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【将棋】4手目△3四歩が少ない理由

2019-11-11 22:01:42 | 将棋雑学
後手番。次の1手は?



 A △8五歩     B △3二金      C △3四歩
















正解は・・・どれも有力です。

「問題になってないじゃないか!」と言われそうですが、ABCの内1手だけ、プロの実戦では結構レアなのです。

その一手とは、題にもある通り△3四歩です。

局面ぺディアによると、ABCそれぞれの採用数(採用率)は
A 2221(54.7%) B 1620(39.9%) C 216(5.3%) とCだけ極端に低いですね。

子どもの頃、横歩取り△8五飛戦法が大流行していたのですが、その頃でさえ上図から△3四歩と指されることはめったになく「なんでだろう?」と不思議に思っていました。大人になった今、改めてこの理由について考察し、子どもの自分に答えてやろうと思います。



上図から△3四歩と突くのは、主に横歩取りを志向した一手です。
 この横歩取りという戦型が曲者でして、序盤から互いに歩を複数枚持合い、且つ大駒の交換がいつでも起こりうるため、非常に複雑で激しく、一手のミスが致命傷になりうるという特徴があります。
 ゆえに、横歩取りを志向するということは、相当な自信・事前研究があるということです。
 その場の気分や思い付きで「今日は横歩でいこっかな~」などと決めるプロはほとんどいないでしょう。

一旦後手が横歩取りを志向した以上は、相当な研究を用意しているはずですから、できるだけ確実に誘導したいと思うもの。
 そのためには、2手目に△3四歩とする方が確実なのです。
 2手目が△8四歩だと、3手目(先手)次第では横歩取りになりえなくなりますからね。
 (例えば▲6八銀なら矢倉模様になります)

「後手が横歩取り志向ならば2手目は△3四歩」ということは「2手目が△3四歩でないならば後手は横歩取り志向ではない」ということになります。(高校数学で習う対偶です)

ゆえに、上図を迎えている=後手は横歩取り志向ではない、というケースがほとんどなため、4手目の△3四歩が少なくなるのです。