高視聴率を取る韓国ホームドラマの定番テーマは?
KBSのホームドラマ『お父さんが変』は、
30%を超える視聴率を獲得している。
このドラマを見ていると、
韓国で視聴率を取れる定番テーマがしっかり描かれている。
果たして、それは何なのか。
視聴率受難の時代
韓国ドラマで一番視聴率が高かったのは、
1996年に放送された
ペ・ヨンジュン主演の『初恋』の65・8%である。
当時の韓国でテレビ画面の3分の2が
このドラマを映していたことになる。
凄まじい占有率だ。
『初恋』が放送されていた頃は、
韓国でも50%を超えるドラマがたくさんあった。
高視聴率のホームドラマが量産された1970年代の日本のように……。
気弱な長男と勝ち気な3人娘
『お父さんが変』は韓国でよく見られる類型的なホームドラマだ。
父親ハンス(キム・ヨンチョル)とヨンシル(キム・ヘスク)という夫婦には、
4人の子供がいる。
長男がジュニョン(ミン・ジヌン)で、
その下に長女のヘヨン(イ・ユリ)、
二女のミヨン(チョン・ソミン)、
三女のラヨン(リュ・ファヨン)がいる。
この娘3人はシッカリ者なのだが、
長男のジュニョンがどうも頼りない。
はっきり言えば、ダメ息子なのである。
ここが、このドラマのポイントだ。
ジュニョンも長男としてバリバリやりたいのだが、
どうもパッとしない。
そのことを母親のヨンシルがとても心配するのである。
一方で、
娘3人は勝ち気なので、ヨンシルは叩いてでもうるさく叱っている。
この家族関係がいかにも韓国らしい。
ホームドラマに欠かせないテーマ
韓国の母親は
「息子を舐(な)めるように可愛がり、
娘はほったらかして育てる」と言われる。
その結果、
娘はたくましく育つが、息子はどうも頼りなく育ってしまう。
それがまた、母親の悩みでもあるのだ。
その構図が『お父さんが変』では明確に描かれている。
かつては『ソル薬局の息子たち』でも、
長男が結婚できずに年を重ねて母親が病気になるほど心配する、
というストーリーになっていた。
長く韓国ホームドラマを見ていると、
「ダメ長男を極端に心配する母親」という構図が非常に多い。
しかも、
そういうドラマは概して視聴率が高い。
いわば、人気を得る定番テーマなのだ。
言うまでもなく、
ホームドラマの視聴者は中高年の女性が圧倒的に多い。
そういう人たちも実生活で似たような境遇を抱えている。
それだけに、ハラハラと感情移入しながら
『ソル薬局の息子たち』や『お父さんが変』を見ることができる。
ドラマは実生活を映す鏡……という意味で、
「ダメな長男+心配性の母親」というのは、
ホームドラマに欠かせないテーマなのである。
文=康 熙奉(カン ヒボン)