家族と遊んだら、次は自分のための遊びもせねばなるまい。
ということで、今日は朝早くから釣りに出掛けました。起床朝3時。Eさんに3時半に車で拾って貰い、今日は1時間ほど北の川にSteelheadを釣りに出掛けたのでした。
Stealheadとは川にいるニジマスの中で海まで出て行って川に戻って来る大物のこと。
ニジマスは海水適応が可能な種として知られている。なかには汽水域や海に下る個体もいて、他のサケ類のように海を回遊し、川の遡上を行う。降海型の個体は、特に大きく成長しやすく、全長 1.2 m、体重 25 kg 程度の記録もある。頭部上面が黒っぽくなるので、日本ではテツ、英語ではスチールヘッド (Steelhead) などと呼ばれる。この個体が産地周辺の川を遡上することがある。(Wikipedia参照)
私はシアトルに来るまで全く知りませんでしたが、Steelhead専門に釣りをする人がいるぐらい、その引きは
強烈で、一度釣ってしまうと他の魚では飽き足らなくなるのだそうです。(非常に濃い
こんなページがあったので、釣り師にとってSteelheadが如何に羨望の的なのかをご覧下さい。私はそれほどではないですが…)
こんな話を聞くと、Like a salmonと名乗ってはいるものの、Steelheadも一度は釣ってみたい!日本じゃ絶対釣れない!と思うのが釣り人の心。秋にその存在を知ってから、どの時期にどの川で何が釣れるのかをせっせと情報収集し、今回テスト明けのこの時期に満を持してガイドと一緒に釣りに行くことにしました。(え?自力じゃないのかって?いや、トラウトじゃないんだから。まずはちゃんと釣れる人と行って釣ってからでないと自力では簡単に釣れない獲物なのです。)
釣りの師匠と勝手に呼ばせて貰っているHさんのご紹介で(ありがとうございます!)、ガイドAと待ち合わせ。ガイドAとはメールで連絡をして今回初めて会いましたが、凄腕のガイドという評判から勝手に想像していたイメージとは違い、どこか会計士かサラリーマン?を思わせる真面目な風貌にちょっぴり驚きながらも、シアトル北部の某S川に向かいました。途中、ボートを牽引しながらスピードを出しまくる彼の車にカムリで付いて行くのも結構大変でした。どうやら一刻も早くついて釣り始めたいようです。素晴らしい。
アメリカの川ではボートで釣りをする人が多く、色んな場所にボートを上げ下げする場所が作ってあります。ボートでつりをする場合、車二台で川の上流に行き、ボートをセットして、下流のボートを上げる場所まで車であらかじめ移動し、車を1台下流に置いておいて残り1台で上流に戻り、ボートに乗って下流に置いた車の場所まで下りながらポイントを探っていくのです。
今回乗ったボートはエンジン無しのドリフトボート。2名+ガイドで乗るのに十分な広さと暖房がシートの前にあり中々快適です。エンジンが無いのは釣りには良いことだと思いますが、驚くのはこのボートをAndyは一日中漕いだり碇で係留しながらガイドをするのです。竿を振るのは客だけですが、仕掛けなどの準備は竿も含めて全部彼が用意してくれるのでいたせりつくせりです。
我々が準備を整え、川を下りだしたのは7時前。その前に、2台のガイド付き釣り師がボートで先に下って行ったのをAはかなり悔しがってました。彼、本気です。頼もしい。
少し霧が出て鳥の鳴き声と川の音しか聞こえない中、3人で川を下り始めました。下りながら竿を渡され、Steelheadが掛かる時の感触を英語で説明されます。「クンクングイーっだ。」という様な事を言いますが、釣ったことの無い我々には分かったような分からないような気持ちです。川を下りながら、あそこを狙ってみろ、上流から流して○△*?×/!$だ!とか言われて意味が分からんこんな感じか?とキャストしながらいや違うなどとやりとりしつつ、Steelheadが川のどんな条件のポイントに居るのか、どんなルアーでどんな深さでどんな流し方をするのか、何となく分かってきました。
がしかし、開始後3時間は経っても当りがありません。3月半ばのシアトルはまだ冷えます。今日は小雨もチラつくので動いてないと寒いと感じるぐらいです。お腹がすくので、持参したパンを食べながら、川が右に蛇行しているポイントでボートの左舷の深いところを、いつもの様に探っていたその時、Eさんの竿を見てAがPull!Pull!と叫びます。慌ててEさんが合わせたものの、どうもバレてしまった様です。が、その直後に今度は私の竿に根掛りとは違う、少し強く感じる当りがあったので即座に合わせると強烈な引きが
ガツン!と来ました。おぉ!これはひょっとしてSteelhead!?
竿は一気にしなります。竿は立てなければいけないと教えてもらったので、とりあえず慌てて巻くことをせずに竿を立てます。どうやらしっかりと掛かったようで、魚が暴れてます。Aはボートを岸に向かって漕ぎ出します、Eさんはついに来たか!と興奮気味。巻け巻け!とAが言うのでReelをちょっと巻くと、獲物は急に向きを変えてその何倍も逆にラインは出て行きます。「
Steelheadだ。間違いない。やったなおい!」とAも大喜び。
怖いのは、ラインが出て行った後です。長くなったラインはテンションが少し緩みやすくなります。竿も下がり気味になるので、その時にSteelheadは急に向きを変え、テンションを無くなってしますとバレてしまう恐れがあるので、慌てて竿を立ててReelを巻きます。
竿を立てるために右手でずっと持ち上げているのも結構疲れます。いったい何分格闘していたのかは覚えてないですが、比較的川幅が狭いところで捕まえたので、程なく浅い流れの緩い場所まで引っ張ってこれました。ボートを係留し、Aが大きなタモを持って捕まえられる場所まで引っ張れと言います。慎重にReelを巻くのですが、岸に近づくと一気に逃げるSteelhead。凄い体力です。
巻いては逃げられることを何度か繰り返し、一瞬バレたか?!と肝を冷やすこと数回、とうとう力尽きたSteelheadはAの網にすくわれ、その姿を現しました。
とにかく
デカイ!です。今まで見たことも無い大きさ。日本でブラックバスを釣っていたときは30cm前後ぐらいでしたが、これはいったいどれぐらい?
A曰く、重さは13ポンド(6~7kg)ぐらいだろうと。撮影の時に手に持った時の重さは、昔々に新巻鮭を作る時に持った鮭の重さ以上でした。
水から長く出してはいけないということで、しびれるほど冷たい水に手をつけながらパシャリと撮影。Fishing ruleでSteelheadはこの時期Catch&releaseのみなので持って帰る事は出来ませんでしたが、あの引きと重さと大きさ、それに美しさは忘れられません。メスでした。
釣り始めてから4時間ほど経ち、魚影すら見えてなかった私とEさんは「釣れない期間が長いと気持ちは受注がない営業マンの気持ちですね」とか「先が見えないのは弁護士試験の受験生と同じ気持ちですね」などと自嘲気味に時間を紛らわして居ましたが、一つ釣れると「もう一匹釣るぞ!」となるから現金なものです。
がしかし、午後からは雨が降り出し、またもやピクリとも当りが感じられません。Steelheadの釣りは、1日に1回か2回しかチャンスは無いと言われますし、人によっては1シーズンに1回しかチャンスが無いとも言います。雨が降ると魚は嫌気を起こして余計に釣られなくなるので、これは
寒さに耐える修行か?と思いつつも、どうしても2匹目を釣らせてあげたいというAの心意気を思うと帰りたいとも言えず竿を降り続けました。
さらに4時間が過ぎ、とうとう上陸場所まで来たその時、最後の探るべきポイントでEさんの竿に当りが!慌てて合わせるEさん、そして私のときよりも大きな魚体が水面に見えました、Steelheadです!
Aは慌ててボートを岸に向けて漕ぎ出します。竿を必死に立てるEさん。ヒットした場所が川が深くて流れが速い場所だったため苦労しています。
Steelheadは向きをしばしばかえ、針を取ろうとします。何度かの格闘の後、ボートの下を通って川の深い場所に一気に潜って行ったかと思ったその直後、なんとバレてしまいました。Why!?Why?! What's happen???とうな垂れるEさんとA。「大きな獲物はバレる。良くあることだ…」と口をあんぐりと開けたAは慰めの言葉を掛けます。もし釣れてたら、恐らく18ポンドほどあったのではないかというので、相当大きな獲物でした。
結局、夕方まで釣って10時間もやってしまいました。Aのガイドは素晴らしく、半ばあきらめかけていた私とEさんが2回目の大物に出会えたのも彼のおかげです。Steelheadを釣るにはあまりに経験と知識と腕が足りない我々は、今日一日で多くの事を学び、1勝1敗という素晴らしい結果に終わったのでした。
帰りの車の中、興奮冷めやらぬ二人は、次はサーモンを釣ろう!そして全部自力で釣れる様になるぞ!と次の釣行の計画を早くも練り始めたのでした。Steelheadも来期は自力だけで釣ってみたい。きっとぜんぜん違うファイトだろうと思ったりします。
Salmonではないですが、一応ブログの名に恥じない獲物がつれて良かった良かった。
(次の釣行に続く)