
イタリアのホテル到着後、初めて調理場に入ったときは、高校で、初めて教壇に立った時と同じくらい緊張しました。この年で、緊張感を味わえるのは、ありがたいことですが、それは、今だから思えることで、良いことではありません。もちろん、自分だけでなく、ホテルの他の人たちも同じだと思います。何せ、これから、初めての東洋人と一緒に仕事をしなければならないのですから。しかし、そこはイタリア人の陽気なところ、笑顔で迎えてくれました。
厨房では、シェフが、特別料理とパスタを、スーシェフが、前菜と焼き物を担当していました。洗い物は、特別に雇われた方の担当で、厨房とは、別です。最初の半月ぐらいは、洗い物をすると思っていたので、自分は何をするのだろうかとうろうろしていると、サラダを担当するよういわれました。もちろん、厨房では、そこそこの経験者が来ていると思っていたのでしょう。シェフが見本を一つ作ってくれましたが、後は、好きなようにといわれました。味付けは、塩、オリーブオイル、レモンだけです。さすが、イタリアのおおらかさです。初めてのオーダーは、さすがに気合が入りましたが、淡々と持っていかれてしまいました。サラダは、レタス、オニオン、ニンジン、トマト、セロリだけなのですが、ニンジンは、ぶつ切りの輪切りです。そこで、包丁でにんじんを千切りにすると、ペティナイフを主に使う、イタリアでは大変珍しく、驚かれてしまいました。シェフからは、明日からは、パスタも担当といわれました。もちろん、自分はレストランの厨房は初めてですし、本場イタリアのパスタも作ったこともありません。非常に不安でしたが、断るだけの語学力がないため、シ(OK)というしかありません。やはり、言葉は大切です。
パスタは、普段は、3種類しかなく、(トマトパスタ、ポモドーロ、クリームパスタ)難しくはないのですが、味の加減も自分で決めるので、残されて帰ってくると、とても落ち込みます。しかし、この経験から、日本に帰って、自分のレストランをパスタを中心にしようと思うようになり、とても良い経験をさせていただきました。
厨房でのエピソードは、次のブログで。
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