「ボタンをかぞえて」は、久々に泣けた萩岩 睦美作品だ☆
◇物語◇
結婚を間近に控えた一人の女性(美幸)が、母親の幼女誘拐容疑での逮捕を知るという衝撃の出だしから、物語は一気に過去に遡り、美幸の生い立ちを回想という形で追い始める。
母親の深すぎるくらいの愛情と、他の家庭との違いに違和感を覚えながら育った様を、成長の過程に沿って回想していく。
日に日に膨らむ違和感をいくらか調和してくれていた、同じ社宅の知的発達障害を持つ男の子(雅樹)の存在。
その子と姉弟同然に暮らしていた子供時代。
引っ越しによる雅樹との別れで、激しい喪失感を覚え、その結果、益々両親との間に溝を深めていく。
そうして、結婚間近になって、かつて別れ別れになった雅樹の消息を知ることとなる。
昔の純粋な心を持ったままで、障害を乗り越え、博物館で働く雅樹に、心よりも条件を重視して結婚を決めた自分を恥じ、会わないで去る美幸。
回想が現在に至った時点で、美幸は実家に戻り、父親から、実は、不妊に悩む母親が、捨て子をさらって我が子として育てたのが、おまえだと告げられる。
幼女誘拐の件は、虐待されて一人公園でいる少女を保護している内に、痴呆症の始まりで、幼い頃の美幸と混同し、つれ回していた結果であった。
衝撃の事実に怒りを抑えられない美幸。
婚約者からも婚約解消を申し渡され、空っぽになった美幸が辿り着いたのが、雅樹が働く博物館だった。
子供に返ったかのように、雅樹の昔の愛称(まあくん)を口走りながらうずくまる美幸に、昔のままのような純粋で真っ直ぐな愛情を言葉にしながら、抱きしめる雅樹によって、ようやく美幸は全ての想いを解放することが出来る。
そして、やっとの思いで母親と対峙する決心をし、かつて住んでいた、取り壊された社宅跡を訪れた際に、そこへ封印されていた、母親の自分への想いを見出し、全ての疑念を晴らすこととなる。
その後、美幸は、徐々に子供返りしていく母親を看取り、雅樹との間に生まれてくる子供への思いを馳せる… (以上)
話の全容を記すのは気が引けるのだが、中途半端な概要説明では、どうにも感想が書ききれないため、ご容赦願いたい。
萩岩さんは、昔から、ハートフルで、何処か心にチクンとくるお話を送り出してきていたが、近年母親になられていることもあってか、最近の作品は現実味が増しているような気がする。
それだけに、余計に胸にダイレクトに響いてきた。
私自身、子を持つ親として、また、自分自身の成長過程を振り返り、二重に感慨深い作品であった。
子の立場としての親に対する想いや、親の立場としての子に対する想い、どちらも想いは真摯なのに、悲しいことに、それが上手く伝わり合わないこともある。
身近な存在だけに、すれ違う痛みは、より一層深刻だ。
もし、全てが氷解した場合は、そこに溢れる両方の想いは、いかばかりであろう…
私自身、そんなこんなで読みながら、様々な想いが交錯し、溢れる涙をこらえるのに苦労した(家族が家にいる時間帯だったので””)
萩岩さんの作品を読んだことのある方はもちろんのこと、読んだことのない人も是非とも、機会があれば、手にとって読んでみて頂きたい作品である。
◇物語◇
結婚を間近に控えた一人の女性(美幸)が、母親の幼女誘拐容疑での逮捕を知るという衝撃の出だしから、物語は一気に過去に遡り、美幸の生い立ちを回想という形で追い始める。
母親の深すぎるくらいの愛情と、他の家庭との違いに違和感を覚えながら育った様を、成長の過程に沿って回想していく。
日に日に膨らむ違和感をいくらか調和してくれていた、同じ社宅の知的発達障害を持つ男の子(雅樹)の存在。
その子と姉弟同然に暮らしていた子供時代。
引っ越しによる雅樹との別れで、激しい喪失感を覚え、その結果、益々両親との間に溝を深めていく。
そうして、結婚間近になって、かつて別れ別れになった雅樹の消息を知ることとなる。
昔の純粋な心を持ったままで、障害を乗り越え、博物館で働く雅樹に、心よりも条件を重視して結婚を決めた自分を恥じ、会わないで去る美幸。
回想が現在に至った時点で、美幸は実家に戻り、父親から、実は、不妊に悩む母親が、捨て子をさらって我が子として育てたのが、おまえだと告げられる。
幼女誘拐の件は、虐待されて一人公園でいる少女を保護している内に、痴呆症の始まりで、幼い頃の美幸と混同し、つれ回していた結果であった。
衝撃の事実に怒りを抑えられない美幸。
婚約者からも婚約解消を申し渡され、空っぽになった美幸が辿り着いたのが、雅樹が働く博物館だった。
子供に返ったかのように、雅樹の昔の愛称(まあくん)を口走りながらうずくまる美幸に、昔のままのような純粋で真っ直ぐな愛情を言葉にしながら、抱きしめる雅樹によって、ようやく美幸は全ての想いを解放することが出来る。
そして、やっとの思いで母親と対峙する決心をし、かつて住んでいた、取り壊された社宅跡を訪れた際に、そこへ封印されていた、母親の自分への想いを見出し、全ての疑念を晴らすこととなる。
その後、美幸は、徐々に子供返りしていく母親を看取り、雅樹との間に生まれてくる子供への思いを馳せる… (以上)
話の全容を記すのは気が引けるのだが、中途半端な概要説明では、どうにも感想が書ききれないため、ご容赦願いたい。
萩岩さんは、昔から、ハートフルで、何処か心にチクンとくるお話を送り出してきていたが、近年母親になられていることもあってか、最近の作品は現実味が増しているような気がする。
それだけに、余計に胸にダイレクトに響いてきた。
私自身、子を持つ親として、また、自分自身の成長過程を振り返り、二重に感慨深い作品であった。
子の立場としての親に対する想いや、親の立場としての子に対する想い、どちらも想いは真摯なのに、悲しいことに、それが上手く伝わり合わないこともある。
身近な存在だけに、すれ違う痛みは、より一層深刻だ。
もし、全てが氷解した場合は、そこに溢れる両方の想いは、いかばかりであろう…
私自身、そんなこんなで読みながら、様々な想いが交錯し、溢れる涙をこらえるのに苦労した(家族が家にいる時間帯だったので””)
萩岩さんの作品を読んだことのある方はもちろんのこと、読んだことのない人も是非とも、機会があれば、手にとって読んでみて頂きたい作品である。