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歯科に関する四方山メモ

歯科医学に関わること、主に歯内療法・歯周治療関係を中心にメモ的に集めていきます。

ニッケルチタンファイルについて 2

2005-04-12 23:21:16 | 歯内療法
http://www.wahchang.com/WahChang/pages/outlook/pdf/2000/q3/3Q2k_outlook.pdfは合金業界の業界紙みたいなものなんでしょうね、記事も読み物として面白そうなので、数段ずつ訳していきます。

***** 以下二段分訳 *****

1959年に、アメリカのNaval Ordinance Laboratory(海軍軍需研究所(?))の冶金学者、ウィリアム・ビューラーは超弾性合金のNitiNOL(Nickel Titanium NavalOrdinance Laboratory)を開発していました。しかし、彼はその驚くべき新素材の応用範囲を完全には想像できなかったようでした。当時、ビューラーはアメリカ海軍のミサイル、ポラリスのリエントリ用ビークルのノーズコーンに用いる金属を開発しようとしていたのです。1962年にはビューラーの共同研究者であるフレドリック・ワン博士がNiTiNOLの形状記憶の物性がいかなるものかを発見し、より多くの可能性へとつながる扉を開いたのです。

数年後、この発見から形状記憶という性質が鍵となるもの、航空宇宙用ではニッケルチタン製の連結器やその他の重要部品、医学用ではNiTiNOLステントなど、その他の多くの応用物が開発されてきました。しかしビューラーオリジナルの超弾性金属NiTiNOLはさらに名声を博すにいたったのです。

***** 訳終わり *****

いきなり本筋からは話が逸れちゃうんですが、Wikipediaの弾道ミサイルを見ると、アメリカのミサイル開発に携わったのはドイツから渡った人のようです。もしかするとこのビューラーという人もドイツ系の移民なのでしょうか。
この人たちは戦後ドイツから渡ったようですが、戦前・戦中にも多くのユダヤ系移民がアメリカに渡ったそうです。歯科的な有名人ではGottliebやOrban、再々登場するワイン先生もユダヤ系移民の二世アメリカ人だそうです。迫害されたユダヤ系移民を受け入れ、戦後になってユダヤ系ではないドイツ人もやってきて軍の研究施設に入れる・・・というのはさすがアメリカ。

そういえば、スヌーピーでおなじみピーナッツの作者もドイツ移民の二世だったような。

いや、本筋から外れはしましたが、戦後歯科医学を引っ張ってきた地域であるアメリカと北欧(スウェーデン)には共通点がありまして、何かといえば「戦場にならなかった」ということ。
たぶん、一つの大きな要素だったんじゃないかなと思ってます。

ニッケルチタンファイルについて 1

2005-04-10 23:44:00 | 歯内療法
そろそろ、日常臨床に定着し始めた感のあるニッケルチタンファイルについて。

まずはちょいと視点を変えて、ニッケルチタンが歯科に応用されるにいたった経緯が書かれたサイトをみつけました。
http://www.wahchang.com/WahChang/pages/outlook/pdf/2000/q3/3Q2k_outlook.pdfPDFファイルですが・・・

このあたりから、おいおい見ていこうかと思います。。

Weine先生について  1

2005-04-05 14:17:58 | 歯内療法
「スタート」の項で触れたので、まず手始めにWeine先生のこと。
Weine先生と書いてワイン先生と読みます。

もう日本語版の教科書「ワインのエンドドンティックセラピー」は絶版になってしまったようなので、歯科医師の方でもWeine先生はあまり馴染みが無いかもしれません。

よく言われることですが、日本の教科書類が項目を列挙して総覧的、どちらかと言えばステレオタイプな感じであるのに対して、アメリカの教科書、とくに臨床系のモノは実践的・経験的な視点から記述されたモノが多いようです。
ワイン先生の教科書の場合もその通りなんです。しかも著作の治療例を見ると非凡な技術の持ち主だということがわかるでしょう。ですが、先生の場合当時シカゴのロヨラ大学の教授だったこともあり、研究・理論の裏づけもあった上での実践・経験なので、非常に含蓄も深く説得力も大きく感じられます。年齢では60代後半くらいだったと思いますが、非常に進取の気性に富んだ先生で、著作も改定のたびに積極的に新しい情報を取り入れられているようです。日本語版の教科書が第三版だけなので、中々それを実感できませんが・・・
単純に「歯内療法専門医」というよりも「70年代からこちらのエンドの生き証人」という感じです。

おいおい、うまく伝わるように例示できれば良いのですが・・・