処置としてのディープクリーニング処置を1ブロック受けて2500ドル支払った後Perioscopyを紹介されました。
「縫合部分がひどく痛みました。(Prioscopeで)驚いたのですが、時間は同じようにかかるんですが、何の痛みもなかったんです。治るのもあっと言う間でしたよ」

「本当にmilderなgingivitisかいな?」という疑問は残るけれど、患者さんも処置後が楽だっていうのは解りました。
1ブロックの外科処置で2500ドルってのもすごいなぁ。これだと、P症状が処置後、ハッキリとした改善が得られにくそうな場合だと、抜歯してインプラントの方がかかる費用と効果では上かも知れないなぁ。。

*****

ココの文章の最後の2パラグラフはPerioLaserなるものについて書かれているが・・・
レーザーについてはまたいずれ考えることにしよう。。。

ちょっと気になるモノ Perioscopy 4

2005-04-08 23:43:07 | 歯周治療
Dental View社のサイトでも他に読みたいページはあるものの。
やはりお値段も気になるところ。

で、そのヒントになるようなところをみつけました。
New tools available against gum disease です。

9番目のパラグラフに

>>"The Perioscope gives us better accuracy. It means less guesswork," said Silberg, of the $15,000 device he purchased in October from Dental View, of Irvine, Calif. "You can really see the buildup of junk on the surface of the root."<<
→「Perioscopeでもっと正確に(診断)できます。当て推量が減るんです。」とシルバーグは十月にカリフォルニアはアーバインのDental View社から購入した15000ドルの装置について、こう語った。「歯根面に付着した汚物を本当に視ることができるんですよ」

とあります。
15000ドルなんですねー。イメージよりは気持ち安いような、妥当な値段のような。
日本に入ってくるときはこの値段で入ってきてくれたら良いんだけど。

ただ、次のパラグラフはよく解りません。

>>When infection is so advanced that surgery is needed, Silberg uses perioscopy to guide him during procedures. Novocaine is usually needed because the instrument goes deep under the gums.<<
→感染が重度に進行して外科処置が必要な場合は、シルバーグはPerioscopyを処置中のガイドに利用します。器具が歯肉深くに達するため、通常ノボカインは必要です。

そもそも、外科処置をするなら局所麻酔は必要だと思うのだけれど。
もしかしたらあまりフラップを翻転させてないのかもしれません。
あ、でも切開に麻酔がいるなぁ。どういうsurgeryなんだろか。

次は患者さんの費用面で・・・

>>Otherwise, his hygienists use the new device to pinpoint infection during scaling and deep cleaning of teeth, which reduces costs to patients by about a third, said Silberg, who supervises their work. "It takes the same amount of time as conventional methods -- one to two hours for two to four teeth. But it's $350 to $500 instead of $700 to $800 for conventional means."<<
→外科処置が必要でない場合は、歯科衛生士がその新装置を用いて感染箇所を特定しスケーリングや歯肉の深い位置の清掃を行います。結果的には患者さんの費用は1/3になる、と衛生士の処置を監督するシルバーグは言います。通法と同じ時間-2~4歯の処置に1~2時間かかりますが、費用は通法だと700~800ドルかかりますが、この場合は350ドル~500ドルです。

・・・この値段の差は一体どこから・・・?ってか、どうやって治療費を算出してるんだろか、とは疑問に思うけれど。

****

この後は患者さんの体験談が書かれていますが、それはまた明日にでも。

ちょっと気になるモノ Perioscopy 3

2005-04-07 23:49:00 | 歯周治療
Clinical Informationのページを見ると…

歯周治療への応用としては…
・根面や歯の構造等を視覚化する
・歯石の残存部位を特定し除去する
・結果、より完全な治癒がおこる
・その他の歯肉縁下の問題を診断する

一般歯科や補綴への応用としては…
・クラウンマージンのリーク部分を明示する
・歯肉縁下カリエスの診断
・根破折の診断
・根吸収を視覚化する
・根管形成に補助的に応用

と書かれている。

*****

Research and Clinical Studiesのページを見ると歯周治療での劇的な効果が謳われている。

>Subgingival Identification Study: SEM evaluation*
>– 42 teeth, 210 sites
>– 4 hygienists
>– Detection of subgingival root deposits, caries, root fractures and soft
>tissues
> 95% accuracy in identifying topographical landmarks and features

歯肉縁下の構造物を特定する研究:SEMにて評価
サンプル:42歯、210箇所
実験者:衛生士4名
歯肉縁下の根面沈着物、カリエス、根破折、軟組織を検知し、95%の精度で部位や特徴を特定できた。

>Endoscopic SRP (Perioscopy)**
>– 46 patients, 73 quadrants
>– Sites treatment planned for surgery
>– Used endoscope and non surgical therapy first
>– 1 year follow-up at 3 month intervals
>– Treated by 1 hygienist
>73 quadrants required no flap surgery
>Mean attachment gain of 2.06mm

内視鏡下のSRP(Peropscopyによる)
サンプル:患者46人、73のQuadrants
方法:最初に内視鏡を用いた非外科的治療を行い1年間3ヶ月毎の経過観察を行う。
験者:衛生士1名
全ての73のQuadrantでフラップオペは不要であった。
アタッチメントゲインの平均は2.06mm

>Retrospective look at Perioscopy treatment outcomes after three years ***
>4 – 6mm pockets
>– PD reduction of 1.94mm with endoscope as compared with average
>traditional SRP reported in literature of 1.0mm
>– Attachment gain of 1.92mm as compared with average traditional
>SRP reported in literature of 0.38mm
>pockets >6mm
>– PD reduction of 4.4mm with endoscope as compared with average
>traditional SRP reported in literature of 2.18mm
>– Attachment gain 4.1mm as compared with average traditional
>SRP reported in literature 0.97mm

Perioscopyによる処置の三年後でのレトロスペクティブな評価
4-6mmのポケットの場合
 内視鏡を用いた場合、ポケットは1.94mm減少。従来法では文献的には平均1.0mm
 アタッチメントゲインは1.92mm。従来法では文献的には平均0.38mm
6mm以上のポケットの場合
 内視鏡を用いた場合、ポケットは4.4mm減少。従来法では文献的には平均2.18mm
 アタッチメントゲインは4.1mm。従来法では文献的には平均0.97mm

#効果の違いが激しすぎる。ってか提灯記事だったらどうしよう、って感じ…

他、現在のところ未発表の実験としては…
・内視鏡とエナメルマトリクスタンパクを併用した「Minimally invasive surgical technique」
・組織学的評価
・複数の施設でSRP単独とPerioscopyを応用した場合を比較したMulti-centerの臨床試験
等があるらしい。

*****

なんだかんだで、実際のところを見てみたい…