着物の仕立て屋 花梨の日々つれづれ

着物のお仕立ていたします。
眠っている反物を自分流に着てみませんか?

こうしてブラックリストになる

2014年11月02日 | 和裁

 先日、呉服屋さんからお呼び出しをくらった。
「お宅の縫った着物なんだけど・・・」とこんな言いまわしの呼び出しだったので、いったいなんなんだとおっかなびっくりで、速攻で「これから行きます」と返事をして出かけた。

数か月前に納めた小紋。前置きとして、「これはあなたが悪いと言うのではのないから、参考までに聞かせて」と言われ見るに、下前の抱きと背のところに白いシミがあると言われた。

お客様曰く、
「その日は、汚れるような事は何もしていないのに、脱いでハンガーにかけてその上から布をかけていたので汚れが付くはずがない。縫い子さんが付けられてそのまま納められたのでは?何とかして貰えないかしら?」
というもの。

呉服屋さん、いう事言わなくちゃとおもい、
「この仕立て屋さんのお仕事は確かな方で、反物から仕上がりまできちんと検反されますし、こんな分かりやすいところにに付いてるシミを見逃すわけはありません」と言い切ったらしい。途中から、そんなに褒めんでも仕事はちゃんとしますんでこれからもよろしくお願いしますって心の中で決心して確認。

なんて事はない。


着用された日は、暑かった。


前抱き、後身頃、身八つの裏が出て来るくらい表が縮んでた。
色は濃いめで汗じみは確認出来なかったが、あんだけ見頃の袖付け側がポコポコになるくらい縮んでたのならば汗だってことくらい分かるだろうってレベル。

お客様が、何故そこまで強気で来られたのが気になって聞くに、クソ知恵を入れたやつが居た。呉服屋さんに行く前に地元のしみ抜き屋さんに持ち込んでおられて、そこでは処理できないと言われ、その時も「汚れるようなことはしていない」の一点張りでそれを聞いたしみ抜き屋が「縫い子が付けたんじゃないか」といった雰囲気の事を言われたもようの高飛車姿勢。

私、このしみ抜き屋に以前、一回相談に行った事があったので知ってた。
仕事が出来ない事も知識がない事も知ってた。

汗じみだけでこんなにシミが出来るの?と聞かれたので、この生地の染めと色ならばスレは普通に出来まいすねと答えた。で、結局誰が悪いのと聞かれるので、縫い子でも呉服屋でもなく染め屋さんですと答えた。染料の染付が悪いのか蒸し工程がよろしくなかったのかは分かりませんが、こういうタイプの生地は普通に有りますねと。

今後、また汗をかいたらこのようなスレは出来るかの問いに、「出来ますね」と答えるしかなく、だけどそれじゃあお客様に言えないと言われるので(当たり前だ)こういっては何ですけど「汗をかく時期には絶対着ない」を徹底したら大丈夫だと思います、としか答えられなかった。

なんにせよ、専門家に見せたら汗ジミって事は一目瞭然ですのでお客様には請求出来ますよ、と。

それでも 呉服屋さんのお怒りは相当なもので(私との会話ではつとめて冷静だったが、怒り方は伝わってた)警戒人物に昇格との事。しみ抜きから帰って来てからの対応によっては変わってくるだろうけど、着用後のシミは全てお客様責任なのでこういうケースは今後のお取引は微妙な感じになってくる。

まっ別に、お互いが距離置けば良いだけの事なんだけどね。


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