ギター、ギター

高校時代、ぼくは狭い狭い
三畳の部屋に引きこもって
必死にギターの練習をしていた。
宿題なんてしたこともない。
もちろん予習復習もしない。
すでに部活の熱も冷めていて
しょっ中サボるようになっていた。
とにかくギター、ギター、ギター。
ギターがうまくなりたいという一心で
学校が終わると誰よりも早く家に帰り
懸命に指を痛めつけていた。

右手の小指を骨折したことがあった。
病院に行くとギプスされてしまう。
そうなるとギターが弾けない。
ということで病院には行かなかった。
おかげで指が元に戻るまでに
十数年を要してしまった。だけど
そのことに対する後悔はなかった。
逆にギター熱を維持したままで
ギターの練習が出来たので
少しは上達したのではと喜んでいる。

そのギター、ギターがその後
役に立ったのかというと
今のところ集中力がついたという
精神的な成果は出ている。
ギターのテクニックなどはというと
今後の人生に絡んでくるだろう。
ぼくはむかしからそう信じている。