ドラマＷ「ＭＢＯ」＆「対岸の彼女」「黒い春」・・ジャンル違うけどまとめて批評してみたぞ！

すっかりＷＯＷＯＷの手に染まった私、と告白した前回ですが、またそんな「ドラマＷ」を連続で観ました。
集中力のない私が、珍しくオンタイムで観た、奇跡のような作品群です。それらを勝手にバッサバッサと斬ってみようと思います。

エントリーは「MBO（マネジメント・バイアウト）～経営権争奪・企業買収の行方～」、「対岸の彼女」「黒い春」です。ジャンル違いすぎじゃん…(^_^;)


◆「MBO～経営権争奪・企業買収の行方～」◆

　　　　　　

出演／三上博史、森口瑤子、高橋克実、平幹二朗ほか
監督／松田秀知（『黒革の手帖』『けものみち』）
脚本／寺田敏雄（『けものみち』）
原作／牛島信「MBO　マネジメント・バイアウト」（幻冬舎文庫刊）

【あらすじ】ギャラクシー・デパートの社長・小野里（三上博史）は、ある日突然、グループの総帥・成海（平幹二朗）に呼び出される。そしてグループの非常勤取締役への昇進を促されるが、それは即ち、社長解任と大幅な給料 削減を意味していた。
転職しようにも、小野里がかつて提出した、同業他社に転職しない旨の誓約書を突きつけられ愕然。
途方に暮れる小野里に、副社長の真鍋は女性弁護士の大木を紹介する。
大木は小野里に、投資家を見つけてギャラクシー・グループの株の過半数を取得し、経営権を争奪するＭＢＯを勧めた。予想外の提案を最初は真に受けない小野里だったが…。

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MBO（経営陣による企業経営権争奪）を題材にした本格派サスペンス。
明日からの生活に憂う卑小なる男・三上博史、妖怪のような（笑）平幹二朗ほか、演技巧者たちの息づまる演技対決は見もので、誰を信じればいいのかわからない展開。一度拡張した生活水準を落とすってそんなに大変なんだ！というリアルさが凄まじいです。
ホワイト・ナイト（買収をしようとしている者と仕掛けられている者との間で、どちらに味方するかによって大きくその形勢が変わる、キャスティング・ボートを握っている第三者）を見つけ、買収合戦を制した小野里が、勝利に酔う間もなく、さらなる難題が突きつけられる大どんでん返し。
ここからの紆余曲折も、見応えありです！

◆「対岸の彼女」◆


　　　　　

出演／夏川結衣,、財前直見、 多部未華子、 石田未来、 堺雅人、香川照之
監督／平山秀幸（『愛を乞うひと』ほか）
原作／角田光代「対岸の彼女」文藝春秋刊、第１３２回直木賞受賞
脚本／神山由美子
受賞／平成18年度芸術祭テレビ部門（ドラマの部）、優秀賞および第32回放送文化基金賞番組部門テレビドラマ番組賞を受賞

【あらすじ】人付き合いが苦手な主婦・小夜子（夏川結衣）は、大らかな独身社長の葵（財前直見）と知り合う。一見開けっぴろげで大らかな葵だが、彼女は高校時代つらいいじめを経験していた。
新しい高校に転校した葵（石田未来）は魚子（多部未華子）という親友を得たのだが…。

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現在と過去、2組の女性の友情を交錯して描きながら、繊細でリアルさが丁寧に紡がれていく趣向の、人生の半ばにさしかかった女性たちの不安や焦りなどが等身大に描かれているドラマです。
”負け犬”という言葉があったけれど、このドラマの主人公２人がまさにそれ。一方は勝ち犬、もう一方は負け犬…。世間からみればそう見えてしまうけれど、結局女同士を決裂させ、区別するのは、女自身。性格も生活環境も全く違う２人の女性の友情は成立するのか？がドラマの見所です。

◆「黒い春」◆

　　　　　　

出演／高嶋政伸、牧瀬里穂、宮将、水谷妃里、手塚とおる、名取裕子ほか
監督／大森一樹（『ヒポクラテスたち』『T.R.Y.』）
原作／山田宗樹『黒い春』（幻冬舎文庫刊）

【あらすじ】物語は、ある若い女性が突然自宅で黒い粉を吐き、その直後に死亡したことから始まる。監察医の飯守（高嶋政伸）の遺体解剖により、意外な事実が浮かび上がった。女性の肺から黒色胞子が発見され、都の衛生研究所の岩倉（名取裕子）によって新種の真菌と判明。そしてこの胞子が何らかの原因により体内に入り、感染した者は100％命を奪われるということも。国内がパニックに陥る中、この死に至る病気「黒手病」の原因究明のため、対策委員会が結成されるが…。

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本作は病気の蔓延、感染源の謎などを描いたドキドキするような医学サスペンス。
その一方で、いくつもの人間ドラマが展開されています。
飯守と妻・雪子（牧瀬里穂）やその連れ子との少々ギクシャクした家族愛。
感染症で恋人を失った医学生の三和島（宮将）や、理解のない上層部との板ばさみに苦悩する飯守の友人で厚生労働省特定感染課長・黒手病対策委員の石谷（手塚とおる）です。

BSEや鳥インフルエンザなど、感染性の病について世間の関心が高まる中、この手のテーマは、フィクションだと簡単に笑い飛ばせるものではありません。特に私は、最近問題になっているタミフルに強く関連付けて鑑賞しました。
中でも厚労省の石谷役・手塚とおるさん！よくみかける顔です。なんか…ホラーに出てきて序盤で死ぬ（失礼m(__)m）イメージ強し！

　　　　　←う～ん、ちょっとイメージより髪が長いな…(^_^;)

結末は知らないほうがいいでしょう。これから鑑賞する方はネタバレに気をつけてくださいね！（ＴＯＰ画像の鯉のぼりも「黒い春」のポイントです）

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