風は南から

スペインと花と音楽とそれから写真と俳句

本棚の一冊

2019-06-24 11:05:55 | 写真俳句
自由を我等に 黒田三郎 「流血」1980年
 勝手に歩き廻ろうとしても
 すぐ肩をぶっつけたり
 えたいの知れないものに
 足をすくわれて 
 つまずいたりするのだ
 とび立つわけにもゆかない
 夢のなかで
 自分勝手にとび廻っているひとを見ると
 うらやましいというよりは
 いまいましくてならないのだ
 痛む肩や足を
 切り落してなお平然としておれるほど
 僕は自由ではない
 「自由を我等に」と
 言うだけなら僕にもできるが
 それは四十年近い昔
 場末の映画館まで追って
 何度もくりかえし見た
 ルネ・クレールの映画の題名である