吹く風ネット

酔っ払いブギ11

2002/11/29
 酔っぱらいのおいちゃん、今日もひと騒動起こしたらしい。
 何でも、女性客に絡んだらしく、「お前、出て行け!」などと暴言を吐いたそうだ。
 それを聞いて店長が切れ、警察を呼んだ。おいちゃんは女子トイレに籠城するなどして抵抗したが、最後は「ご用」になったという。


2003/12/05
 おいちゃん、昨日も寝小便しやがった。
「また寝小便しかぶってから」
 とぼくが言うと、
「わしはしてない」
 とおいちゃんは言い張る。が、ズボンはびしょ濡れだった。
 ぼくは、ぞうきんを持って後始末をしながら、おいちゃんに「もう帰れ」と言った。にもかかわらず、ズボンが濡れたまま他のベンチに座り直している。
「そこに座ったら、また拭かんといけんやろ」
「ああ、そうでしたな。すいません」
 そう言って、おいちゃんは別のベンチに移った。
「もうっ!」


2003/05/11
 ぼくの勤める店の中に薬局があるのだが、昼間、そこのパートさんが、血相を変えてやってきた。
「しんたさん、ちょっと来て下さい」
「どうしたと?」
「酔っぱらいのおいちゃんが」
「え、酔っぱらいのおいちゃんが、来とると?」
「ええ、さっきから薬局に居座って、何杯も陶陶酒をおかわりするんです」
 そういえば、今日は薬局で陶陶酒の試飲会をやっていたんだった。

 薬局に行くと、なるほどおいちゃんがいる。
 おいちゃんはぼくを見つけると、
「お、大将、久しぶりですなあ」
 と言った。
「おいちゃん、こんなところで何しよると?」
「いや、ここの人が『飲んでくれ』と言うもんで・・」
「それで何杯も飲みよるんね?」
「はい、そうですたい。おいしいですけなあ」
「おいちゃん、あんたこれ薬やないね。何杯も飲んだら、副作用で小便が止まらんようになるよ。そうなったら寝るたびに寝小便たれてしまうけど、それでいいと?」

 何度も書いているように、酔っぱらいのおいちゃんは酔っぱらうと、大声を出し、あげくにベンチの上で寝てしまい、酷い時には寝小便のおまけまで付いてくる。
 ぼくは何度も、このおいちゃんの小便の後始末をしている。おいちゃんもそのことを知っている。だから、ぼくが「寝小便」という言葉を口にすると、ばつが悪いのか、おいちゃんは寝小便をたれたガキのようにシュンとなる。

 今日もそうだった。「寝小便」と聞いて、シュンとなり下を向き、固まってしまった。
 ぼくが「おいちゃん、おいちゃん」と声をかけると、おいちゃんは我に返り、
「あ、今日から相撲が始まるんでしたなあ。うん、早く帰らんと。じゃあ、大将、失礼しまーす」
 と言って、そそくさと帰っていった。

 ぼくはレジにいたパートさんに言った。
「帰ってもらったよ」
「もう来ませんかねえ?」
「大丈夫。もう来んやろ」
 その後、おいちゃんは来なかった。

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