Sliding Cafeマスターのブログ

公開レッスン

バート・ファン・リール氏の公開ウォーミングUpレッスンを聴講しに楽器店DACに行ってきました。平日のお昼の時間帯ながら、聴講される方はかなり沢山おられました。大半は音大生と思われる学生さん達とプロ奏者の方もちらほら。みなさん熱心ですね。そういう僕は今回のバートさんのDACでのイベントは4回全て参加するんですけどね。

いや~、しかしバートさん本当に凄いトロンボーン奏者ですよ。バートさんは今57歳なんですが、人間57歳くらいになれば、たとえ健康であったとしても、身体は固くなってくるだろうし、筋肉の衰え、瞬発力の減衰などあらゆる面で確実に衰えが来てしまうと思うのですが、バートさんは毎日欠かさず自分に課している基礎トレーニングによって、全く年齢の衰えを感じさせないどころか、もう本当に超人的、鉄人的タフさ。かといってその超人的スタミナを誇張、自慢するのではなく、あくまでも楽器を自由に演奏するための土台と考え、その先の音楽を作る、表現するという事に最も重点を置かれている点に深く感銘を受けました。

が、金管楽器、特にトロンボーンは本当に奇麗な音を安定して出せるまでに時間のかかる楽器ですし、スタミナの問題も常につきまとってくるので、「音楽を表現する」という域に達する以前の奏法的問題で立ち止まってしまいがちです。奏法的問題とは、間違った呼吸法であったり、アンブッシャー、舌の使い方、あるいは身体の姿勢の問題、身体の力の入れ方の問題であったりと、どちらかと言えば音楽的問題ではなく、多くのスポーツ選手が抱える身体の問題に近いですね。きちんと鍛えるべき筋肉を鍛え、ストレッチで身体をしなやかにし、正しい身体の使い方をマスターしていれば、実際の競技でも身体を壊す事なく十分に力を発揮できるのと同じ事なのではないかと思います。

バートさんの今日の公開レッスンは主にそのような身体の基礎トレーニング的な内容で、どのメニューもとてもシンプルで本当に基本的なエクササイズでしたが、この基礎トレーニングをきちんと毎日やるかやらないかでは、きっともの凄い差が出てくるのだろうなと思いました。ある意味とても退屈なトレーニングでもあるので、これを日課にするとなると人によってはとても苦痛に感じるかもしれませんが、この基礎トレーニングは本当にスポーツ選手のウォーミングアップと全く同じ感覚で行った方が良さそうですね。

その基礎トレーニングについてはバートさんの「トロンボーンのためのコーディネーション・トレーニング・プログラム」という教則本に今日の公開レッスンとほぼ同じ内容が書かれてあります。僕は2年前にこの教則本を買っていたんですが、きわめて基礎的な内容(譜例)であったため、教則本を読んだだけでは今ひとつピンとこず、ほとんど実践していなかったのですが、今日の公開レッスンを聴講してみて初めてこの教則本に書かれている内容の重要性を認識できました。

もしまたバートさんが来日されて公開レッスンを開催される機会があれば、是非受講されると良いですよ。楽器奏法的にも音楽的にもおおいにヒントを得る事が出来ると思います。

それにしても自分が57歳になった時にバートさんのように超人的とは言わなくとも、今よりも衰える事なく楽器を吹けているのだろうか・・・。やっぱり毎日の基礎トレーニングはとても重要ですね。

きっとバートさんは70歳くらいになってもあの超人的スタミナをキープしているんだろうな。

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コメント一覧

マスター
樋口さん

やはり教則本を書いた本人が目の前で実演を交えた具体的な説明を聴くと、本当によ~く理解できます。
またその実演が本当に凄かったですよ。
樋口
コーディネーション
私も「コーディネーション」を買いましたが良く理解できずにほとんど使っていません。
ぜひ一度レッスンを受講して見たいですね。

文中の「トロンボーンは時間がかかる」というのは自分自身本当に痛感しております。
取っ掛かりとしては全ての楽器の中でも1,2を争うほど音の出しやすい楽器なのでは?と思うのですが、どんな吹き方でもそれなりに吹けてしまうので、良い奏法を身に付けるのが本当に難しいと思います。

もしかして全ての楽器の中で一番「楽器が奏法を教えてくれる」ことの無い楽器ではないかと・・・
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