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写真集を出す事になったLIMAリマ(アイドル)と彼女の撮影を受けた写真家

2021-01-26 21:04:22 | オリジナル小説

 その日、良子さんから携帯、部屋で使うデスクトップパソコンをもらったゲーム、ツイッター、ブログ、フェイスブック、SNSとかをやって見ると楽しいわよといわれて、参考書、雑誌とにらめっこして数日が過ぎた。
 難しい、わからない、諦めモードに入ったけどサポートセンター、掲示板などで聞いたりして、一通りの事がなんとかできたときは嬉しくなった。
 顔の知らない人間に皆、親切なんだと思いつつ、本、漫画、テレビドラマの感想とかをブログやnoteに書いたりして、夢中になっていると一日なんてあっというまだ。
 肩がバリバリ、固まって、ホットヨガ、ゆるゆるに肩甲骨を剥がすやり方をネットで調べて試して、そうでないときは本屋に行ったり。
 最初、良子さんはカードを渡してくれたけど、これは辞退したが、万が一の為といわれて悩んでしまった。
 
 「あなたのお母さん、亡くなる寸前、大金を手にしたのよ、詳しい事は」
 
 ごにょごにょと濁す、なんだか怪しいと思っていると宝くじと思ってくれたらいい、うーむ、訳ありのお金なんだろうかと思ってしまった、こういう場
合はスルーするに限ると思った。
 
 


 井上昌己(いのうえまさき)は写真家だ、といっても現在は、仕事を休んでいるといってもいい。
 撮りたいと思うもの、者が、なくなったのだ、だから断ると相手は残念だと言わんばかりの顔になる、すまないなと謝るしかない、だが、今回は違う、昔、色々と仕事の斡旋をしてくれた友人たっての頼みだと簡単に断るわけにはいかなかった。
 写真集を出したいと言ってるアイドルがいる頼まれてくれないかと言われて、最初は引き受けるつもりはなかったが、何度も顔を出して、そのたびに好物の和菓子の差し入れをされると、仕方ないという気持ちになってしまうのだ。
 
 「アイドルって女の子か、おまえ、女優、いや、女嫌いだろ」
 
 「そんなことない、ただ、その気になれないんだよ」
  
 「まだ、引きずってるのか」
 
 返事に困って、わからんと呟いた。
 
 「見てみたいもんだよ」
 
 すると、井上は手帳を取り出した。
 
 「この間、引っ越しの整理をしていたら出てきたんだよ」
 
 見せたのは写真だ、最近は古いやつもパソコンのソフトで綺麗に再現できたりする。
 
 「何だ、もう少しはっきりと撮れなかったのか」
 
 距離があったし、その時のカメラは古いやつだったからな。
 
 「頭の中に焼き付けてあるから大丈夫だ」
 
 「何だそれ、外人なのか、真っ白な髪なんて」
 
 「知らん、髪はウィッグだと思うんだか、ブリーチかな」
 
 「そう、なのか」
 

 久しぶりのオフ、休日、いつもならだらだらとベッドの中で過ごすのだが、今日は違うのよと大きく伸びをすると起き上がった、さあ、出掛けるわよと、帽子、度なしの眼鏡を、服装はシンプルにジャケット、スカート、スニーカーは万が一の場合に備えてだ、芸能人、アイドルだと知られて追いかけられたこともあるからだ。
 本屋に行こうと思ったのは偵察だ、もうすぐ自分の写真集が出る、広告とか貼られているだろうか、マネージャー、事務所の人たちは大丈夫、売れるよなんて言ってくれる、予約も好調だって言ってくれる、だが、アイドルなんて人気商売だ。
 女の命は花のように短いって、あれと同じだとLIMA(リマ)は思っていた。
 写真集の予約が好調なのは自分の人気ではない、写真家、あの人が撮るからだ。
 昔の写真家ということで話題性があったのか、気難しい性格で、今回、自分の撮影を引き受けてくれたのは一体、どういう心境なのか、業界でもかなり噂になったらしい。
 理由を突き止めようとしたレポーターもいたらしいが、実際のところは謎だ。
 現役だったときは凄く人気があったらしい、だが、突然、引退したのだ、しかも人気絶頂というときに。
 
 アイドル、芸能人の写真集コーナーに行くと自分より可愛い、美人、かっこいいなんてことは大勢いる。
 仕事をやめたいと思ったことがある、それでも皆から注目を浴びていることは気持ちがいいし、嬉しい、矛盾していると思いながら店に入ると、広告が貼られていた。
 嬉しいなんて思う、やっぱり自分は、この仕事が好きなんだ、それに今度、新しい仕事、アニメの吹き替えもやることになっている。
 原作を読んでおくのも勉強だよね、ライトノベルのコーナーに行く。
 
 びっくりして足を止めてしまった、本棚の前に立っていた人物が、あまりにも不似合いな感じかしたからだ、真っ白な髪の女性が棚を熱心に見ていると店員さんが女性に声をかける。

 「お客様、このシリーズ、ただいま品切れになっていまして、取り寄せも未定なんです」
 
 その言葉を聞いて女性は明らかに、がっくりとした感じだ、取り寄せが未定って人気作なのか、気になって通り過ぎる時にチラリと本棚を見上げてびっくりした、自分が今度、吹き替えをするアニメのノベルだったのだ。
 気になって、もう一度通り過ぎようとして女性の顔を見ようとしたのだが、そのとき、偶然、相手がこちらを見た、内心ドキリとする、何でもないふりをして通り過ぎた後、本棚の陰に隠れて鞄からスマホを取り出した。
 
 昔、男性に絡まれたときの写真、画像を確認する。
 あのとき、自分を助けようとおまわりさんと大声を出した女性、だが、その女性は男性に殴られて倒れてしまった。
 偶然だが、そのときの事は写真に撮られていた、普通ならネットで拡散されても不思議はない、ところが、何故か、そうはならなかった。
 最近は、ちょっとした事件でも厳しくなってきた、炎上系のユーチューバーが事件を起こしたり、夫婦喧嘩が暴行、殺人まがいの事件に発展したことも関係しているのだろう、ネット社会、警察は厳しくなっているときく。
 怪我をした本人でなくても家族や親族が通信社に申し立てをすればアップロードされる寸前でコンピューター、オペレーターが判断して画像などは削除されるらしい、だが、これは特別にプロバイダーから弁護士経由で入手した写真だ。
 あの女性は入院先からいなくなってしまった、退院、家に帰ったのか、それとも別の病院に転院したのかと思ったが、詳しい事は何故か、教えてもらえなかった。
 写真の女性は薄い茶色がかった髪色だ、でも、顔は似ている気がする、あれから随分と経っている、化粧で顔なんてどうでも変わる。
 スマホをガン見して、もう一度、確認と思ったが女性がいない、慌てて店の中を探すと、レジにいた。
 
 (これじゃ、ストーカーじゃない)
 
 でも、気になるのよと内心、自分に言い訳しながら、LIMAは見つからないように追いかけた。

 
 仕事は終わった、約束の時間まであと少しだ、時計を見ながら早めに行った方がいいだろうと思ったのは沢木、あいつの性格を知っているからだ。
 時間通りに行動できない人間なんて失礼だと先に帰ってしまうかもしれない、だが、出掛けようとしたとき、部下に呼び止められた。
 
 「先ほど電話がかかってきまして、ご友人の」
 
 何だって、こんな時に、断ろうと思ったが、相手の名前を聞いて耳を疑った、あいつが何故、こんな時に思わずにはいられなかった。
 住所も連絡先も知らない、いや、調べればわかるか、だが、向こうから会いたいなんて連絡が来るとは思わなかった、一体何の用だ。
 
 「すまんが、留守、いや、具合が悪いと誤魔化してくれ、商談なんだ」
 
 部下は、にっこりと笑う、察してくれたようでほっとした。
 
 



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