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「すずめの戸締まり」感想

【ネタバレ】

◎「すずめの戸締まり」

 「行ってきます。」
 「扉の向こうには、すべての時間があったーー」

 2022年11月11日(金)公開、監督と脚本と原作は新海誠、122分。
 総合評価は、上中下で中くらい。

 2022年4月9日の朝日新聞での広告。


 2022年11月2日の朝日新聞での広告。


 新宿バルト9とか。










 岩戸鈴芽(いわと すずめ。17歳の高校生)(cv原菜乃華)、
宗像草太(閉じ師で大学4年生。ダイジンに子供用の椅子(足が1本外れている3本足で、鈴芽の母が幼少時の鈴芽のために作ったもの。)にされる)(cv松村北斗(SixTONES))、
ダイジン(猫の形の神様。要石(ミミズの出現=大地震なので、それを封じる重し)だったが嫌になり、それと知らなかった鈴芽に抜いてもらったので鈴芽が好き)(cv山根あん)のほか、
岩戸環(鈴芽の母の妹で独身。鈴芽の母が東日本大震災(2011年3月11日)で死亡してから宮崎県と思われる地で鈴芽を育てている)(cv深津絵里)、岩戸椿芽(いわと つばめ。鈴芽の母で看護師。鈴芽が4歳の時に、東日本大震災で死亡したと思われる)(cv花澤香菜)、芹澤朋也(草太の友人)(cv神木隆之介)、宗像羊朗(草太の祖父で閉じ師だが入院中)(cv松本白鸚)など。

 「新海監督 集大成にして最高傑作」との宣伝がありましたが、私はどちらかと言うと新海誠原理主義なので、最高傑作は「秒速5センチメートル」(2007年3月公開)か「言の葉の庭」(2013年5月公開)です。一般向けの感覚での最高傑作は「君の名は。」(2016年8月公開)か「天気の子」(2019年7月公開)です。
 前2作の「君の名は。」と「天気の子」より物語のアラが目立ちますし、それを上回るような勢いとか迫力とか魅力とかがあるわけでもありません
 私は、どちらかというと映像(絵が綺麗だとかアクションが凄いとか。)より物語を重視するので、物語のアラは比較的気になります。

 また、新海監督は音楽と物語のシンクロが抜群にうまいですが、それがあまりないので、本作を集大成と言われると戸惑いしかありません。

○2023年9月が舞台。少し引っかかる点がいくつかありましたが、エンタメとして多くの人が楽しめるのでは。引っかかる点は、朝日新聞デジタルの「小原篤のアニマゲ丼」で「もし「すずめの戸締まり」が「日本沈没」だったら」(2022年11月21日)と題していろいろと書かれており、概ね同意です。それ以外を以下に。私が特に気になったのはダイジンです。

・猫の形をした神様であるダイジンの性格が悪いです(神様は気まぐれだと草太が鈴芽に言っていたことが観客向けの言い訳になっているという設定なのでしょう。)。
 鈴芽を悪気があってからかっているようにしか見えないことや、その土地の人に写真を撮られてSNSに載っていることが多いのは鈴芽に追いかけてもらうため、ダイジンを、ひいては鍵が開いてミミズが出てきている扉である後ろ戸を見つけてもらうためだと後で分かりますが、分かるまでは嫌なヤツでしかありませんし、後ろ戸を開けている犯人がダイジンだと思わすように描かれています。開いた後ろ戸を教えているだけだと分かっても、鈴芽に対して可愛い笑顔をしても、手のひら返しの嫌なヤツという印象になります。そういうやり方の方が鈴芽が追いかけてきてくれる可能性が高いと踏んだのでしょうけれど、閉じ師である草太が後ろ戸を閉めれば良いのですから、後ろ戸を閉めることが代々の仕事である草太は説明すれば分かりますから、どこの後ろ戸が開いている/開きそうと草太に説明すればいいだけです(ダイジンは草太が閉じ師だと知っています。)。その方が開いた後ろ戸を早く見つけられ、より早く閉められたはずです。ダイジンは草太が邪魔、鈴芽は好きと言いましたから、好き嫌いで判断しており、ミミズによる大地震を止められるかどうかは二の次と考えているということになります。神様の気まぐれにも程があります。

 現実の日本で語られてきた神様って、そもそも人間の味方とは限らないだろうって?。
 そのとおりですね。神様は神様の理屈で行動しているだけです。
 それを本作では、神様は気まぐれ、と表現しているのでしょう。日本の神様は人間味がありますね。

・ダイジンは現実の猫としては目と耳が大きすぎて変ですが、SNSに載せている人たちはそうは思っていない様子なので、本作の世界ではあれが普通の猫なのでしょう。あるいは、ダイジンは神様ですから、鈴芽などのミミズが見える人以外には普通の猫に見えるように認知を操作しているのでしょう。
 なお、ダイジンは嫌みな目つきと話し方な事もあって、可愛いとは思いませんでした。

○新海監督は「うちの娘は2010年生まれ。彼女と話をしても震災の記憶はない。気づけば僕の観客の多くが10代で、共通言語の震災が薄くなっていって。でも、今であればまだ同じ気持ちを共有できるかもしれない、という焦りの気持ち。今なのではないか。と」(2022年10月25日の完成報告会見&完成披露試写会舞台挨拶にて。2022年10月25日のORICON NEWSによる。)と言っているようにエンタメで東日本大震災(2011年3月11日)を残したいという事ですが、エンタメは基本的にフィクションである事もあって事実を伝えるには限度がある、という事を見る側が分かっていないといけません
 本作の主な観客として想定されているのは10代のようですが、11年前の東日本大震災をどこまで覚えているのか。震災時に小学生以降であれば、ある程度以上の被害を受けた人はある程度覚えているのではと推測しますが、そうではない当時の小学生はほとんど覚えていないのでは。震災後の各種の報道では、被害の大きさから津波の映像もかなり控えめに扱われてきましたから、尚更記憶も薄れているのでは。
 となると、多くの10代にはあまり伝わらない、あるいは誤解される気もします。
 一方、まともな大人なら当時のニュースをそれなりに見ていますから、限度がある事を分からないといけません。

○オンボロの赤いオープンカーで、鈴芽や環を、鈴芽が母と大震災前に住んでいた海が近い場所(岩手県(か宮城県))まで連れて行く芹澤がいい味を出しています
 cvは誰だろう、松岡禎丞さんがナチュラルめに演じているのかな、と思って見ていましたが、エンドロールで神木さんと分かり、なるほどと思いました。神木さんが出演する事は事前に知っていましたが、どの役かまでは知りませんでしたし、「君の名は。」で主役の1人だったので本作ではもっと出番の少ない役かと思っていました。

・「完成報告会見&完成披露試写会舞台挨拶」(2022年10月25日)の東宝の公式HPから新海監督。映画を見てから見つけました。
 「以前、北斗くんと神木くんが並んでいる姿をTVで見て、何だかぴったりなんじゃないかと思って、神木くんに一回オファーを出したら「ちょっと僕は芹澤じゃないと思います」と断られたんですよ。」
 「あれだけ「出たい」って言っていたのに(笑)。草太役のオーディションしている時に「新海さん、僕はいつでもアップできています!いつでもやります!」と話してくれたんですが…。電話をしたら「このキャラクターは自分ではない気がするし、自分は(「君の名は。」の)瀧をやっているので、芹澤で上書きしてしまったら良くないんじゃないか?」と言ってくれたんです。
 でも、その声を聞いた人が、「神木じゃないんじゃないか?」って思えるキャラになれば、芹澤にとって一番良いんじゃないかと思いました。「僕らがものを作っていて、そういうことができれば幸せじゃないか?」という気持ちで、もう一度、神木くんにお願いしたら、最後はご快諾いただいて、「ルージュの伝言」をノリノリで歌って帰っていきました(笑)。」

○公式HPから、あらすじ。
「国境や世代の垣根を超え、世界中を魅了し続けるアニメーション監督・新海誠。
全世界が待ち望む最新作『すずめの戸締まり』は、日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる”扉”を閉めていく少女・すずめの解放と成長を描く現代の冒険物語だ。
(中略)すずめが歩む道の先で待つのは、見たこともない風景。人々との出会いと別れ。驚きと困難の数々。
それでも前に進む彼女たちの冒険は、不安や不自由さと隣り合わせの日常を生きる我々の旅路にも、一筋の光をもたらす。
過去と現在と未来をつなぐ、“戸締まり”の物語。
2022年11月11日。その景色は、永遠に胸に刻まれる。」

「九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。
彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。
なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。
扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。
すると、二人の前に突如、謎の猫・ダイジンが現れる。
「すずめ すき」「おまえは じゃま」
ダイジンがしゃべり出した次の瞬間、草太はなんと、椅子に姿を変えられてしまう―!
それはすずめが幼い頃に使っていた、脚が1本欠けた小さな椅子。
逃げるダイジンを捕まえようと3本脚の椅子の姿で走り出した草太を、すずめは慌てて追いかける。
やがて、日本各地で次々に開き始める扉。
不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。
旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。」


【shin】


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