Archaic Smile

私的な備忘録です。

世界文化遺産

2015-06-27 02:54:40 | Weblog

軍艦島のプロモーション映像を見ると廃墟も美しく見える。天空の城ラピュタにでてくる水没している古代都市をほうふつとさせる。

日本や世界と異なる歴史認識を持つ近隣国が、本件の世界遺産登録に反対していることは、非常に残念なことだし、ますます某(亡?)国に対する日本人の印象を悪いものとしている。両国の関係の悪化は極まっている。

同島は、海底炭鉱で栄え当時は世界一の人口密度にもなり、日本で最初の鉄筋コンクリート造の集合住宅も建設された。島内においてほぼ完結した都市機能を有していたそうで特徴的な外観は非常に興味深い。

集合住宅といえば、中国には鬼城とよばれるゴーストタウンがあるらしい。不動産バブルで買い手がいても、だれも住まないマンションが林立しているというのだ。すべてが投機目的のものなのだろうが、そういった建造物に最初から人が住むことがないという状況(現象)も非常に興味深い。

ものには使用価値がある。物の持つさまざまなニーズを満たすことができる有用性があるはずだ。この空き家のマンションも、本来、居住するニーズの為にその有用性があったはずなのだろうけど、ぼくらが観測している状況は、その有用性は、将来のキャピタルゲインを獲得したい、値上がりを見込んで儲けたいというニーズの為だけにその有用性があるのだろうか。ということは、使用価値を求めるニーズは最初から存在していないわけで、キャピタルロス、買い手がいなくなって価格が目減りし始めたら暴落するしかないのだろう。

中国では、わけの分らん石ころが高値で投機的に取引されてるというニュースが昔あったが今も続いているのだろうか。もしかしたら、いしころでもマンションでも何でも投機的に値段がつけばよいのであろう。

文化遺産というものも、本来何某か歴史的背景のもとで繁栄があって、集まった富を原資にそこに建造物が作られ、それが後世から見て興味深く歴史的な価値があるものであれば、保存して遺しておこうという動きになる。

でもちょっと考えるとこの鬼城も経済や政治上の歴史的な背景の上で出来た建造物で、非常に興味深いものなのかもしれない。おそらく民主主義国家で情報が自由に共有される(非対称にならない)国家においては、地域一帯だれもすまないマンションなどだれも買わないし、誰も住まない都市計画が惰性で継続されて高層マンションが林立するようなケースは稀だろう。これが一党独裁の非民主主義的な国家は、情報もコントロールできるしこのような状況を力でねじ伏せて実現できてしまう。普通の国ならとうの昔にバブルははじけて崩壊が始まっている。

不動産の値下がりが始まってお金の逃げ場を失った中国は、株式にお金が流れてこれも空前のバブルが膨らんでいる。そして先週くらいからか大きな下落の兆候が見え始めている。中国政府も海外のメディアに株式暴落等のネガティブな報道を控えるように申し入れているニュースが出ているが、情報統制は国内においては可能であっても国外の報道の自由をねじ伏せることは難しい。これが事実なら国内で当たり前にやっていることを、世界の他国に対してしなきゃならないということは、本当に厳しい状況に追い込まれていると勘ぐらざるを得ない。

自称世界2位の経済大国が破たんしたら歴史に残るような大きなインパクトを与えるのだろうから、このゴーストタウンも歴史的な背景の下、貴重な証拠となるのかもしれない。

使用価値という概念は、そもそもマルクス経済のもので、それをふっとばして過激に資本主義を導入し、キャピタルゲインを追及し、資本主義システムの一番悪い所を暴走させて、一部の特権階級に富が集まるようにしたうえで、バブル崩壊というつけを既得権を少しでも維持させようと、一党独裁の政治システムで力でねじ伏せて延命を図っている。

この組み合わせの結末は、今後どのような歴史を作っていくのだろうか。

コメント
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