昨日届いた『膠原病・リウマチは治る』という本を読み終える。
昨夜、電位治療をしながら読み進めていくうちに、憂鬱になった。
変形した指の関節の写真を見るのは、やはりいい気分ではない。さらに、
関節リウマチの患者に典型的に見られる関節症例として、
手足の抹消関節、特に中手指関節(指の付け根の関節)、
近位指関節(爪から数えて二番目の関節)、
手首の関節を高頻度に侵す対称性(両方の手に現れる)の関節炎、
三個以上の関節で関節炎を起こす多発性、
関節破壊が進行すると、関節の動く範囲が限定的となり変形する
というよくある説明に加えて、
それらの症例写真とともに、その変形の仕方に名前まで付いているのを読むのは、ひどく気が滅入った。爪から数えて一番目の関節をDIP、二番目の関節をPIPというらしいけれど、
小指側に向かう変形(=尺側偏位)
PIPの過伸展(=スワン・ネック変形)
PIPが屈曲し、DIPが過伸展する変形(=ボタン・ホール変形)
などといった説明をしているところなど、いったい、患者がこれを正視することができるものだろうかと言いたくなった。
まあ、一般向けとは言え、医学書の類だから、仕方がないけれど、
こうした箇所を読み進むのが患者本人だったなら、本を読み終える頃には、間違いなく「すがりたくなる」心境になるに違いない。
と思いつつ、いったん、そこで、本を閉じて瞑想。
その後、一気に読み終えた。
が、この本の執筆者も、投薬による症状のコントロールを主張しているので、
わたくしの求めている治療法とは、方向性が違うことを確認できた。
昨夜は、その後、気分治しに別の本を読んでから就寝。
が、感情的になってはいけない。
そう思って、今日、午後から改めて読み直した。
この著者も、時折、らしくないなと感じられる箇所がいくつかあり、どことなく感情的になっていることが窺われたからだ。
いわく、「最近では、基礎免疫の専門家が、臨床の現場を知らず、免疫力を高めればどんな病気でも良くなる、などと謳った本を出して、書店では山積みされているようですが・・・」(10ページ)
とか、
「免疫力が低下して病気になった人が免疫力を高めることは必要ですが、だからといって、世の中に掃いて捨てるほどある、免疫力を高める健康食品なるものに飛びつくのは考えものです。それらは、免疫システムのどこに、どれくらい効いているのか、全く分からないものばかりだからです。」(37ページ)
とか、
「このように膠原病、リウマチは、免疫力が高すぎるために起こっているのですから、知人が薦める免疫力を高める健康食品などというものが、とんでもない的外れであることは、お分かりいただけると思います。これでは火に油を注ぐようなものです。幸い、このような食品が本当に免疫力を高めることは少ないため、何も起こらないというのが現実ですが。」(41ページ)
と、唐突にこうした言葉が出てくるのだ。
この医師は、よほど、そうした健康食品を治療に用いることに抵抗があるのだろうという印象を抱かされてしまう。なぜなら、感情的な面が顔を出してしまっているからだ。
冷静なら、免疫力を高めると謳っている「掃いて捨てるほどある」世の中の健康食品が、実際には「何も起こらない」くらいの効能しかないのなら、そこまで目の敵にする必要はないのではないか?
また、百歩譲って、出回っている多くの健康食品には実際、何の効果もないのだとして、では、なぜ、多くの患者が、最後はそうしたものに頼っていくのかということを、この著者はどう考えているのだろうか。
そんな疑問も少なからず持ってしまった。
この医師は、患者のこころがわかるのだろうか・・・・
患者というのは、健康食品であれなんであれ、それらが、「免疫システムのどこに、どれくらい効いているのか、全く分からな」くても、一向に構わないのである。治りさえすれば、痛みが軽減されさえすれば、患者というのは、そんなことはどうでもいいのである。
執筆者は、きっと有能な医師なのだろう。
慶応の医学部を卒業し、同大学病院の内科勤務の後、ハーバード大学ダナ・ファーバー研究所に留学。帰国後、埼玉医科大学総合医療センター勤務。
現在、膠原病・リウマチの専門医として治療に当たりながら、厚生労働省の難病研究班に属しているという経歴の医師・・・・
本の後半で、
新しい治療の試みがいろいろと紹介されていた。
「免疫グロブリンの大量(投与)療法とは、免疫グロブリンを大量に点滴するものです。どうして効くのか詳しいところはあまりわかっていませんが、従来の治療では効果のない重症な膠原病(患者)に、この免疫グロブリン大量療法が有効であることが報告されています。元気な人の体から精製された抗体を、もともと血液中に流れているのとほぼ同じくらいの量を、数時間で点滴するのですが、これによって、自己抗体が薄まり、自己抗体による組織の障害が抑制されるからではないのか、といわれています」
と紹介されているのを読み、思わず苦笑した。
突発性血小板減少性紫斑病という難病に罹ってしまった友人のことを思い出したから・・・・。バレエパフォーマンスで第一線で活躍していた彼女を襲った病気だった。救急車で搬送された病院で、さんざん薬漬けとなった彼女に一年後宣告されたのは、すい臓摘出という選択しかないという内容の医者からの話だった。そのとき、すでに行われていた治療法が、それだった。
この療法は、この本でも紹介されていたけれど、
ステロイドという薬がもはや効かなくなった突発性血小板減少性紫斑病の患者に対して行われる療法のようだ。だが、その最後がどうなるかは、書かれていない・・・・。
彼女が横たわる無菌室で、わたくしたちは語り合った。
彼女は、二度と踊れなくなるということへの衝撃もさることながら、この後に及んでのすい臓摘出には納得できないということで、原因が分からない病気なのだから、対症療法ではたぶんダメだというわたくしの考えにすがった。
こうなったらダメもとで、そうした治療とはまったく違う療法をやってみようということでわたくしたちは了解し、わたくしが彼女から委任状をもらい、医師と渡り合った。
侃々諤々、専門医の医師と素人のわたくしの語り合い・・・・
紙に書きながらの説明、検査データの説明、質問の応酬、やがて怒号が飛び、
最後に医師は黙った。
わたくしたちは、入院しながら経過を観察して続けるという条件付で、酵素とアスコルビン酸を大量に飲む治療を始めた。そして、病院で出される食事をやめて、それとは違う食事を、彼女のご家族が差し入れるということで食事療法も始めた。そんな彼女を、下痢と腹痛が襲い、彼女は吐き続け発熱し、そうした症状が半年続いた。酵素治療は、高くつく。わたくしはいろいろな方たちに協力を仰ぎ、彼女は、その治療法を続けた。
これも、賭けだったのかもしれない・・・・
それから三年後、
彼女は、舞台に復帰した。(その数年後の一昨年、結婚で引退し、いま海外で新婚生活を送っている。とても健康!)
有能な医師でも治せない。いや、有能な医師だからこそ、治せないということもあるのではないか・・・・。
原因の分からない病気に対しては、患者も医師も、
謙虚でありたいと思う所以だ。
何せ、分からないのだもの。
どうしてこんな病状を発症したのか・・・・
本を読み、勉強になった箇所もあった。
免疫細胞のことがやや詳述されているのに加えて、その免疫異常と体に現れる症状との関係、さらには血液検査の結果と診断など、いろいろの疑問が、沸いて来た。
これから、また勉強してみよう・・・という思いも沸いてくる。
臨床の研究成果や科学の進歩、この病気に対して、現在、何が分からないかが分かったことだけでも進歩だもの、そうした成果に対しては素直に耳を傾けたい・・・
でも、
当分、こうした本は、読みたくないな・・・