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「神回」感想。「逃げることも死ぬことも叶わない タイムループの果てに待つ切ない真実」でした

【ネタバレ】

◎「神回」

 「この時間は、監獄か天国か――!?」
 「繰り返す時間の先に待つ真実とは……
  切ない想いと人間の本性とが交錯する、新感覚タイムループ青春映画」

 「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」に選ばれた作品。
 2023年7月21日(金)公開、監督と脚本は中村貴一朗、88分。
 青木柚(沖芝樹 役)、坂ノ上茜(加藤恵那 役)のほか、新納慎也、桜まゆみ、岩永洋昭、平山繁史、渡辺綾子、横江泰宣、仁科かりん、中條サエ子、井上想良、日下玉巳、三浦健人、平山由梨、藤堂日向、岡部ひろき、三好紗椰、中村莉久、彩香、上野陽立、森一、南一恵(洋画はよく知りませんが、日本映画の多くがそうですが、役名の記載がないので、あの演技がいいねと思っても誰だかわからず覚えにくいという欠点があるため、役者にとってもよくないのでは。)。

 総合評価点は、上中下で上の下くらい。

○冒頭で、樹と思われる老人が、意識不明と思われる状態で病床におり、横には日本舞踊とかで使いそうな白い扇子(後で分かりますが、恵那から手渡されたもの。)。ここである程度のネタばらしがされている訳です。病人の過去の実話なのか、病人の妄想世界なのか、取り敢えずはこのどちらかということで見ることに。

・で、夏休みの学校でクラスの文化祭実行委員の打合せのために早めに登校した樹は居眠りをし、13時、恵那の呼びかけで目が覚め、13時5分になると13時に戻ることに気づき、樹だけが記憶が残っていると。
 タイムループものということは事前に知っていたものの、5分という短時間を何度も繰り返すとなるとバリエーションがあるのだろうかと心配になりましたが、心配無用でした

 樹は恵那が好きなので2人きりということに嬉しさもありましたが、同じことの繰り返しからの(恵那に何度も状況を説明したが、13時に戻ると恵那は何も覚えていない。)、繰り返しに耐えられなくなって教室から飛び降りて死のうとしたり(13時に戻るので死ねなかった。)、理由を知っていそうな人が校庭にいたので、あるいは理由を知っていそうな人の連絡先を生徒会の人が知っているので聞きに行こうとしたり(樹の状況を知らないので、そもそも話を聞いてくれないし、別の事でゴタゴタしているので樹の話を聞いている余裕もないとか。)、樹の絶望もあったり

 どうせ元に戻るからということもあって、ついに、恵那にキスをしようとして拒否されると、次からはあの手この手でレイプしようとして失敗したり。
 樹と恵那は好きあっている訳ではないことが明白になり、だとすると、樹の良い思い出を繰り返しているわけではないということですし、そこまでする状況だと恵那が樹に恋愛感情を持つこともないでしょうから、人生のやり直しという感じでもありません(やり直しだけど失敗しただけ、という可能性はありますね。)。
 タイムループで絶望しているという状況でなければ、つまりタイムループがなければ、樹は恵那を諦めるだけで酷いことはしなかったと思うのですが、状況によって人は変わるという事でもあるのでしょう。

・さて、13時に恵那が毎回「ありがと」とか「ありがとう」と言って樹は目覚めますが、何故に寝ている樹に「ありがとう」なのか不思議に思って見ていましたが、後で明かされます。
 恵那は「樹くん」と言っていますし、優しく好感を持っている感じの言い方の「ありがとう」ですし、恵那は樹の頭を優しくなでたりしていることなどから2人は交際するのだろうと思っていた私の恋愛脳を裏切られてばかりです。

樹は途中で、成長しいること、つまり年を取っていることに気づき、これでいつかは終わると喜びます。
 後の方で、同じ教室で制服で老人になっている樹と恵那のシーンもあり、ここでの樹は幸せそうです

・タイムループ内の教室で医者(恵那には見えていない様子。)が樹に、実験をしている旨を言いました。具体的なことを言う前に恵那の声などで遮られました。
 これを素直に受け取ると、医者が意識不明の樹の脳内に働きかけて特定の過去の時間を何度もやり直すようにしているということかと思ってみたものの、樹にとって良い思い出というわけでも無さそうなタイムループなので・・・

 実際に委員になったのは樹ではなく、恵那と別の男子。しかもこの2人は、委員になったことをきっかけに交際を始めた様子。
 ということは、過去の良い思い出の繰り返しではなく、妄想の繰り返しということになります。
 医者が言ったことが本当なのか、それさえも樹の妄想なのか。どちらかというと、前者という設定の様子です。

第1回の「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」で選ばれた2作の脚本が「神回」と「17歳は止まらない」として映画化
 FACTORYの趣旨について、プロジェクトリーダーの佐藤現さんの公式HPコメント。
 「毎年、多くの自主映画が制作され、様々な映画祭、コンペティション等で優れた作品が発表されています。
 ですが、そこで喝さいを浴びたクリエイターの皆さんが、その個性を保ちつつ商業映画に進出していくための門戸は、現状そんなに広くありません。
 本プロジェクトは、そんなクリエイターの皆さんが飛躍するためのネクストステップの場でありたいと思っています。
 クリエイターの個性と寄り添いながら、共に「劇場映画」を作って世に出していきたい。
 また、オーディションを兼ねた演技ワークショップの実施により、キャストの一部を選考していきます。
 俳優の皆さんにとっても飛躍へのステップになれば、と考えています。
 当社は、制作、劇場配給、パッケージ化、配信など、企画から観客に届けるまでのプロセスを一社で完結できる強みを持っていますので、劇場映画を皮切りに、様々なメディアで多くの方々に作品を観てもらえる機会が得られます。
 ただ、もちろん作品を生み出して届けるまでには「いばらの道」が待っています。だからこそ、作品が観客の心に届いた時の感慨はひとしおです。そんな苦労も喜びも全部ひっくるめて、我々とご一緒してくれるクリエイターの皆さん、ぜひご応募ください。
 記念すべき第一回の募集テーマは「青春映画」です。瑞々しい感性のほとばしる企画、脚本を、心待ちにしています。」

○神回の公式HPから。
「逃げることも死ぬことも叶わない タイムループの果てに待つ切ない真実
 17歳の夏休み。文化祭の実行委員となった樹と恵那は、教室で待ち合わせていた。
 13時になり打合せを始めることに。しかし、しばらくすると、13時に戻ってしまうことに樹だけが気付く。
 タイムループに陥った樹はなんとかその状況から抜け出そうともがくが、なかなか脱出することができない。
 数えきれないほど同じ時間を繰り返していくうちに樹の精神は混乱を極め、物語はあらぬ方向へ加速していく。
 果たして樹は無事に”時の監獄”から抜け出すことができるのだろうか。」

○新宿シネマカリテにて。





【shin】


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