戦車男(せんしゃおとこ)

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M4

2005年08月22日 15時57分57秒 | 戦車図鑑
はっきりいってこれといった特徴のない戦車である。背が高くずんぐりとした車体。おわんを伏せたような円柱の砲塔。時代遅れのコイルスプリング方式のサスペンション(螺旋状のばねによって支える方式。初期の戦車に多用された)。背の高い車体は敵の的になりやすく、連合軍の兵士たちからは不評であった。

この戦車からは精悍さやたくましさといったものは何も感じられない。平凡な戦車である。その性能も平凡で、当時の主流の75mm砲を装備、31トンの重量で400馬力のエンジンを搭載し、時速40キロメートルの速度であった。ノルマンディー上陸後のドイツ戦車との戦いでは、シャーマン戦車は苦戦を強いられることとなった。その当時のドイツ機甲部隊の主力は、4号戦車、パンサー戦車、3号突撃砲などであったが、シャーマンが互角に戦うことができたのは4号戦車ぐらいであった。ドイツの重戦車ティーガー戦車が出現したときなどは、圧倒的戦力差から、連合軍の戦車兵たちがパニックに陥り、逃げ出すほどであった。

このような戦車が、なぜ主力戦車の座にあり続け、連合軍を勝利に導いたのだろうか。それは、その膨大な生産数と、機械的な信頼性の高さであった。シャーマン戦車はその単一の車種のみで6万輌以上生産されている。平面的な車体の構成と、鋳造(型に鉄を流し込んで生産する方式。曲面の形成が容易で大量生産に向いている)の砲塔により、シャーマンは極めて生産性が高かった。6万という数字は、第二次世界大戦中のドイツのあらゆる種類の戦車の生産数の合計よりも大きい数である。なるほどたしかにシャーマンは個別的なドイツ戦車との戦いで敗れはしたが、圧倒的な数の力で全体的な戦いに勝利したのである。

そしてシャーマンは他の戦車と比べ故障が少なかった。これは自動車生産大国アメリカの技術的な底力に裏打ちされたものだった。そのため、ドイツ軍でさえも鹵獲(遺棄された車両などの取得や、降伏などにより車両などを手に入れること)したシャーマン戦車を好んで利用した。ソ連軍でもレンドリース(武器貸与)されたシャーマンを重用した。第二次大戦後のイスラエルでも、独自の改造を加えられつつも使われ続けたのである。

このような視点からも、戦車という兵器の持つ強さが明らかになろう。つまりカタログデータのみの戦闘力ではなく。その生産性・機械的な信頼性などの要素の考慮である。そういった意味でシャーマン戦車は傑作戦車ということもできるのである。


M4シャーマン中戦車
全長:5.94m
全幅:2.61m
全高:2.74m
重量:31トン
主砲:75mm
機関銃:2
馬力:400
最高速度:40km

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2 コメント

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シャーマンについて (まさ)
2006-06-12 20:42:16
はじめまして。

まだ戦車大好き歴3年で、短いのですが

シャーマンは、特に好きです。

1つ知りたいのですが、M4シャーマンは

エムフォーと読むべきでしょうか?

それともエムよん、でしょうか?

よろしければ教えて下さい。

よろしくお願いします。
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はじめますて(^-^)/ (ヒロシ)
2008-09-23 23:17:15
堺市あたりの戦車フェチ中年ライダーです えむよん 確かに平凡な兵器ですよね数のおかげて優秀と言われたような感じの車両っすね 星形エンジンで車高がたかくなるなんて他国のエンジニアなら採用しないでしょう〓若い頃富士演習場内のしょう舎に泊まってた時にシャーマン改のクレーンついた工兵車両あったので触ったり登ったり頬ずりしたり(笑)しました 小山のようでしたなあ(・ω・)/登るの大変(笑) ちなみにしょう舎の非常時に叩く鐘はシャーマン系のスプロケ吊ってありました(爆)
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