河田さんから私に送られてきた文書の一部です。ほんの些細な思い違いをのぞき,ほぼ正しい記述になっています。
ここで河田さんが主張したかったことは,
・「かな漢字変換」を提唱したのは自分
・仮名漢字変換と辞書の作成担当は,プロジェクトXの物語につながる前までは自分
(つまり,従来技術のキャッチアップは自分)
・森さんはマネージャであり,しかも,ほとんど何もしていない。
ということです。
河田さんとは,そして武田さんにも,各自の発明は,それぞれ各自に属する発明であると話しています。河田さんには長期学習と呼ばれる正式名称「辞書自動更新装置」と呼ばれる発明=特許があり,武田さんには一字単位変換関連の特許があります。それらは彼らの発明に帰します。
当然のことを言っているだけですが,これには意味があるのです。発明は製造とは異なり,それぞれが独自に行った実験における個人的経験を基礎にした知恵から出ているからです。最先端の発明は,会議室での合議などででるものではありません。誰にでも分かる会議の議題の対象となる「製造」は日常の業務です。自動車などは産業用ロボットが製造しています。発明の「創造」とはまったく違います。製造からは,特許による「超過利益」は生まれません。特許が問題になるのは,独占の利益である超過利益という大変に大きな利益が生まれるからで,それがなければ特許そのものの意味がありません。企業あるいは個人が特許を取るのは独占により莫大な利益を受けることを狙うからなのです。
(続く)
このブログの第一回
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