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なぜ広島に原爆が落とされたのか

2005-11-07 01:30:33 | View
日本に原爆を落とす必要はなかった。
にもかかわらず、原爆は落とされた。

では、なぜ原子爆弾は投下されたのか。
あなたはこの理由を明確に説明出来ますか。

日本を早期降伏させるため。
アジア諸国民を侵略の手から救出するため。
アメリカ合衆国が一貫して主張して来た理由がこれです。
世論調査によると、半数以上のアメリカ国民が上記の理由を信じ、
原爆の投下はやむを得なかった、正しかった、という認識をしています。
アメリカ国民だけではありません。原爆が戦争を終結させてくれたんだと、
原爆に対して肯定的な意見を抱いている方は世界に大勢いることでしょう。

でも、それは違います。
アメリカ合衆国が説明し、世界に流布している理由は、
誠に表面的なものであり、大義名分以外の何物でもありません。

原爆投下には政治的な意図がありました。
そして、最新兵器の破壊力を試す壮大な人体実験でもありました。

ここに僕が中学生だった当時使っていた歴史の教科書があります。
原子爆弾についての記述が約5行ありました。以下に引用します。

ヤルタ協定にしたがってソ連が参戦する日が近づくと、
アメリカは、戦後の世界でソ連より優位にたつためもあって
原子爆弾を8月6日広島に、9日長崎に投下した。
このため、おびただしい人々が殺傷され、街は廃墟になった。
死者は、被爆後の死者もふくめ、広島が20万人以上、
長崎が10万人以上にもおよんだ。
この教科書に記されているように、
対日参戦して来るソ連を牽制するための有効な手段として、
アメリカ大統領トルーマンは日本への原爆投下を命じたのでした。

つまり、戦争を終結させるためではないのです。

当時の戦況を見ればそれは明らかでした。
日独伊三国軍事同盟を結んだイタリアとドイツは既に降伏。
孤立無援、四面楚歌の状況下、もはや日本の敗戦は決定的でした。

では、なぜ日本は早期に降伏しなかったのでしょうか。
みなさんは次の事実を知っていますか。

原爆投下命令が下される数ヶ月前に、日本は外務省を通じて、
当時日ソ中立条約によって国交のあったソ連に終戦の調停を申し入れました。
しかし、拒否されたのです。1945年2月に行われたヤルタ会談において、
ソ連の対日参戦が秘密裏に取り決められていたからです。

このように連合国側には緻密な計画がありました。
マンハッタン計画も原爆投下が前提で進められていたと判断してよいでしょう。
外交的に孤立し、敗戦濃厚となった日本に残された選択肢はただ一つでした。

核兵器の実験台となり、ただ敗戦を待つだけという選択肢。

おそらく人種的な差別意識も働いたことだと思います。
あの日、あの時。ヒロシマで多くの尊い命が犠牲になりました。
3日後にはナガサキで同様の実験が繰り返され、多数の人が殺されました。

即死した人ばかりではありません。
放射能は人体に深刻なダメージを与え、今も被爆者の生命を脅かし続けています。
精神的苦痛を一生背負って生きていかねばならないことを強いられた人達がいます。

以上の事柄を、みなさんはどれくらいご存知でしたでしょうか。
もちろん全てを把握してなかったとしても恥ずかしいことではありません。
現在の日本の歴史教育では、これほど詳しく教えてはくれないでしょうから。
今日から本当の歴史を知って頂ければ、それでいいのです。そこから始まります。

大切なのは、この歴史認識を世界共通のものにしていくということ。

核兵器の廃絶を熱心に訴える方々が世界中に大勢いる一方で、
広島と長崎に落とされた原子爆弾が肯定的に受け取められている現状。
これを何とか打破して誤った歴史認識を正していかなければなりません。
そのことは世界平和にとっての必要条件に違いないし、真実を見極め、
史実を伝えていくことが戦後世代の使命だと僕は思っているんです。

【関連リンク】
戦後60年特別企画 『ヒロシマ』(TBSテレビ)
アメリカ人と日本人の会話 原爆について(JANJAN)
広島原爆投下 ★原爆ドーム ★原子爆弾(Wikipedia)
なぜ広島に原爆が投下されたのか(ヒロシマの心を伝える会)

僕が書いた記事だけでは全てを捕捉することは不可能なので、
上記に挙げた関連リンク先資料もぜひ参照して頂きたく思います。
昨夏放送された『ヒロシマ』(TBS)は11月23日に再放送予定とのこと。
誠に残念ながら、関東地方のみの放送となりますが、未見の方は是非。


【関連書籍】(Amazon.co.jp)
アメリカはなぜ日本に原爆を投下したのか
原爆投下・10秒の衝撃 NHKスペシャルセレクション
原爆災害―ヒロシマ・ナガサキ 岩波現代文庫―学術 
原爆を投下するまで日本を降伏させるな――トルーマンとバーンズの陰謀

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
コメント、ありがとうございます (タツヤ)
2005-11-13 23:23:16
▼mikasaさん

加害者であると同時に被害者でもある日本。

仰るとおり、歴史教育は客観的かつ多面的である必要がありますね。

どちらかに偏重ではなくて均衡の取れた授業を心掛けるべきです。

そうすることが真の平和への貢献に繋がっていくのでしょうから。

ところで、今日の朝日新聞の朝刊、天声人語も戦争の話題でした。

いつの時代もアメリカ兵は、傲慢で自己中心的な性格のようです。

また、図書をお勧め頂き、誠にありがとうございます。

恥ずかしながら、こちらも存じ上げませんでした。

amazonのレビューでも高い評価を受けていますね。

時間が出来たら是非読んでみようと思います。



▼こすもすさん

先程アップした記事にランタナが登場しました。

ご覧頂ければ幸いです。宜しくお願いします。
返信する
お知らせください (こすもす)
2005-11-12 18:54:35
ランタナについてお書きになった時は

こちらの掲示板にでもお知らせください。
返信する
Unknown (mikasa)
2005-11-12 00:59:51
先日はコメントありがとうございました。





「加害者」に「被害者」の気持ちはわかりません。



戦後の日本の歴史教育は、「日本加害者論」でした。

しかし、日本はとてつもない「被害者」でもあったのです。

「加害者」としての教育だけをしていると、「被害者」であった事実が葬り去られてしまいます。

そして、誰よりも一番「被害者」の気持ちを理解してあげることができるはずなのに、それすらできないように矯正されつつありました。



しかし最近、静かな、そして大きな変化が起きつつあるのを感じます。



もうご存知かもしれませんが、「アメリカの鏡・日本」という書籍もお勧めです。

1948年に書かれたもので、当時マッカーサーが翻訳を禁じた本です。

返信する
こすもすさんへ (タツヤ)
2005-11-11 23:26:43
こすもすさん、こんばんは。

今回の記事は、中学時代のノートを参考に書きました。

記憶が曖昧な部分は、Wikipediaを用いて補完致しました。

本当の歴史をご教授下さった先生方に大変感謝しています。



ランタナ。ああ、この胸を指すような痛みは何だろう。

近日中にランタナ記事登場予定です。乞うご期待下さい。
返信する
よく調べていますね。 (こすもす)
2005-11-11 21:03:32
よく調べて書いていますね。

自己紹介にアニメドラゴンボール・・・とありましたから、まだ青年世代。頼もしい!!

がんばって書き続けてくださいね。



日本は本当の歴史教育がされていない。その点が一番問題ですね。この夏、中国に行きましたが、故宮にいた日本人は私たち数人だけだったそうです。マスコミの影響ってこわいですね。



そういえばランタナはどうなっているのですか?我が家はまだまだ元気ですよ。
返信する
湖南さんへ (タツヤ)
2005-11-08 22:49:43
初めまして、こんばんは。

コメント、ありがとうございます。

以下に僕の考えを述べたいと思います。



過去の過ちを繰り返すことほど愚かなことはありません。

だからこそ、歴史を語り継ぐ必要があるのです。



核戦争を回避出来るか出来ないかといった次元ではなく、

我々は是が非でも核戦争を回避しなければならないのです。

歴史を紐解き国民感情を知ることによって相互理解が深まります。

歴史を語るということは、大変に意義があることだと僕は考えます。
返信する
戦後世代の使命 (湖南)
2005-11-07 23:01:49
初めまして



それなりに、ちゃんとしたことを書かれていると思います。でも次の核戦争は、事実を語り継ぐだけで、回避できるのでしょうか。核ミサイルのスイッチは米中が握っています。または回避できないことに我々は納得できないまま終わるような気もします。
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