各国頭越しの規制可能に
【ロンドン=是枝智】欧州連合(EU)の金融監督体制の改革法案が22日、欧州議会で可決される見通しとなった。
これにより「各国当局中心」の監督体制は2011年1月から「域内横断型」に変わる。それぞれの国の当局が握ってきた自国の市場や金融機関の情報を域内の当局が共有することで危機の再発防止を目指す。EUの弱点でもあった各国当局間の連携がカギを握りそうだ。
改革法案は、〈1〉銀行、保険、証券の分野ごとに金融機関を横断的に監督する機関をそれぞれ新設〈2〉3機関を統括する「欧州金融監督システム」(ESFS)を創設〈3〉EU全体の金融市場を監視する「欧州システミックリスク理事会」(ESRB)を新設――が柱だ。
ユーロ圏の金融政策を担当する欧州中央銀行が中心となって、不動産バブルなど域内全体の金融システムのリスクに目を光らせる。
緊急時には、ESRBなどの新機関が、各国の金融当局の頭越しに、リスクの高い金融商品の域内での取引禁止を含む規制導入を命じる権限も持つ。各国に営業地域がまたがる大手銀行の破綻(はたん)処理なども実質的に主導することになりそうだ。
(2010年9月22日
読売新聞)
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