市民大学院ブログ

京都大学名誉教授池上惇が代表となって、地域の固有価値を発見し、交流する場である市民大学院の活動を発信していきます。

智恵のクロスロード第5回「市民と経済学」と「国家論」阿部弘

2014-07-20 16:27:52 | 市民大学院全般
「市民と経済学」と「国家論」担当の阿部弘です。
* 「市民と経済学」の今年度の講義要綱は「市民」とは何かをその中身である「人間」とは何かを問題にしていく。「ジンカン」と発音することも、この日本の社会ではあり得るからである。このような考えがでてくる背景には日本の社会には「個人」という規範が存在しないということがある。「市民」は「個人」が基本になって成り立つ、というのがヨーロッパにおける考えである。さらに「市民社会」はこの「市民」が成員であるから、日本のような社会はそうではなくなってしまう。「間人社会日本」の思想が存在する一因である。この社会は「イエ社会」であり、自分の意見を主張して生活体系を築きあげようとするのではなくて、仲間意識や「ムラ」意識で生活しようとす形である。

* 次に「国家論」であるが、この論は何学なのか。私の講義は「経済学」としてのものである。そもそも「経済学」というタームは東洋社会でもヨーロッパ社会でも人間の社会・政治生活と結びついて形成されてきた。経世済民論、エコノミィー・ポリティク(ポリティカル・エコノミー)、ウィルトシャフト・ウィッセンシャフト、など皆同じである。つまり どれも「経済学」である。そうであれば当然「国家学(論)」はこの意味での「経済学」なのである。ヨーロッパではこれまでの「国家学」の整理とその発展を模索しだした。主にドイツであるが。その基調は「経済」との結びつきを「国家学」の骨格にしようとしていることである。

# 私の「クロスロード」No.1 は以上の問題提起とします。よろしくご批判ください。

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市民大学院の講義計画

7月22日(火)17時半 繁昌文化研究学 西端先生
7月23日(水)18時  研究指導
7月24日(木)16時  市民と経済学 阿部先生
       17時半 国家論 阿部先生
7月30日(水)14時  文化経済学 中谷先生(2コマ、17時まで)
7月31日(木)16時  地球環境と住民運動 シャピロ先生
       17時半 都市未来学 シャピロ先生
8月 6日(水)14時  観光経済学 金井先生
       16時  ラスキン学 内藤先生
       17時半 文化政策・文化経営学 池上先生
8月10日(日)観光政策学特別講義「奈良の社会福祉事業における修行僧の足跡を探る現地研修ツアー」近藤先生 in奈良
*参加希望の方はホームページ(http://bunkaseisaku.jp/)のお問い合わせからお申込み下さい。