ラクスの話です。
ラクスは政治家の娘であるけれど、
彼女は世が平和ならば歌手として生きていけたであろう人…ということを
私は前提としてそもそも彼女を捉えていたので、
ヤキンの後、彼女が表舞台から身を引き、プラントから離れたことを
「罪」だとも「失敗」だとも考えていなくて…
けれど、その事がデュランダル議長という存在に力を与える隙を赦し、
ミーアというプロパガンダのための人形を産むこととなった。
というのも確かに事実。
だから、ラクスにも罪がある。
ヤキンの後世界から身を引くべきではなかった。
という意見も多々あることを知って。
大きく反論はしないんだけど、
それってラクスに対して厳しすぎる意見だナーと思っていたので、
小説最終巻を読み終わって、
彼女の私なりのフォローをしておきたかったというのもあったんですが、
ちょっと本当に今更ですが。
★
力があるならば、その力を世界のために使うべきだ。
というのは確かに正論だけれど、
心がそれを望んでいなければ、それは「押しつけの正論・正義」でしかない。
ゲノム解析で適正があるから、彼女は政治に携わり、世界に貢献すべき。
というD議長のレールの上に乗った考え方と変わらない。
ラクスは、キラと生きていきたい。戦いのない場所があるのならば。
穏やかに、幸福に、生きていきたい。
と願う一少女でもあるわけで。
だが一方で、キラにザフト正規軍のMSを勝手に与え、勝手にエターナルを奪い、
勝手に一勢力をまとめ上げて「平和を造った」張本人でもある。
その責任を取って、戦後プラントに残るべきだった。
それも確かに正論だと思う。
だけど、彼女の望んだ戦いの集結は為されたのだから、
彼女たちが築いたものの跡を
あとは各国の政府がしっかり引き継げば良かったことでもある。
なぜなら、彼女は政治家でも軍人でもない「16歳の少女」なのだから。
彼女に全ての理想を押しつけるのもどうか。
というほうが、私の思いでありました。
ザラ家の後継者として育てられたアスランとは違うのだし、
アスハ家の後継者として育てられたカガリとも違うのだから。
ラクスは自由な未来を選べる、ひとりの少女として育てられたのだと
思っていたから。
こうあるべき、と攻めるのは何か違うのでは…と思っていました。
ラクスが人々の上に立つことを必要と考えて「選ぶ」のであれば
民衆の理想とも合致して、ラッキーな出来事となるだろうし、
彼女には力があるのだから、
結果も残すだろう。と思うけれど、
世界のために彼女の人生を犠牲にしていいかどうか。
私はカガリにもアスランにも犠牲になれとは思わないけれど、
彼らの目的の過程に「民衆への奉仕者」というものがくっついてくるから、
そう選びたいのであれば、苦労して、藻掻いて、泣いてでも頑張れ、
と、鼓舞激励したい気持ちになれるけれど、
ラクスはラクスが望む人生がDESTINYで実はよく分からなかったので…
キラの側に居たい以外のことが。
だから、ラクスがいずれプラントに戻ることを個人的には希望していたけれど、
そうならなくても納得はできたともおもう。。。
けれど「ミーア」
という少女の想いが、
ラクスを大きく成長させました。
自身の人生を何に使うか。
以前は望んでいたものではなかったけれど、
ミーアの様な自分の代わりに世界の融和のために走った少女の存在を、
自分の代わりに利用されつくして訪れた少女の死を
目の当たりにして、
自分の持つ力を表に出て「使おう」「報いよう」と決意したラクスに、
どうしても注目され、期待されてしまうという
彼女自身の「宿命」ともいえるものに、
ラクスが向き合ったという結果でもあったから感動したし、
悲しくはあるけど、前向きに捉えて決心したラクスには共感しました。
彼女の就いた役職がいきなり議長なのにはびっくりしたけど
(これ公式ですか??相談役とかの名誉職じゃないんだ…)
それでも、ラクスにはもっと早くに決心すべきだった、
もっと早くに自分の使命と向き合うべきだったと
いう気持ちには…いまだなれない私です。
力があるって、カリスマがあるって、
…ラクスがそう望んで生まれたわけではないという事実と、
でも望んだときに「出来てしまう」力も確かにあるという事実と。
自由選択の上でのラクスの政界進出は、私にはいいドラマでした。
ミーアのおかげでもあるけれど。
悲しい決断でもあるなぁ。
世界はアスランとカガリに任せて、
キラと二人で平穏に生きたっていいんだし、
アーティストとして生きていったっていいのに。。。
★
話は変わりますが、
全編通してDESTINYを観ると、ラクスに限らず各キャラの統一感のなさに
疲れてしまって見返すことがキツイなと正直思うので観ていないんですが、
一話一話で観ると…そう悪くないんですよね。
ちゃんと意図も通じるし。
人間関係とキャラそのもの統一感の無さ、を
自分の頭の中で修正しながら観なくちゃならなくなっていった
DESTINY後半が…何とも。。。不思議な作品。初体験。
だから面白いとも思ったんですけど。
アスラン視点ならば、The Edgeがクオリティ高いし、
DESTINY全体構成では後藤リウ氏がスバラシイ。
女性クリエータ大活躍ですねvvv
でもオリジナルをリスペクトしたい派の私としては
もすごく微妙な気持ちでもありますが…