自由を我等に 黒田三郎 「流血」1980年
勝手に歩き廻ろうとしても
すぐ肩をぶっつけたり
えたいの知れないものに
足をすくわれて
つまずいたりするのだ
とび立つわけにもゆかない
夢のなかで
自分勝手にとび廻っているひとを見ると
うらやましいというよりは
いまいましくてならないのだ
痛む肩や足を
切り落してなお平然としておれるほど
僕は自由ではない
「自由を我等に」と
言うだけなら僕にもできるが
それは四十年近い昔
場末の映画館まで追って
何度もくりかえし見た
ルネ・クレールの映画の題名である