-中途失聴者のSilent Life-


聾者とも違う、難聴者とも違う。
ある日突然、音のない世界に生きることになった中途失聴者のたわいない日常です。

ユニバーサルデザイン

2010-01-13 20:45:39 | 障害福祉について
世の中には、「ないと生活できないもの」と、「あると便利なもの」があります。

「ないと生活できないもの」は人によって異なりますが、
「あると便利なもの」は、大抵どんな人にも共通しているかもしれません。


身体障害者にとって「ないと困る」ものは、
一般の人たちにも「あると便利」なものではないか。
そんな発想から生まれるアイデアを「ユニバーサルデザイン」と呼んでいます。


たとえば、シャンプー・リンスの横のキザミ。
最初は、視覚障害者のために作られたこのキザミですが、
誰だって、髪を洗うときには目を閉じているもの。
シャンプー横のキザミは、障害者に限らず、すべての人にとって「あると便利」なデザインといえます。


聴こえない人にとって、テレビを見るときには必須の字幕。
「総務省がうるさいからとりあえずつけてます」と言わんばかりに、
デザイン性に欠け、テロップや出演者の顔に被り、生放送ではないのに時差がある。
それでも、聴覚障害者は「ないと困る」ので、そんな字幕を毎日見ています。

ところが。
時代は進化し、携帯電話でワンセグ視聴ができるようになりました。
いつもどこでもテレビが見られる時代。
音を出せないような場面で、イヤホンを持っていないとき、
字幕を出せば、健聴の人でも音なしにテレビを楽しむことができます。

また、公共の場、病院や市役所の待合室などで流れているテレビも、音声なしでは何を言っているか分かりません。
このような場でも、字幕を出すことですべての人がテレビを楽しむことができるようになります。


対象が「障害者」だけであると、マーケットがごく限られています。
企業もなかなかサービスを改善しようとはしません。
でも、障害者だけではなくすべての人にとって「あると便利」なサービスであれば、
話がまったく違ってきます。
日を追うごとに、品質のいい商品やサービスが普及していくことになるでしょう。


考えてみれば、「聞こえ」を補う商品の多くは、一般の健聴者にも便利なものが多いのではないでしょうか。

電車の中では目覚まし時計を鳴らすわけに行きませんから、
バイブレーター式のアラーム腕時計があれば便利です。

また、家の中でも音楽を聴いていたり掃除機をかけていたりすると、
来客に気付かないことは誰だってあります。
そんなとき、光でお知らせしてくれるインターホンがあれば、普通に便利ではないでしょうか。

今まで、この「光るインターホン」が一般に普及しなかったのは、
まるでデザイン性のカケラもない、パトカーの部品のような回転灯しかなかったからで。

今では、デザイン性に優れておしゃれな高性能なストロボフラッシュがあります。
これらが一般の家庭にも普及していけば、
価格競争で値段も安くなり、もっと簡単に入手できるようになるのでは・・・。

そんな期待を持ったりしています。


障害者だけでなく、すべての人にとって毎日がより便利なものになれば。
こんな嬉しいことはないですね。


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4 コメント

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Unknown (ぷーどる)
2010-01-14 09:31:28
そうですね~。

一見福祉がらみで作られたような事でも
一般人にも便利となればどんどん進化していくでしょうね。

そしてそのようになっていってほしいですね。

最近セルフサービスの飲食店で
「出来たら呼びます」と渡されるアレ。
名前はなんていうのか知らないんだけど(苦笑)受信機みたいなやつね。

出来あがったらその受信機で呼び出しがかかって取りに行くんだけど
音は鳴るし、光は点滅するし、バイブで震えるしで至れり尽くせり。
そのうえ結構広範囲で受信するみたいだから離れたところにいても大丈夫だし
あれ渡されると安心ですね~。

アレってこれから「呼ばれたら行く」という場面(病院や役所や銀行や・・)でどんどん普及してほしいな~と思います。

玄関のチャイムにしても
私はチャイムは聞こえるけど、やっぱり掃除機かけてたりすると全く気がつかないので
しゃれた光で「ピカッ」って知らせてくれるとすごくいいなって思います。
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Unknown (モンブラソ)
2010-01-14 11:16:24
シャンプー、リンスの横キザミについて、掲示板の方に書いてみようかな、と思ってたら、こちらの記事に書いてあったのでちょっとビックリしました(笑)

あの横キザミは、
「こういうアイデアは、ぜひ普及すべきだ」
という事で、発案者の花王が「実用新案」の権利を放棄したんですよね確か。


小中高生による「人権に関する作文」の発表を聞く機会があったのですが、中学生の代表は、少し足の不自由な少年でした。
(車椅子ではないけど、少し足を引きずってるらしい)

彼の作文は、足の障害を通して経験した不便さや、人々の優しさについての体験談でしたが、その中に

「目の見えない人にとっては便利な点字ブロックも、僕にとってはつまづいて転ぶ原因になったりします」

という一節がありました。

ある障害にとっては必要なものでも、別の障害にとってはマイナスになりえる…
そんな事を考えた事もなかった自分にとっては、彼の言葉は大きな「気付き」でした。

もちろん彼が主張したかったのは、「全ての人にとって住みやすい社会」への問題提起であって、「点字ブロックの批判」などでは決してありませんが、自分とは別ジャンルの障害の人の言葉を聞く事の意義を感じた体験でした。

それ以来、生活の中で何かしらのバリアフリーを見かけると、
「このバリアフリーは、誰かのマイナスになってないだろうか」
と、ふと考えるようになりました。
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遅くなりました (Ayami)
2010-01-16 09:10:01
>ぷーどるさん
小型の呼び出し器、最近は結構病院でも普及してきてるみたいですね。
某市民病院も、移転後はあれになるようですよ♪
あの呼び出し器も、聞こえない人に・・・というだけでなく、
プライバシー保護(診察室で名前を大声で呼ばない)という観点から導入するところが増えているようです。

そうそう、もっとどんどんオシャレになっていけばいいのにな~って思います!
家電(部屋のライト)と連動して知らせてくれるとかもいいですね♪
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つづきまして (Ayami)
2010-01-16 09:13:02
>モンブラソさん
遅くなってすみません。
花王さん、おっとこ前ですね~♪

その中学生の彼の話、すごく考えさせられますね。
同じ「障害者」といっても、たとえば目の見えない人のためと耳の聴こえない人のためって相反してたりしますし。

あっ。
非常ベルを「ワサビの臭い」で知らせてくれる、聴覚障害者向けの非常警報装置があるそうです。
これなら聴覚障害でも視覚障害でも、両方使えるかも!
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