薩摩反骨2・振動板の構造改革-②現代スピーカーで失われたもの

2022年10月31日 | 薩摩反骨(スピーカー維新)

反骨精神! 長い物に巻かれるな(そのうち踏まれちゃうゾ!)

 

 

◆ 振動板の構造改革-②現代スピーカーで失われたもの

 

<分割振動と二律背反問題>

 コーン形スピーカーの本来の応答性能は、例えば300Hz程度の中低音域迄しかありません。釣鐘モードの共振開始周波数(下図の赤色部)がその程度だからです。しかし実際には分割振動帯域までをも含めた非常に広い音域(公称周波数帯域)で使用しています。中高音域以上を専用ユニットに置き換えた2way、3wayスピーカーにおける低音用スピーカー(ウーファー)でさえ、釣鐘モード振動から逃れる事は出来ません。更には3wayスピーカーの中音用ユニットは勿論、トゥイーターでさえ同様の問題があります。

 

※ コーン形振動板の周波数特性概念図
※ 釣鐘モードの共振は正面特性からは判別できない

 

 従って、スピーカーの基本的性質として、柔らかい音は得意ですが、クリアー、若しくは勢いや音力のある音には追随できないと言えます。しかしながら、共振現象をある程度放置する事で応答の良さを演出する事が出来ます。これがスピーカーの音作りの奥深い所でありますが、但しデメリットとして音色の癖や歪み感が増し、聴き疲れのする音になる傾向があります。これが、「柔らかい」と「クリアー」を両立できない二律背反問題の原因なのです

補筆
 従来言われて来た分割振動帯域とは、軸対称モードの共振開始点以上の周波数です。しかし、二律背反問題の原因の本質はむしろ釣鐘モードにある事がこれまでの経験から明らかになっています。低音のしっかり感や中音の躍動感等のための「クリアー」な音質は、釣鐘モードに対する振動板の補強対策が非常に効果的だからです。

 

<現代スピーカーで失われたもの>

 上記のごとく、共振現象を音色の塩梅調整に利用する必要がある以上、周波数特性に凹凸が生じる事を容認しなければなりません。従って分割振動が不可避であるスピーカーにおいては、「凹凸の無いフラットな周波数特性=善」であると考えるのは正しくないと言わざるを得ません。即ち、音の質感を無視してフラットな特性を求める事は、「柔らかい」だけの「クリアー」ではない音を求める事を意味します。現代スピーカーの音質トレンドが「覇気のない」、「生き生き感に欠ける」音であると申し上げる根拠はここにあります。スペック偏重論の落とし穴に気付くべきです。

★ このことは、スピーカーユニットメーカーにとって不都合な真実であり、自ら話題にする事はありませんので、オーディオマニアはもとよりプロの間でもほとんど認知の無い事柄だと思います。

★ ヴィンテージスピーカーが作られた時代は、計測器が普及しておらず、今日の様なスペック偏重ではありませんでした。ですから今よりもずっと自由な(聴感優先の)音作りが出来たと思われます。だからこそ名器として残っている訳です。

 

次回に続く

 

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