神奈川県大和市は日本一の図書館の街として有名?です。
セコイ将棋オヤジは、大和市と同規模の自治体の図書館勤務時代。
施設管理、こども読書計画の策定、図書館協議会の運営、臨時職員の賃金の支給。
自販機や、HPやマットの広告営業、事故処理や遺失物、燃えるゴミからPCBまで廃棄物の後始末、等の雑事をしておりました。
考えてみると、「本」にほとんど触れない、、、という珍しい図書館職員。
分館や嘱託職員、臨時職員、リハビリ中の職員まで含めると、100人近くいる職員のうち、本に触れていないのは、委託のお掃除のおばちゃんとかを除けば俺一人だった気がします。
つまり、一般的には公共図書館の少なくとも90%以上の職員は本に投入されている。
ということになる。
しかし、公共図書館の利用者の90%が本を読んだり、借りたりするために来館しているのか?
と言われると明らかにNoである。
新聞を読みに来た人を含めても多く見積もって6割程度であろう。これは、超最先端の大和市の図書館でも、昭和の遺産?である図書館でも同じである。
その他の人は、スマフォを見ているか、図書館に参考書やパソコンを持ち込んで学習をしている。
今だともっとその割合は多いと思う。
本がなければ図書館は価値がない。
と図書館員。特に多くの司書職の方は思っているが、私は違うと考える。
本はあくまでも学習機会を提供するための道具の一つに過ぎない。
学習機会の提供
これは公共図書館の最大の使命だが、既にそれが本である必要はない時代になっている。
しかし今だに本に90%以上の人員と、大半の予算や場所を投入する。
というのは、これだけ紙の本以外の学習機会を提供する道具が普及した時代では改めるべきと考える。
ではどうすれば良いのか?
先進的な事例が一つある。
大和市の中央林間図書館である。

大和市の図書館と言えば、自称「日本一の図書館のあるまち」のシリウスが有名。
ここも素晴らしいが、これまでの図書館の集大成といった感がある。
前後に近隣にオープンした海老名市立中央図書館や、藤沢市立南図書館と比べると立地やサービス、コンセプト等の面で一長一短がある。
しかし、他にライバルがおらず、近未来の図書館という点ではこちらが推奨。
まずは立地である。
小田急線江の島(快速急行停車駅)と東急田園都市線の終点である中央林間駅と隣接する商業ビルの5Fという公共図書館としては最高の立地にある。

確かに一宮市立中央図書館のように、駅ビルの中にあれば、公共交通機関や歩いて来る方には一番便利であるが、車で来る方には駐車場の出入りが不便である。
東急ストアを利用する人は駐車場が無料になるので、買い物ついでにも利用しやすい。
またテナントとして図書館が入っているので、市としては、施設管理に関するゴタゴタに巻き込まれる必要はない。
ちなみに大和市のシリウスはターミナル駅の大和駅にはあるが、駅から少し歩くし、駐車場も近くになく有料になる。
①駅そばで駐車場有
②商業ビルのテナントとして入る。
そして、この図書館の最大の素晴らしい点。
それは本が少ない。
ホント、ここは図書館ですよ、、、と偽装するために置いてある程度しか本が置いていない。
中高年に大人気の新聞もない。(笑)
その結果として、利用者も、洗練されたデジタルサイネージを見ていたり、自分で持ち込んだ参考書やPCを使用して勉強している。
そして何と言っても素晴らしいのは、職員の大半は、本ではなく人を見ていることである。
いや素晴らしい。
これからの時代は、「大和市立中央林間図書館モデル」というのが確立すると予言したい。
理由は3つ
1 図書館は、蔵書よりも学習機能が重視される。
2 商業テナント需要はコロナ禍で大幅に減少するため、中央林間図書館のような超好立地でも安価で確保できる可能性が高い。
3 本の貸出よりも、学習機会の提供(ネット環境や電源の提供。)の方が、人手も費用も場所もかからない。
図書館を含む複合施設をPFI等で建設するというのが、21世紀初頭のトレンドであったが、
これからは、

古い蔵書が詰まった駅から少し歩いたところにある第一種住居地域にある公共図書館
↓
駅そばの商業地域内の築浅の商業施設内でコロナで空いた商業施設内にタダ当然で移設。
↓
中には図書館ですよ~。という程度の本だけ置いて、低コストのwifiと電源を提供し、人手をかけず学習機会を提供する。(しかも委託)

というのが今後の公共図書館のトレンドになる。
(写真はイメージで実存する図書館や商業施設とは全く関係ありません)
行政としても予算も維持費もかからないし、利用者ニーズにも沿っている。
老朽化した公共施設の図書館をコロナ禍で空いた商業テナントに移設し、人員と蔵書を整理するという流行が今後の公共図書館の流れになると考える。
これが良いのか悪いのか私には全く分かりませんが、、、
備えは必要。