かくして、まだ初々しき大学一年生の私に舞い込んだ、思いもかけぬ映画界へのスカウトのお話でござひました。ああ、これをステップに、ドラマ出演、歌手デビューと華やかなセレブへの道が開けるのでございましょう。当時と言えば、所謂トレンディードラマ真っ盛り。「好きだよ♥カーンチ」「僕は負けまっしぇーーん!」当時のお茶の間を賑わした数々の名台詞が脳裏をよぎりました。ああ、今や、私もあの世界に羽ばたいていくのだ・・・・(注:年代が合わんやんか。遠い昔のことなので、筆者の頭の中でごちゃまぜになっている。10年以上前は全て「昔」)。
そして数日後、どこだったでございましょうか、高田馬場からもさほど離れてない某所であったとは思いますが、頂いた名刺にある住所の通り、彼らの事務所をうかがいました。上機嫌で迎えていただいた、先日の業界のおふた方が、じゃ、ここでもなんだから、と近所の喫茶店に私を連れ出したのでござひます。
「実はね、まだ企画段階ではあるんだけど、今僕達が作っている映画なんだけど、ある女優と交渉中なんだけど、そのヒロインの相手役を探していたと言うわけなんだ。」
早速、お二人は、その企画中の映画の内容をご説明してくださいました。
「で、偶然、君を見つけて、僕らのイメージにぴったりだったわけ。どう、興味ある?」
「はあ。それでどういう役なんでしょうか。」
「うん、年上のヒロインに恋をする美大生。画家を目指して勉強する、ちょっと心に傷をもってる純粋そうな青年、て感じかな。」
まあ、さすがは映画業界人でございます。私のこの少し憂いのある知的な横顔から、即座に私の純粋な内面までを読み取った、的確な審美眼をお持ちなのでした。加えて、美大生とは、まだ熟れきっていないながらも芸術の香り漂う私にふさわしい役柄。話をお聞きするうちに、私も俄然乗り気になってきたのでございます。
「おもしろそうですね。で、相手役はどなたなんです。」
「うん、まあ旬は大分前に過ぎたんだけど、かつてのアイドルだね。」
「ええっ、誰なんです?」
「大●久美●」
これはまた、大●久美●様とは・・・。確かに人気の峠はかなり前に過ぎていたとは言え、「コ●ットさん」等で演じたあの愛らしいお方のお相手ができるとは、何と言う光栄でございましょう。「一億人の妹」から、今や「シンタロウの年上の女」へとの脱皮をとげるというのでござひましょうか。
「この作品で、彼女を再び第一線に呼び戻そうと考えてるんだ。」
「成る程」。私は、もはや半ば、久美●様の年下の恋人気分で、これから始まる映画出演と言う未知の世界への思いを繰り広げ始めていたのでございます。
「で、脱がす。」
「は?」
「だから、脱がすつもりなんだ、大●久美●を。」
まああの清純派女優としてならした、あのお方が、ついに大人の女優へと転進するといふのでございます。
「そう、俺達が脱がす!それも大胆に。」
「大胆に、と言うと?」
「・・・うん、カラミがあるということだね。」
「誰とですか?」
「君に決まってるじゃないか。」
まあ、何と言うことでございましょう。初出演の映画で、いきなり脱ぐとは・・・。しかし、これも芸の道を究めるためでございます。私の玉のような肌を見て、お客様が喜んでくださるなら・・・(<=違う)。そして何より、これはあくまで正当派文芸路線、れっきとした芸術なのでございます。
「ともあれ、企画と出演交渉に目処が就き次第、配給会社にプレゼンするから。」
「配給会社って?」
「あ、そうか素人さんにはわかりにくいよね。映画ってのは、作る人たちとそれを映画館で配給する人たちは、それぞれ別ってわけ。例えば、東宝なら東宝が、自分達の社員で作って、自分達で配給するってわけじゃないんだよ。で、僕らのプロダクションは、まあ会社で言えば、下請けだな。それを配給会社に提案して、企画が通れば、それを買ってもらって、撮影開始ってわけ。」
「へえ、そうなんですか。勉強になります。で、僕と久美●の映画は、どこに買ってもらうわけですか。」(<=すでにその気)
すると、お二方は、目を合わせたかと思うと、コホンと軽く咳払いをして、小声でおっしゃったのです。
「に●かつという会社だよ。」
「は、聞こえませんでしたが。」
「にっ●つ」
「ああ、●活と言えば、赤い夕日の渡り鳥とか、早撃ちジョーとか、そういう映画を作っている会社ですね」(いつの話や)
「いや、そっちじゃない。いわゆるロマンポルノと言われているやつだね。」
「・・・・・・・・・・・・・・」
・・・嗚呼、「に●かつロマンポルノ」。当時の青少年には隠微な響きを持つ、禁断の花園でございました。しかし、まだうら若き私が、人様の前で大胆に素肌をお見せすることには、一重の羞順を感じたのでございます。
つづく
(読者の皆様への注意)
何だやっぱり、AVではないか、と思った読者諸氏よ。違うぞ。あくまで「ロマンポルノ」であり、AVとは似て非なるものである。AVとはすなわちアダルトビデオであり、ストーリーもへったくれもない、ただやりっぱなしの、やりたいさかりの青少年のためのオカズであり、一方、ロマンポルノとはあくまでエロスとは何か、美とは何かを追及し、人間の美しくも悲しい性と情念のこめられた文芸作品なのである。その違いを踏まえて、次回を待たれよ。
そして数日後、どこだったでございましょうか、高田馬場からもさほど離れてない某所であったとは思いますが、頂いた名刺にある住所の通り、彼らの事務所をうかがいました。上機嫌で迎えていただいた、先日の業界のおふた方が、じゃ、ここでもなんだから、と近所の喫茶店に私を連れ出したのでござひます。
「実はね、まだ企画段階ではあるんだけど、今僕達が作っている映画なんだけど、ある女優と交渉中なんだけど、そのヒロインの相手役を探していたと言うわけなんだ。」
早速、お二人は、その企画中の映画の内容をご説明してくださいました。
「で、偶然、君を見つけて、僕らのイメージにぴったりだったわけ。どう、興味ある?」
「はあ。それでどういう役なんでしょうか。」
「うん、年上のヒロインに恋をする美大生。画家を目指して勉強する、ちょっと心に傷をもってる純粋そうな青年、て感じかな。」
まあ、さすがは映画業界人でございます。私のこの少し憂いのある知的な横顔から、即座に私の純粋な内面までを読み取った、的確な審美眼をお持ちなのでした。加えて、美大生とは、まだ熟れきっていないながらも芸術の香り漂う私にふさわしい役柄。話をお聞きするうちに、私も俄然乗り気になってきたのでございます。
「おもしろそうですね。で、相手役はどなたなんです。」
「うん、まあ旬は大分前に過ぎたんだけど、かつてのアイドルだね。」
「ええっ、誰なんです?」
「大●久美●」
これはまた、大●久美●様とは・・・。確かに人気の峠はかなり前に過ぎていたとは言え、「コ●ットさん」等で演じたあの愛らしいお方のお相手ができるとは、何と言う光栄でございましょう。「一億人の妹」から、今や「シンタロウの年上の女」へとの脱皮をとげるというのでござひましょうか。
「この作品で、彼女を再び第一線に呼び戻そうと考えてるんだ。」
「成る程」。私は、もはや半ば、久美●様の年下の恋人気分で、これから始まる映画出演と言う未知の世界への思いを繰り広げ始めていたのでございます。
「で、脱がす。」
「は?」
「だから、脱がすつもりなんだ、大●久美●を。」
まああの清純派女優としてならした、あのお方が、ついに大人の女優へと転進するといふのでございます。
「そう、俺達が脱がす!それも大胆に。」
「大胆に、と言うと?」
「・・・うん、カラミがあるということだね。」
「誰とですか?」
「君に決まってるじゃないか。」
まあ、何と言うことでございましょう。初出演の映画で、いきなり脱ぐとは・・・。しかし、これも芸の道を究めるためでございます。私の玉のような肌を見て、お客様が喜んでくださるなら・・・(<=違う)。そして何より、これはあくまで正当派文芸路線、れっきとした芸術なのでございます。
「ともあれ、企画と出演交渉に目処が就き次第、配給会社にプレゼンするから。」
「配給会社って?」
「あ、そうか素人さんにはわかりにくいよね。映画ってのは、作る人たちとそれを映画館で配給する人たちは、それぞれ別ってわけ。例えば、東宝なら東宝が、自分達の社員で作って、自分達で配給するってわけじゃないんだよ。で、僕らのプロダクションは、まあ会社で言えば、下請けだな。それを配給会社に提案して、企画が通れば、それを買ってもらって、撮影開始ってわけ。」
「へえ、そうなんですか。勉強になります。で、僕と久美●の映画は、どこに買ってもらうわけですか。」(<=すでにその気)
すると、お二方は、目を合わせたかと思うと、コホンと軽く咳払いをして、小声でおっしゃったのです。
「に●かつという会社だよ。」
「は、聞こえませんでしたが。」
「にっ●つ」
「ああ、●活と言えば、赤い夕日の渡り鳥とか、早撃ちジョーとか、そういう映画を作っている会社ですね」(いつの話や)
「いや、そっちじゃない。いわゆるロマンポルノと言われているやつだね。」
「・・・・・・・・・・・・・・」
・・・嗚呼、「に●かつロマンポルノ」。当時の青少年には隠微な響きを持つ、禁断の花園でございました。しかし、まだうら若き私が、人様の前で大胆に素肌をお見せすることには、一重の羞順を感じたのでございます。
つづく
(読者の皆様への注意)
何だやっぱり、AVではないか、と思った読者諸氏よ。違うぞ。あくまで「ロマンポルノ」であり、AVとは似て非なるものである。AVとはすなわちアダルトビデオであり、ストーリーもへったくれもない、ただやりっぱなしの、やりたいさかりの青少年のためのオカズであり、一方、ロマンポルノとはあくまでエロスとは何か、美とは何かを追及し、人間の美しくも悲しい性と情念のこめられた文芸作品なのである。その違いを踏まえて、次回を待たれよ。
しかし、コメットさんに大爆笑!そのすばらしい記憶力はいったい、どこから来るのでしょう~。
画像の加工の仕方を教えて欲しいです。
この合成の仕方を個人授業して頂きたいものです。
どっちが年上なのかは定かでありませんが、
お姉さまにも妹にもなる所存でございます。
やっぱ、ソノ路線だったか!種馬シンタロ~ン!
だ・いぐあーる!!じゃん。種馬にいさん♪
南仏殿:画像の加工?この程度なら、パワーポイントでもそこらの画像ソフトなら何でもできるぞよ。私はそのうちFLASHを覚えたいのだが不精なのでいつになるやら。
でもさ、AVに(違うってか?)スカウトされたなんて、ある意味そちら方面が?強そうに見えたとか?いやだっ!私ったら~はしたない。
芸術の香り漂う私???
???????????????
ま、確かにロマンポルノだったらそれなりにあらすじはありそうだよな~。とりあえずは俳優と言えるのではないでしょうか。
シンタロウさんにそんな過去があったとは・・・
どうして出演なさらなかったんです?
出演していたら、今頃カステジョン住まいじゃなく、世界を代表するロマンポルノ男優(!)として活躍していたかもしれないのに~
とにかく、次回が楽しみです♪