金曜日。
ここ一か月くらい悩まされ続けていた仕事にようやく目途がついた。
ほっとして、肩の力も抜けた。
明日の海況はどうだろう?
携帯サイトで確認してみると、東からかなり強いウネリが入り、荒れ模様になるという。
目当ての磯に立つのはかなり難しそうだ。
エクストリーム系の釣友から出撃を促す檄文メールが届いたが、「無理っ!」と返す(笑)。
仕方ない。明日は休漁だ。
頑張ってくれた部下を誘って、夜の街へと繰り出した。
土曜日。
二日酔いの重い頭で起床。
ぼんやりとテレビを見ながら、軽い朝食をとる。
土曜日の朝にやるべきこともなく家にいるというのは、何だか妙な気分だ。
すっきりしないのは、けっして二日酔いのせいだけじゃない。
漠然とした違和感。
自分は今、ここにいていいのか。
いつもなら、まだ釣り場にいる時間だ。
私から「釣り」を取り上げたら、いったい何が残るだろう?
ふとそんなことを考える。
仕事熱心で、家族思いで、地域活動にも積極的に参加する、立派な社会人の出来上がり?
まさかね(笑)。決してそうはならない。
趣味あっての仕事、仕事あっての家庭、家庭あっての趣味。
そのバランスの上に、自分がいる。
どのピースが欠けてもいけない。
でも、仕事はどうだろう?
仕事はいつか出来なくなる日が来る。
リタイアすべき時は、誰にでも否応なくやって来る。
そのとき、欠けたピースをどうやって埋めるのか。
一番の趣味である「釣り」か?
それとも何かまったく別のものか?
正直、わからない・・・。
そこへ、内房へ出撃中の釣友からナブラ情報が届く。
思わずテンションが上がり、明朝の出撃を即決。
私が今やるべきことは、明日の釣りの支度だ(笑)。
日曜日。
まずは「外側」のお気に入りャCントの様子を偵察。
しかし、週末の時化のウネリがまだ相当残っており、メインの釣り座は時折大きな波しぶきに洗われている。
頑張れば入れないこともなさそうだが、きっと20%くらいの確率で死ぬだろう。
危険を冒してまで釣りをする理由は、私にはない。
今回は潔く諦めることにした。
そして、時計回りに移動しながら各ャCントの様子をチェック。
小型のスマガツオが揚がっているャCントもあったが、今回用意したルアー(80gのジグ、14cmのドラペン、トビペン、K2F他)ではまず無理だ(笑)。
イナダ、ワカシも見なかったことにしてスルー。
半島先端の岬を回りこむと、海はがらりと表情を変え、ベタ凪の穏やかな海面が広がっていた。
このあたりでも特に潮通しのいい某ャCントへやってくると、ルアーマン数人が海面を指さし、興奮した様子で何やら話している。
見ると、すぐ足元の海中を目測40cm前後のイナダ、ワカシ(以下イナワカ)の群れが悠然と泳いでいるではないか。
「さっきから居るんだけど、口を使わないんだよね・・・・」
エギングロッドにメタルジグをぶら下げたルアーマンが悔しそうに言う。
しかし、イナワカの群れは次々に回遊してきては、時折トウゴロウの群れに突っ込んで派手なナブラを立てている。
食い気が無いというわけではないらしい。
私も試しにジグやプラグをキャストしてみたが、完全に無視された。
まるで管理釣り場のスレたトラウトの群れみたいだ。
魚は居る。
ベイトも捕食している。
なのに釣れない。
リアクションでは食わない。
じっくり見せたら、もっと食わない。
こんなときどうする?
ベタ凪、ピーカンの日中で、海中の魚の姿も丸見えの状況下、どうやって攻める?
どうやって捕食スイッチを入れる?
一応私なりの答えはあるが、残念ながら今日は試すことができない。
場違いなヘビータックルしか持って来ていないからだ。
そもそも「内側」へ来るのにどうしてそんなヘビーなタックルが必要なんだと笑われそうだが、当初私のイメージしていたシナリオは、朝マズメに「外側」ででかいのを一本獲り、あとは内房各所のャCントを見て回って巷で噂の内房ナブラの正体をこの目で確かめるというもの。
内房で実際に釣るということまでは、正直あまり考えていなかった。
アホと言えばアホだが、仕方がない。
なにしろ実際アホだから(汗)。
とりあえずナブラの正体は判ったので悶絶ャCントを後にし、車窓から海の様子をチェックしつつさらに移動。
ベイトフィッシュ=トウゴロウの群れはかなり大きいらしく、そこかしこで鳥山立ちまくり。
この様子だと、青物だけでなくシーバスやフラットフィッシュも寄っていそうだ。
次のャCントでは、いつもベストャWションを押さえている年配の常連師が、やはり青物相手に悶絶中(笑)。
イナワカの数は先ほどのャCントよりも更に多く、数十匹単位の群れで回遊していた。
また、イナワカ以外にも、ソーダガツオやペンペン、ダツの姿も見られた。
内房ナブラ祭りは本物である。
でも、なかなか手ごわい。
ちなみにこの年配の常連師、ほぼ毎朝ここにいるという噂だが、おそらくリタイア組ではないかと思う。
このャCントの「ヌシ」として一目置かれ、若い弟子もたくさんいるようで、いつも仲間に囲まれて楽しそうに釣りをしている。
彼のように釣りを続けていれば、仕事をやめても決して孤独になることはないだろう。
むしろ、釣行回数が増えることにより、世代を超えた新しい友人知人が次々とできるに違いない。
リタイア後も社会との接点を持ち続けるために、釣りはとてもいい手段だと思う。
それに、釣りのいいところは、気持ちが前向きになることだ。
今日がだめでも、また次がある。
次は絶対釣ってやる。そのために、作戦を練る。
あんなことやこんなことも試してみる。
常に何か新しい工夫を。新しい挑戦を。
それが釣りというもの。
過去を振り返るのは、過去を懐かしむ為じゃない。
昨日と違う明日にするためだ。
それが釣り人というもの。
忙しくて、とてもボケてる暇なんかない(笑)。
よし、決めた!
私もリタイアしたら海の近くに引っ越して、毎日釣りをするぞ!
・・・と、いつか奥さんに相談してみよう(爆)。
その後、いつものスーパーで地酒と干物を調達し、帰路に着いた。
<本日の教訓>
アタリが無いからといって、魚が居ないと考えるのは早計である。
餌釣りでもよくあることだが、魚は居るのに捕食スイッチを入れることができていないだけなのかもしれない。
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