現在の家に引っ越した当初のこと。クラフト・エヴィング商會の『クラウド・コレクター』を読もうとして、ブックカバーもかけて準備していたところ、いつの間にか行方不明になってどこをどう探してもない。
前日にはベッドサイドテーブルの上に確かにあった。それから外に持ち出したわけでもないのに、ない。以後何日も思い出せば探しているのに、どうしても、ない。
引っ越しをしてから度々物がなくなる。引っ越しのどさくさのしまい忘れではなく、さっきまでそこにあったものがないというなんだか奇妙な感じ。今回もそのケース。
もしや、借り暮らしの小人が借りて行ったか?映画になったあのアリエッティではなく、あくまでも原作のメアリー・ノートンの『床下の小人たち』の話だけど。
行方不明になった物たちは、諦めて忘れた頃に突然見つかる。なんでこんな所に?と思うような所にある。いかにも借り暮らしの小人の仕業のように思える。
『クラウド・コレクター』の副題に「雲をつかむような話」とあるのだけれど、この行方不明騒動は、まったくもって雲をつかむような話。いや、この場合はその例えは違うかな。キツネにつままれたような話と言うべきか。
そう考えると、「キツネにつままれる」とはどういう状態なのか?それはそれでまた気になって夜も眠れない。
年を取ると、何でもかんでも盗まれたと思う人がいる。疑われた人はいい迷惑だし、周囲も悲しい。だけどそれはもう病気なので仕方がないのだ。
私もいつか、自分で気付かないうちにそうなるかもしれないので、今から物がなくなったら借り暮らしの小人のせいにしておこうと思う。小人のせいなら、誰も嫌な思いはしないだろうし、私自身も笑って諦められるというものだ。
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