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将棋界に多大な貢献をした柿木将棋 

2010-08-06 16:58:42 | 将棋ソフト列伝
柿木将棋は古参の将棋ソフトです。

市販ゲームとしては、1995年前後にスーパーファミコンやプレイステーション用のソフトが発売されました。その後も順調にバージョンを重ねて、最新版は「柿木将棋8」です。歴史も知名度もある将棋ソフトといえるでしょう。

コンピュータ将棋としての柿木将棋は、1990年の第一回コンピュータ将棋選手権から出場しています。
今から20年も昔のことで、当時出場していたソフトには、ファミコンソフトの「内藤九段の将棋秘伝」があるくらいです。前回のYSSと同様、コンピュータ将棋の歴史とともにあった将棋ソフトですね。

そのように最古参で知名度も高い「柿木将棋」ですが、現在の棋力は「中堅」といったところです。
2000年以降は、コンピュータ将棋選手権で予選落ちと決勝進出を繰り返している状態です。また、決勝大会に進出できても上位に食い込むのは難しい状況です。

しかし、将棋ソフト全体のレベルが急激に上がっているということを考えれば、決勝大会に進出する実力があるというだけで、十分な棋力を備えていると言えるでしょう。


さて、ここからが本題ですが、柿木将棋といえば何と言っても「棋譜データベース」です。
柿木将棋が用いている棋譜形式を公開したことで、どのような棋譜であっても再現できるようにしました。

この結果、何が起きたかといえば、アマチュア将棋ファンおよびプロ棋士は、パソコンで将棋の勉強をすることが主流になったわけです。

・プロ棋戦の棋譜を集めて、柿木将棋で再現して研究する。
・将棋倶楽部24で棋譜を集めて、柿木将棋で再現して勉強する。
・詰将棋の棋譜を集めて、柿木将棋で練習する。

・大量の棋譜を分類してデータベース化する。

こういう人が増えたので、結果的に柿木将棋の棋譜形式(柿木形式)が将棋界のスタンダードになりました。

たとえば、順位戦や名人戦が中継される「名人戦棋譜速報」などにおいても、柿木形式です。
ネットで中継される多くのプロ棋戦(ほとんどすべて)の棋譜が柿木形式になっています。
そして何より、将棋倶楽部24の棋譜も柿木形式です。

はっきり言ってしまえば、将棋の研究=柿木将棋となったわけです。

ちなみに、柿木将棋を買わなくても棋譜再現やデータベース化が可能です。柿木将棋では、フリーソフトとしてKifu for win/mac(棋譜の再現)およびKifu Base(棋譜データベース)が公開されています。

柿木将棋公式サイト(Kifu for win/macの無料ダウンロードも可能) → 柿木将棋ソフトウェア

ただし、フリーソフトは市販の柿木将棋よりも機能は制限されています。
たとえば、棋譜データーベースで保存できる棋譜数が柿木将棋を買えば10万局ですが、フリーソフトでは1000局まで。ただし、研究熱心な将棋ファンでもなければフリーソフトで充分かも知れません。


それにしても、棋譜の再現とデータベース化は、ものすごいインパクトだったと思います。
プロ棋士はもちろんですが、多くの将棋ファンが柿木将棋を用いて将棋の研究を行って、棋力を向上させたはずです。
柿木将棋が現代の将棋界に果たした貢献は圧倒的です。


柿木将棋 8